FXにおいてレバレッジは重要なシステムであり、利用せずに取引しているトレーダーはほとんどいないでしょう。
しかしレバレッジを高くするのは様々なリスクがあるため、リスクを考えレバレッジを使わない1倍での取引を考えている方もいませんか。
レバレッジを使わない1倍の取引はどのような特徴があるのでしょうか。
目次
レバレッジ1倍はどんな取引になるか
普段レバレッジを利用して取引しているトレーダーからすれば、1倍はどのような環境での取引になるか想像できません。
現物の資金で取引する
レバレッジは自分の資金に倍率をかけ、資金以上の取引をできるようにするシステムです。
取引するには証拠金が必要となり、レバレッジをかけることで必要な証拠金を減らせます。
本来なら100万必要となる証拠金を10万、5万にできるのです。
しかし1倍はレバレッジを利用しないため、本来の証拠金で取引することになります。
ドル円は現在レバレッジ25倍で4万程度必要となりますが、1倍の場合は100万もの資金が必要です。
ドル円以外の通貨ペアも見てみると25倍で3万程度になる豪ドル系列は75万程度になります。
証拠金が少ない種類としては南アフリカランドがあり、25倍で3000円程度なのが7万5000円程度になるのです。
ロスカットの心配はほとんど必要ない
レバレッジは本来よりも多額の資金で取引するため、出る損失も増えてしまいます。
レバレッジは資金を増額させるシステムではないため、運用している資金はそのままなのです。
そのため損失が証拠金を下回り、ロスカットされる危険性が高まります。
資金とレバレッジにより変わり、レバレッジが大きければ大きいほどロスカットに引っかかりやすくなるでしょう。
1倍で取引する場合は本来の資金で取引することになるため、動く金額に比べ多額の資金を保有できます。
ロスカットになる危険性はほとんどなく、考えずに取引できるのです。
理解しておきたいのがレバレッジ1倍の取引におけるロスカットは「ほとんどない」という点です。
絶対ないわけではなく1倍でもロスカットが起きる可能性はあります。
しかしロスカットが起きる条件というのは証拠金維持率の割合で計算されているのです。
1倍の場合は動く金額も多くないため、ロスカットされるには数十円以上の相当な動きをしなければ起きません。
1倍でロスカットされる可能性は相場が急変して大きく動く時が来ない限りないといえます。
理論上ロスカットされないためポジションはほぼ永久的に持てるでしょう。
借金の心配がない
FXで借金というのはロスカットが機能せず、大きく動いて資金以上のマイナスが出てしまった時です。
そのためロスカットがほとんど起きない1倍の取引で借金はまずないでしょう。
可能性はなくないですが、出るとすればショック以上に相場が暴落、暴騰した時であり現実的な話ではありません。
一応海外業者を利用すればゼロカットで借金を考えず取引できますが、必然的に海外業者の利用をしなければいけないのです。
レバレッジ1倍であれば国内業者を利用しても借金を恐れることなく取引できます。
レバレッジ1倍で取引するにおいて
本来の資金でロスカットの心配がない取引をする、一言でまとめるとレバレッジ1倍の特徴はこの通りとなります。
しかしレバレッジを使わない以上、取引の感覚も他と違うため適当に考え選んではいけません。
取引するのであれば以下の点を理解してやりましょう。
多額の資金を用意しなければいけない
レバレッジに頼れないため取引する時はそのままの証拠金で行わなければいけません。
先ほども書いたようにドル円は100万程度必要になります。
気をつけたいのは1万通貨の証拠金として必要なのが100万程度という点です。
そのため100万の資金を用意したとしても1枚しか取引できません。
取引量1枚での動き1pips100円であり、10動けば1000円とほとんど利益が出ないでしょう。
取引量を増やしたいところですが、レバレッジがない以上は2枚以上取引するハードルも上がります。
2枚であれば200万、3枚であれば300万、10枚取引したければ1000万もの大金が必要です。
証拠金は相場の動きによって変わり、レートが上がればその分増額します。
金額が大きければ多い程証拠金の増額も大きくなるため、ギリギリの資金程度ではすぐに足りなくなってしまうでしょう。
何より証拠金が増えればロスカットの危険性も高まり、本来ほとんど起こらないリスクを高めてしまいます。
トレーダーの大半はFXで稼ぎたいと考えているでしょう。
レバレッジ1倍で利益を出したいと考える場合、トレーダーも相応の資金を用意しなければなりません。
証拠金の低い通貨でも厳しい
全体で見るとドル円はレートが高いため、証拠金は高い方となります。
そのためドル円ではなく別の通貨ペアで取引を考える方もいるでしょう。
こちらも先ほど出した豪ドルであれば1万通貨を75万程度で済みます。
しかし増額する可能性と利益のことを考えれば80万程度では足りません。
証拠金がほとんど必要ない通貨として南アフリカランドドルがあり、こちらは7万5000円程度と10万あれば1万通貨の取引できます。
他にもトルコリラやメキシコペソ辺りが証拠金は少ないため、数十万でも取引はできるでしょう。
しかし証拠金の少ない通貨ペアはレートが低いため少なくなっており、通貨としてはマイナーに該当します。
1日のうちに相場がほとんど動かない、いきなり動くこともあり相場の流れが不安定という欠点があるのです。
利益を出す取引先の通貨としては不適切となっています。
その点を考えれば利益を出したい場合、豪ドル以上にメジャー寄りの通貨ペアで取引しなければいけません。
そうなると1万通貨で100万以上は避けられず、トレーダーとしては1000万以上の資金は用意したいところです。
ユーロやポンドになればより証拠金が多くなるため、満遍なく取引したい場合は数千万考えなければいけないでしょう。
利益としてはスワップポイントに期待する
FXにはスワップポイントがあり、ポジションを保持しているだけで利益をもらえます。
しかしもらえる金額は少なく、最も高いトルコリラでも100円程度です。
取引量を増やさなければ十分な利益にならないでしょう。
1倍の取引は証拠金の関係上、取引量を増やすのは難しいです。
そこを考えるとスワップポイント狙いは現実的ではないと思いがちですが、実は金利の高い通貨を考えると利益を出す意味では最も適切といえます。
トルコリラは金利の高い通貨である一方証拠金が低いため、1倍でドル円の1万通貨を所持できる資金があれば5枚程度持てるでしょう。
5枚程度であれば1日500円程度であり、一ヶ月で1万5000円は期待できます。
取引で得られる利益としては微々たるものですが、1年で考えると15万近くになるため放置してもらえると考えれば無視できません。
何よりも1倍のレバレッジであれば高レバレッジで運用するよりロスカットの危険性がないのです。
そのためロスカットの心配をすることなく、ポジションを保有して放置できます。
ロスカットを恐れずポジション放置ができる点は1倍レバレッジで最も大きい強みでしょう。
しかし気をつけたいのはスワップポイントは相場の動きと通貨の方向性により変化することです。
ある日突然プラスだったのがマイナスになる可能性もあるため、本当に放置しているとマイナスで損失を出す羽目になります。
更にトルコリラは証拠金が少ないこともあり、通貨としては非常に不安定です。
突然必要な証拠金が増えたり、スワップポイントが激減するケースもあり得るため、欠点を理解して保有しなければいけません。
経験を積むための取引として利用するのも手
レバレッジ1倍であればロスカットはほとんどせず、取引量も必然的に少なくなるため損失はほとんど出ません。
ほとんどリスクなしで取引できるため、FXの取引の経験を積んで慣れるのを目標にするのもいいでしょう。
レバレッジ1倍のため証拠金は大量に必要としますが、それは1万通貨での話です。
最近では1万以下の1000通貨で取引できるFX業者も珍しくなく、1000通貨であれば10万程度の資金を用意すれば取引できます。
1000通貨ではほとんど利益は期待できませんが、慣れるのを目的にする場合は度外視してもいいでしょう。
単に経験を積むだけであればデモトレードの利用も考えられますが、自分の資金で取引すると体感するものも大きく違います。
FXでレバレッジ1倍の取引をする意味
FXはレバレッジが大きなシステムであり、それを利用しないのであればFXで取引する意味はないと考える方もいるでしょう。
しかしレバレッジを利用せずともFXで取引をするメリットは存在します。
手数料がかからない
FXで取引していると当たり前のように手数料はかかりませんが、他の投資では何かしら手数料のかかることが多いです。
明確にはFXもスプレッドという形で手数料を支払っていますが、出た利益の何割といった手数料はありません。
お金が減るのは取引して損失を出した時であり、取引ごとに取られないため無駄に費用を消費してしまう心配がないのです。
スワップポイントが得られる
ポジションを保有してスワップポイントという利益を得られるのはFXの特徴であり強みといえます。
他の投資でも差額以外に得られる利益はありますが、決まった日等と限定されている場合も多いです。
FXであれば金額そこ少ないですが、ポジションを保有するだけでお金がもらえます。
取引先の安全性とリスク
メジャーな株式投資の場合は株で取引していきますが、もし会社が倒産してしまえばその時点で価値のないものとなってしまいます。
一方でFXにおいて取引する外国為替は国の通貨なため、いきなり価値がなくなるリスクはありません。
資金も信託保全があるため、取引している業者が倒産しても保障はあります。
売りで取引できる
レバレッジ以外にもFXの大きな特徴は買いだけでなく売りからも入れる点です。
相場が下落している状態からも取引できるため、他の投資よりも取引のチャンスは多くなっています。
レバレッジ1倍にあるリスクの存在
ローリスクローリターンと称されるレバレッジ1倍ですが、その通りに受け取ると隠れて存在するリスクに気づきません。
実は特徴を分析して考えれば以下のリスクが考えられるのです。
時は金なり、稼ぐのに時間がかかりすぎる
レバレッジ1倍では必要な証拠金が多いため、1回の取引で多額の利益を得られません。
長期的に考えて月10万程度であれば可能ですが、50万や100万となれば億単位の資金を想定する必要があります。
FXで取引するトレーダーの大半は資産運用して稼ごうと考えているため、取引で稼ぐために億単位を用意するのは本末転倒なケースが多いです。
副業として数十万稼ぐ程度であれば問題はありませんが、レバレッジ1倍で専業トレーダーとしてやっていくのは不可能に近いでしょう。
実際専業とされているトレーダーでレバレッジを1倍にして取引している方は稀であり、利用を前提に取引しているのが答えです。
レバレッジをかければ確かにリスクは高くなりますが、利益を多く稼げる可能性もあります。
年を通して取引した場合、レバレッジを利用して取引した方が結果的に稼ぐ効率がよかったという場合も多いでしょう。
人間の人生は無限ではなく限りがあり、時は金なりという言葉があるように時間も財産です。
レバレッジ1倍での取引は正に「時間」という資産を消費してしまうリスクがあるでしょう。
緊張感がなく成長もない取引
1倍での取引はほとんどロスカットの心配もなく、出る損失も少ないです。
FXにおいてリスクを抑えた取引は重要ですが、あまりにもリスクのなさ過ぎる取引は考えものといえます。
リスクがほとんどない故に損失が出たとしても「まあいいか」で済ませてしまう恐れがあるのです。
取引で何かしら理由があり損失を出したにも関わらず、軽く済ませてしまえばいつまで経験を積めず成長できません。
1倍の取引はリスクのない取引で経験を積むメリットがある一方、こうした緊張感のない取引になっていつまでも経験が身に付かないリスクがあるのです。
メリットとリスクを考えて1倍で取引する
一通り見ていけば一見リスクのないレバレッジ1倍の取引にも相応のリスクがあると分かるでしょう。
しかしメリットがあるのも確かなため選択肢から除外すべき取引方法とはなりません。
永遠に1倍で取引していく必要はないため、状況に応じて変えていけばいいのです。
何のために1倍で取引するかを理解してレバレッジを使用しない取引をしましょう。