製品についての原料選びから出荷にいたるまでの工程や工場の全体を管理するのが生産管理という仕事です。製品の発注元と実際の現場の橋渡しをするポジションと言っても良いでしょう。
発注元からの注文というのは、簡単なものばかりではありません。中にはどう考えても無理だと思われるような内容で発注をかけてくることもありますから、現場でどこまで対応できるのか、注意深く見極める必要があるのです。
これだけ見ても、生産管理の仕事は簡単な業務ではないということが分かります。どちらかというと、精神的にも体力的にも「きつい」仕事であると考えて良いでしょう。
そこで今回は、生産管理の仕事が「きつい」と言われる理由や、生産管理の仕事が長続きしない人の特徴、さらに生産管理の仕事を「きつい」と感じない人によくみられる特徴などについて、くわしく解説していきます。
目次
激務って本当？生産管理がきついと言われるポイント
製品の生産工程の全体像を把握しておかなければいけないのが、生産管理というポジションに課せられた仕事です。生産ライン全体を管理することになりますから、その責任は重大であり、きついと言われる理由のひとつです。
また、あらかじめ計画は立てておくものの、必ずしも予定通りに進むとは限りません。突発的な事故やミスなど、迅速で適切な対応を求められる場面も少なくないのです。
このように、生産管理の担当者は製造ライン全体の流れを見ながら業務を行っていく必要があるため、激務であり、きつい仕事であると言われるのかもしれません。
それでは、生産管理の仕事が「きつい」「激務」であると誰もが口をそろえる理由はどんなところにあるのか、具体的に探っていくことにしましょう。
常に生産工程の全体像を把握しておく必要がある
生産管理の仕事の重要なところは、常に生産工程の全体像を把握しておく必要があるというところです。生産管理の担当者は、製品の原材料から出荷にいたるまで、一連の流れにいつも気を配っておく必要があります。
いつ・どのように原材料が工場に搬入されて、工場で生産工程にかかわる人の数はどのくらい必要になるのか、納期に間に合わせるためのスケジュールなど、さまざまなことを細かく知っておかなければいけません。
常に全体の流れや進捗状況にについて気を配っておかなければいけないということは、考えているよりも大変なことです。心が休まる暇もないため、きついと感じて早期に職を離れる人が少なくないのもうなずけます。
計画通りに行かないことの方が多い
ひとつの商品を生産する際には、必ず原材料の仕入れから工場での生産工程、人員の確保やシフト管理、そして出荷に至るまでのスケジュールなどについて、あらかじめ計画を立てることから、生産管理の仕事は始まります。
しかし、どのような製品を作る場合でも、計画通りに物事が進むことはほとんどありません。予期していなかった問題に直面して頭を抱えてしまうことも多々あります。
そうした数々の問題に向き合い、ひとつひとつ解決していくことも、生産管理の担当者として必要な業務です。さらに、すべてすぐに解決できる内容であるとは限らないのも、生産管理の業務がきついと言われる理由でしょう。
製品の生産には数多くの人が関わっているため、時には対人トラブルに巻き込まれてきつい思いをすることもあります。これらのことからも分かるように、生産管理の業務は想像以上に激務であることは間違いありません。
慌ててはいけない！臨機応変さが求められる
予期していなかったトラブルや、思いもよらなかったところから問題が発生する可能性があることを、あらかじめ頭に入れて行動しなければいけないのも、生産管理の担当者として働くうえで重要なポイントです。
しかし、どんな時でも慌てず騒がず、冷静な判断を求められますから、生産管理の担当者というのはきつい仕事であると言われるのかもしれません。
生産管理の担当者の行動ひとつで現場が大混乱に陥る可能性もありますから、「いま何をすべきなのか」「どのような対応が求められているか」ということを常に意識しておくことが大切です。
ですから、いつでも臨機応変な対応ができるように、柔軟な考え方を持っていることも重要と言えるでしょう。優柔不断で決断力が欠けている人にはきつい業務と言わざるを得ません。
「きついからもう無理！」生産管理の仕事が長続きしない人
生産管理の担当者になるということは、それだけ大きな責任を背負うということを意味します。製品の製造工程のありとあらゆる面に気を配っておく必要があるからです。
そのため、生産管理の仕事はとても「やりがい」のある仕事と言えるかもしれません。しかし見方を変えると、気が休まる暇のない、きつい激務なのです。
では、生産管理の仕事にチャレンジしてみようかどうか迷っている人に向けて、生産管理の仕事が長続きしないタイプの特徴について見ていくことにしましょう。
コミュニケーションスキルが低い
生産管理の担当者に求められるのは、まず第一に高いコミュニケーションスキルでしょう。というのも、生産管理というのはお客様や営業担当、現場で働くスタッフなどの間に入って働く立場だからです。
部署と部署の橋渡し役をしたり、部署と部署の意思疎通をスムーズにしたりといったことも、生産管理の担当者に課せられた任務です。
時にはお客様と営業担当、現場との板ばさみになって苦しい・きつい思いをすることもあるでしょう。そうした時にも毅然とした対応を求められるのも、生産管理の担当者に求められるスキルです。
ですから、人とコミュニケーションすることが苦手な人や、折衝役には向いていないと感じる人には、生産管理の仕事は務まらないかもしれません。
24時間休みなし？いつ連絡が来るか分からない
製品を製造する工場というのは、24時間フル稼働していることが多いものです。そのため、生産管理の担当になることはつまり、いつ現場の担当者から連絡が来てもおかしくないということになります。
工場の設備や機器の故障、発注ミスや納期の遅れ、配送に関するトラブルなど、生産管理者のもとにいつ・どんな連絡が来ても不思議ではありません。
つまり、24時間フル稼働している工場と同じように、生産管理者には明確な「休み」という概念がほとんどないと考えて良いでしょう。これは考えている以上にきついことです。
これから生産管理の担当者を目指そうというのであれば、「自分の時間がゼロになるかもしれない」という覚悟をもって臨む必要があるでしょう。
クレームは日常茶飯事！強い精神力が必要
生産管理の担当者の元に寄せられる相談というのは、設備の故障や発注ミスといったトラブルだけではありません。クレームも多く寄せられます。
特に品質や納期、コストに関する問題など、シビアな対応が求められるトラブルも多く、お客様はもちろん、他部署に頭を下げて回らなければいけないことも多いのです。
こうしたクレームに対応しなければいけない場面に多く遭遇することは日常茶飯事ですから、「きつい・耐えられない...」という感情に支配されることもあるでしょう。
このように、生産管理の仕事は体力面だけでなく、精神面でも試される場面が多いため、体力に自信がない人や心が折れやすい人などにとっては、きつい業務になることは間違いありません。
「意外と楽しい！」生産管理の仕事をきついと感じない人
高いコミュニケーションスキルが求められることや、体力的にも精神的にもつらいことが多いことから、世間からはきつい仕事であると認識されているのが生産管理の仕事です。
そのため、「もっと楽しく仕事がしたい」「正直なところ、ここまできつい業務だとは思っていなかった...」と、言って早期に離職していく人は少なくありません。
しかしその一方で、生産管理の仕事を「思った以上に楽しい」として、いきいきと働いている人がいるのも事実です。それでは、生産管理の仕事を「面白がれる」感性を持った人とは一体どのようなタイプなのか、探っていきます。
生産性を高めることに面白みを感じられる
製品の受注から出荷に至るまでをトータル的に管理するのが生産管理という仕事です。単純に状況を把握してスムーズに全体がまわるように手筈を整えることはもちろん、生産性を高めるために尽力していくことも大切です。
より効率よく作業をするためには何が必要で、何が不必要なのか、お客様と会社どちらも満足できる結果を残すためにはどのようにしたら良いかなど、いろいろな角度から検証していくことも必要になってきます。
つまり、生産管理というきつい仕事に就いたからには、「与えられた仕事をただこなすだけ」ではなく、「自分から積極的に業務改善に取り組む」姿勢を持つことが求められるのです。
製品完成までの工程にたずさわれることに喜びを感じる
生産ラインの始まりから終わりまで、常に状況を細かく把握しておく必要がある生産管理という仕事は、並大抵の精神力では務まりません。きついと感じることも一度は二度ではないでしょう。
しかし、きつい業務でありながら、製品の受注から完成・出荷に至るまでの全工程にたずさわることができることに大きな喜びを感じられる人は、生産管理のポジションにすんなり慣れることができるでしょう。
このように生産管理の仕事は大変な業務であるからこそ、最終的に業務が遂行できた時には、驚くほどの達成感・充足感を味わうことができるのです。
やりがいはあるがきつい！生産管理の仕事を続けられないと思ったら転職を考えよう
生産管理の仕事が「きつい」と言われる理由や、生産管理の仕事が長続きしない人の特徴、さらに生産管理の仕事を「きつい」と感じない人によくみられる特徴などについて、くわしく解説してきました。
臨機応変な対応が求められ、プライベートの時間を確保することが難しいことやクレームへの対応を迫られることも多いなど、生産管理の業務は、やりがい以上に「きつい」仕事であると言えます。
ですから、「もうこれ以上、生産管理の仕事は続けられない」と、感じるようになった時には、体調を崩す前に退職・転職することも検討するようにしましょう。