プロスペクト理論から考えるFXで勝つための取引方法。

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FXは取引、相場の動きとあらゆる場面でトレーダーの心理が問われます。

そのため知識や経験だけでなくトレーダーの精神面、心理の問題もFXにおいて重要となるのです。

FXに限らず投資における心理に対する行動を見るものとしてプロスペクト理論と呼ばれるものがあります。

普段名前を聞かない理論なため、内容を知らない方の方が多いでしょう。

ではプロスペクト理論はどのような内容であり、FXの相場においてどう作用しているのでしょうか。

利益を優先し、損失を拒否するプロスペクト理論

プロスペクト、普段は聞かない名称ですが英単語であり予想、見通し、期待といった意味があります。

理論という名の通りある状況の中で人間がどういう選択をするかのモデルであり、1979年にダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーが提唱しました。

どちらも心理学者であり、カーネマンは2002年に理論が理由でノーベル経済学賞を受賞しています。

トベルスキーが受賞していないことに疑問を持つかもしれませんが、残念ながら彼は1996年に亡くなっておりもらえる状態ではありませんでした。

リスクを嫌がる性質

理論につきましては最もよく出される例題がコインに関する選択です。

「無条件で100万円手に入る」と「コインを投げて表なら倍の200万、裏なら50万」という2つの選択肢があったとします。

前者は何もせずとも100万円手に入り、後者はコインという不確定要素が絡むものの運が良ければ前者よりも多くのお金が手に入るのです。

どちらを選ぶかは本人次第ですが後者が選ばれることはほとんどなく、前者を選ぶ方が多くなります。

選択肢としては前者は何のリスクもなしに手に入るのに比べ、後者は「もらえる金額が半分になる」というリスクがあるのです。

そのため多くの人間はリスクを確実に回避するため、運頼みの後者ではなく前者の100万を選びます。

選択肢から分かるのは人間というのは回避できるリスクはとにかく回避したいと考え判断する性質を持っていることです。

例えもらえる利益が多くなっても、リスクという問題がある限りは後者の金額を増やしたとしても結果は同じでしょう。

心理に関しては日常生活の中でも見られます。

例えばよく言いたいことはあるが黙っているという経験をした方も多いでしょう。

実際に言ってしまえば結果は良くなったのに、黙り続けて悪くなってしまうケースも珍しくありません。

これは「言うことで関係、立場が悪くなる」というリスクを恐れて判断されているものと考えられます。

他にはスーパーのタイムセールといった期間限定のキャンペーンもあるでしょう。

「逃したら手に入らない」となれば「逃すリスク」が頭に出て、購買や利用意欲が出てきます。

見て分かるように詐欺行為もこうした心理的なテクニックを利用して相手を騙そうとするものです。

見方を変えればこうした心理があるために詐欺行為はなくならないともいえます。

リスクが嫌なため、回避するために無謀な選択をする

先ほどの選択肢でリスクが嫌だと書きましたが、見方を変えるとリスクを回避するためであればどのような行動もするといえます。

プロスペクト理論の選択肢には別のものもあり、基本的に先のが提示されて後に出されるものです。

「50万ある借金が半分の25万になる」と「コインで表が出れば借金が清算されるが、裏が出れば倍額の100万になる」という選択肢があったとします。

前者は無条件で25万分の借金がなくなり、後者は上手くいけば借金はなくなるが倍に増えてしまうリスクがあるのです。

先ほどの例を考えれば前者の確実に25万なくなった方が的確な選択と考えるでしょう。

しかし先ほどと違いこの選択肢が出されると、後者を選ぶ方が多くなるのです。

この選択肢は先ほどと違い、借金というリスクを背負っている状態の話になります。

そのため確実に減らすより運次第でも借金をなくしたいと判断しやすくなり、リスクのある後者を選んでしまうのです。

選択肢はコインですが、恐らくコインを別のに変えても後者を選ぶ人間が多いのは変わらないでしょう。

清算される確率が倍額になる確率より低くても同じになります。

それだけ確率が低くなってもリスクをどうにかしたいという判断をしてしまうのです。

実際運よく清算される確率を引き当てれば判断は正しいことになります。

しかし確率を考えれば明らかに前者を選んだ方が適切となるのです。

FXにおけるプロスペクト理論の影響

リスクを嫌がり、回避したいという考えがある一方、リスクをどうにかできれば無謀な選択をしてしまうのがプロスペクト理論です。

実際FXでも該当するような場面は幾つかあり、負けトレーダーがしてしまっているパターンになっています。

損切りできない

プロスペクト理論が該当するパターンとして考えられるのが損切りできないという場面でしょう。

FXで取引する為替相場は完全に流れを予想できないため、取引を続けていれば間違いなく損失を動く場面が出てきてしまいます。

損失が出てしまえば大きくならないように損切りをするのが普通です。

しかし世の中にいる多くの負けトレーダーはそのまま損切りできず、大きな損失を出してしまうパターンが多くなっています。

これもプロスペクトによる「リスクを出したくない」という心理が関係しているのです。

実際FXの取引は注文して決済するまで結果は完全に出ません。

マイナスになっても決済しない限りは「損失」にならないのです。

そのため多くの負けトレーダーは出したくないために「そろそろ反転するはず」といった相場が持っているポジションの方向に動くと淡い期待を抱きます。

もちろん期待通りに相場が動き、マイナスがプラスになる時もあるでしょう。

予想を外してマイナスになっている時はトレンド発生して偏った流れになっているのが大半なため、淡い期待で終わってしまう可能性が高いのです。

そしてFXではロスカットと呼ばれる強制決済があり、機械側が処理する形で大きな損失になってしまいます。

利益をすぐ確定してしまう

損失の方で問題があれば利益の方でも問題は出てきます。

FXの損益は決済さえしなければ損失が出てもマイナスは確定しませんが、逆にプラスが出ても利益は確定しません。

相場の流れによっては利益としてプラスが出ていたのに、マイナスへ転換してしまう場合もあります。

そのため「利益を逃す」というリスクを考え、利益が少なくてもすぐに決済してしまうのです。

相場に絶対はないためその後マイナスに動いたとすれば正しい選択にはなるでしょう。

しかしFXの取引はプラスとマイナスで考えられるものであり、利益の出る回数が多くても1回で大きな損失を出してしまえばマイナスで終わってしまいます。

FXでは利益を少しずつ出して損失で全てなくなる行為を「コツコツドカン」と呼んでおり、トレーダーの負けパターンとして有名です。

取引のやり方にもよりますがもう少し待っていれば利益が大きくなったというケースも多いでしょう。

利益による心理の問題は過去の経験にも左右されてきます。

例えば昔「ここで決済していれば」という経験を味わっている場合はリスクを取りたくない気持ちが強くなり、余計に少しの利益で決済しやすくなるのです。

プロスペクト理論から考えるFXのやり方

プロスペクト理論のパターンに当て嵌まっているトレーダーはいつまで経っても勝つことはできません。

該当する方は以下の点を抑えて対策をしていきましょう。

損切りできるようにする

まずできるようにしたいのは損切りです。

損切りができないために大きな損失を出してしまっているため、利益の方だけ改善しても勝つことはできません。

しかしやろうと思ってもリスクを恐れるあまり、中々判断できない方も多いでしょう。

とにかく注文をする時、同時に逆指値注文の設定する癖を付けるしかありません。

損切りのラインは相場によって変わりますが、とにかく最初は自分なりの感覚で入れてみましょう。

的確な損切りは損切りの設定に慣れてから考えてください。

何よりも損切りできず大きな損失を出してしまっているのが問題なのですから。

しかしあまり深いところに入れると損切りの意味がなくなってしまうため、ある程度の範囲に設定しようとするのは大事となります。

また一度注文を入れた後はあまり変更しようとしないようにしましょう。

損切りを設定したところで出るのを恐れるあまり、相場の流れによって変えていくのは結局設定していないと同じになってしまいます。

プラスに動いている時は変更してマイナスが出ないようにする方法もありますが、損切りを上手くできていない時はとにかく触らない方がいいです。

利益は指値で決める

利益の方は指値を利用して決めましょう。

利確の方法は相場やトレーダー次第となり、できるだけ大きな値動きを取るのが基本となります。

しかし少ない利益で終わっている方は決済注文が上手くできていない状態です。

そのため自分で最大限の利益を取ろうとするより、キリのいい値で良いので指値注文で一定の利益を狙った方がいいことになります。

指値の設定は基本的に逆指値で注文した損切り以上の値にしましょう。

設定しないと損切りによる損失が大きくなってしまい結局は損大利小、コツコツドカンの原因になってしまうからです。

上手く利益が出せるようになったら、相場の動きから最大限の利益を狙うのに挑戦してみるといいでしょう。

取引ルールを決める

利益、損失にしても重要なのは自分の取引ルールを決めることです。

現在勝っているトレーダーも人間であるため、何もせず取引していけば同じようにプロスペクト理論の流れになってしまうでしょう。

勝ちトレーダー達が今も利益を出せているのは取引ルールを決め、淡々と取引を続けられる土台を作っているからです。

ルールがないと感情的な取引になってしまいやすく、プロスペクト理論の内容にすぐ当て嵌まってしまいます。

ルールを決めていない方はまず取引ルールを決めるところから始めましょう。

考えでプロスペクト理論を克服していく

心理的な問題になるため知識や経験と違い、プロスペクト理論が原因による負けはすぐ対策できるものではありません。

対策したいと思う場合は普段の生活においてもプロスペクト理論を意識して、該当する行動を取らないようにしましょう。

取引や経験はFXの世界でしか機能しませんが、心理の問題は普段過ごしている日常にも関わってくるものです。

リスクを取らない判断は大事ですが、一方で余計なリスクを作らない判断も必要になります。

自分がプロスペクト理論に当て嵌まっているか、今一度考えてみましょう。

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