FXの取引は一つのポジションを保持するだけでなく並行して複数持てます。
複数持てば管理しなければいけないポジションも増えるため、初心者にはおすすめできません。
しかし複数保持するのを上手くやれば単独で持つより利益を出せます。
複数持つ手法として有名なのが両建てであり、FXの勉強をしていけば目にする手法です。
では両建てとはどういう手法であり、取引ではどう使えばいいのでしょうか。
目次
買いと売りのポジションを同時に持つ両建て
FXは買うだけでなく売りからも入れる投資です。
そのため相場が下落している時でも売りから入ることにより利益を得られます。
FXは複数のポジションを持てますが一つは買い、一つは売りで持つことも可能です。
両建てはこの買いと売り、どちらも同時にポジションを持てる特徴を利用した手法となります。
単に買いと売りを持つだけでは該当せず、両建ては同じ通貨ペアで買いと売り、両方のポジションを持つ行為を指すのです。
そのためドル円のポジションを買いと売りの両方持てば両建てしていることになります。
両方のポジションを持つ意味とは
情報によって変動するといえど相場は基本的に上か下、どちらに動くかしかありません。
買いで入れば上昇でプラス、下落でマイナスとなり売りで入ると逆になります。
仕組みが分かれば両建てで同じレートのポジションを持った場合、片方がマイナスになってももう片方はプラスになるため損失を相殺できるのです。
どれだけ下落しても売りのプラスが買いのマイナスを補ってくれるため、そのまま保持していればロスカットが起きないという考えになるでしょう。
またポジションは同時に決済する必要はありません。
そのため下落したところで売りを決済、上昇したところで買いを決済とすればどちらか持った時だけよりも多くの利益を得られるのです。
むしろ相場の動きにより決済を上手く行って利益を得るのが両建ての使い方でしょう。
初心者にはおすすめできない手法
内容だけ見れば損切りしなくて済み、上手くやれば利益を増やせるやり方ですがFXを始めたばかりの初心者が手を出してはいけません。
両建てはやり方さえよければ問題ありませんが、間違えると途端にリスクが大きくなる手法だからです。
どちらも決済で利益を出せればよいのですが、逆にいえばどちらも損失で終わる可能性もあるといえます。
損失で終われば単独でポジションを持った時よりプラスどころかマイナスが増えてしまうのです。
利益で終わらせるには相場の流れをよく見て注文と決済のタイミングを計る必要があるでしょう。
両方のポジションに気を配らなければいけないため、その分意識すべき点が多くなります。
取引のやり方を理解しているトレーダーならまだしも始めたばかりの初心者では荷が重いでしょう。
また同じレートのポジションを持てばプラスがマイナスを相殺するのは間違っていません。
しかしマイナスによる損失が発生しているのは変わらず、プラスのポジションで誤魔化しているに過ぎないのです。
更に差し引きでゼロになっているため損失だけでなく利益も出ません。
2つのポジションを持っている都合上、3つ目も持ちにくい状態なため、保持したままだといつまで経っても取引で利益を出せないでしょう。
相場の流れでマイナスがプラス側による可能性はありますが、損切りしないで持っていると修正不可能な位置まで流れている可能性の方が高いです。
基本的に手を出さない方がいい手法
しかし初心者でなければいいかというと、一般のトレーダーも基本的に手を出さない方がいい手法になっています。
買いと売りの両方で利益を出したい場合は相場の流れに気を配り、良いタイミングで決済しなければいけません。
トレーダーは今の相場が両方のポジションを持って損失が出ない状態か、どこで2つを決済するか考える必要があります。
今後の流れも上下共々予測しなければいけないため敷居が高くなっているのです。
何よりも手法としては必然的にリスクの高い取引となるため、単純に使えば損失の危険性を増やすだけとなります。
両建てを利用して利益を出している専業トレーダーがいるのも事実です。
しかし両建てを使わなければ利益を出せないというわけではないため、自分からリスクを増やす真似をする必要はありません。
両建てを使うぐらいであれば別のリスクが低い安全な手法で取引していきましょう。
両建てで取引を考える場合の業者選び
リスクを理解していても両建てでの取引を考えるトレーダーもいるでしょう。
覚悟して両建てを利用する場合、まずするべきことは業者選びとなります。
どの業者を選ぶかで両建ては上手くやっていけるか変わってくるからです。
両建てができる業者を選ぶ
両建ては全てのFX業者でできる手法ではありません。
理由は違えど両建てを禁止にしている業者が存在するのです。
禁止にしている業者を使えば違反として口座凍結されてしまうでしょう。
そのため両建てで取引したい方は禁止にしていない業者を選ぶ必要があります。
しかし口座開設をする時は両建てについて意識していない方も多いでしょう。
現在自分の利用している業者で禁止にされている場合は改めて可能な業者を選ぶしかありません。
業者が変われば取引の環境も変わるため、今利用しているところとは取引の勝手が変わることに気をつけましょう。
基本的に国内と比べ海外業者は禁止していないため、海外を選択肢に入れるのも一つの手です。
禁止されている両建てに気をつける
しかし両建てを禁止にしていない業者でも油断してはいけません。
両建てそのものは禁止にしていないが、特定の使い方は禁止にしている業者も多いからです。
内容は様々であり窓明けや経済指標といった大きな変動が起きる時の両建てを禁止にしています。
他にも一つの業者を使っていれば問題ありませんが買いのポジションを持ち、別の業者で売りを持つという複数跨った両建てを禁止にしているところも多いです。
主に海外業者となりますが、中には口座を複数持てるところもあり別々の口座を利用した両建ても禁止にされています。
他人同士の口座による両建ても禁止となっていますが、そもそも他人同士でポジションを持つというのは両建て以前の問題でしょう。
他にも価格差を利用したアービトラージと呼ばれる取引での両建ても禁止です。
どのような使い方が禁止されているかは業者により異なります。
両建てを使う方は利用禁止にされていなくても、どのような使い方をしてはいけないか確認しておきましょう。
一部は故意的にやらなければ問題ありませんが、中には無意識にやってしまうケースもあります。
自分的にやってしまうという危険性がある場合は別の禁止にしていない業者を探した方がいいでしょう。
スプレッドと証拠金を比較して選ぶこと
両建ては2つのポジションを持つため、実質手数料を2倍支払うような状態です。
そのため両建てをする場合は業者の手数料であるスプレッドの広さが問題となります。
スプレッドがどれだけ広いかは業者により変わるため、比較して狭いところを選びましょう。
通貨ペアによっても広さは変わるためドル円の場合はいいですが、特定の通貨ペアで両建てを考えている場合は該当する種類のスプレッドを比較してください。
また禁止にしているやり方の違いがあるように、両建てのルールも業者により変わります。
個別に証拠金が必要になる場合もあれば、片方のみ必要という場合もあるのです。
両方必要になるとその分資金を用意しなければいけないため、片方のみ必要としている業者を選ぶといいでしょう。
両建てでどう取引していくべきか
業者を選び終わったら取引となりますが、考えなしに行えば損失が出るのは目に見えています。
両建てで取引をする場合は以下の点を抑えてしましょう。
資金は十分に用意する
まず取引をする前に必要な資金は十分に用意しましょう。
片方しか証拠金の必要がない業者を選べば倍の金額を用意しなくてもよいですが、問題は他にもあります。
買いと売りの両方持つため、どのように相場か流れても必ずどちらかにマイナスが出てしまうのは避けられません。
そのためマイナス分の損失に耐えられる資金を持たなければいけないのです。
普段の取引と同じく相場に振り回されてどちらのポジションも損失が出てしまう可能性は考えられます。
単純に損失が増えてしまうため、それに耐えられる資金も必要なのです。
十分な資金を用意できないトレーダーは両建てで取引を考えないようにしましょう。
相場における上下の動きを狙って取引する
単に買いと売りの両方を持っただけでは片方はプラスが出ても片方はマイナスになってしまうため意味がありません。
どちらもプラスになる場面でそれぞれのポジションを持つ必要があるのです。
そのため相場の流れを読まなければならず、普段の取引と同じく現在トレンドかレンジのどちらになっているか分析するのが重要になります。
トレンドは流れが一方に偏っている状態ですが、一直線ではなく反転する時もある相場です。
両建てのやり方としては流れの方向へ順張りをする一方、反転する場面を狙って片方のポジションを持つのが基本となります。
問題は反転を狙った取引の部分であり、どこで反転するかを見極めなければいけません。
見極める場合はエリオット波動の法則を学んでおきましょう。
エリオット波動は上昇と下落のサイクルを波で表した理論であり、トレンド相場で意識されるものです。
両建てだけでなく普段のトレンド相場における取引にも役立ちます。
レンジは上下に動き特定のラインで反転する相場です。
そのため普段の取引では反転した部分で入りますが、両建ての時は同時に片方のポジションも持ちます。
レンジはどう動くか読みづらい相場なため、もう片方を保険として持つのです。
流れでもう片方にプラスが出た時決済しましょう。
決済は拘らず妥協すること
上手くいけば両方利益は出せますが、一方で両方に気を配らなければいけないためどちらかで最高の結果を出すのは難しいです。
そのため買いを天井、売りを底で決済するのは上手く行かない場合が多いでしょう。
少しの利益で決済するのも問題ですが、両建ての場合はある程度利益が出れば決済してしまいましょう。
あまり大きな利益に拘ると相場の流れで損失を出してしまう恐れがあるからです。
マイナスになるくらいであれば少しのプラスの方がいいでしょう。
もちろん相場の流れに応じてそれぞれどのくらいの利益が見込めるか違います。
分析した時にどちらもどれくらいを妥協点にするか考えておきましょう。
利益はもちろんですが損失が出た時の決済も重要です。
損切り設定しておかないと片方で大きな損失を出す危険があります。
よくネット上では「損切りする必要はない」と書いてあるところもありますが、間違った情報です。
損切り注文に関しては難しく考える必要はなく、それぞれのポジションで「ここまで行くと危険」と判断できる部分に設定すればいいでしょう。
両建てしない判断も必要
一度両建てをすると決めれば常に使わなければいけないというルールはありません。
相場の流れによっては両建てで入る危険性が高いと考えれる場面も出てくるでしょう。
両建て自体リスクのある取引なため、わざわざ自分からリスクの高い取引をするのは負けに行くようなものです。
危険だと判断できた場合は両建てを使わず普段通りの取引をしましょう。
両建てで危険な場面として有名なのは経済指標による動きがあります。
経済指標は重要な情報であれば相場に大きな変動をもたらすものですが、どちらに動くかは結果が出ないと分かりません。
どちらかで利益を出そうと両建てで手を出すトレーダーも多いでしょう。
しかし一方の注文を上手く損切りできればよいですが、経済指標による動きはスプレッドが広がり損切りも上手く機能しないケースが多いです。
そのため思った以上に損切りの方が大きくなってしまう可能性も高いでしょう。
チャンス以上にリスクの方が大きいため、経済指標で両建てをするべきではありません。
両建ては十分な経験を積んでから
両建ては初心者だけでなく一般のトレーダーからしても敷居が高い手法です。
そのため両建てで取引したいと考える方は、まず普段の取引で勝てるようになる知識と経験が必要でしょう。
取引を続け安定して勝てるようになった時、両建てに挑戦するか考えてください。