弓道の早気(はやけ)の原因とは?早気の克服方法をご紹介。

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早気ってイヤですよね。

一度クセにしてしまうと、頭では「会で伸び合いをしないと」と思うのに、いざ引き始めると会に入ってすぐに離れてしまう…。

何とか治したいのに思うようにいかず、すごく心が折れることがあると思います。

今回は、そんな早気について紹介します。

  • 早気とは
  • 早気の矯正方法
  • まとめ

それでは、さっそく紹介していきましょう。

早気とは

「早気」は「はやけ」と読みます。

引き分けから会に入った途端や、入ってすぐに間をおかずに離してしまうことです。

早気は射法八節の基本から外れるため、審査ではやってしまうとほぼ昇格できません。

「そんなの会で間をとればいいだけ。治すのは簡単でしょ!」と思われるかもしれませんが、クセになったり、的中率を気にして不安に駆られてしまうと不思議とそれができなくなってしまうのです。

本人に自覚があればこそですが、周囲の注意や指摘が焦りにつながってしまい、さらに悪化してしまうこともあります。

しかも、すぐに修正できる人は稀で、矯正にはかなり時間がかかります。根気よく向き合っていかねばならないのです。

早気の原因

早気になってしまう原因として、下記が考えられます。

弓が強い(重い)
弓の強さが合っていない、強すぎる場合に起こります。

会まで何とか引いてきたとしても、そこで耐える力がなく、すっぽ抜けるように、もしくは、力尽きるように離れてしまいます。

学校弓道で貸出用の弓を使う場合、後輩が入ってくる新学期を見据えて、様子を見ながら弓の強さを上げていくのですが、その時にもおきがちです。

弱い弓では会で間を持っていた人でも、弓を強くした結果、会で耐え切れずそれが癖になってしまうと矯正するのが大変です。

自分に合った強さの弓を使うようにしましょう。

中てたいという気持ちの焦り

「中てたい」という気持ちから生まれる焦りが原因になることもあります。

的中を気にするばかり、会での伸び合いに意識を向けられず、結果を求めて離れてしまうのです。

中ることが珍しいことではなくなった初心者や中級者によくみられ、特に、弓道のセンスがある人、負けず嫌いの人がなりやすい傾向があるように感じます。

この早気の厄介なところは、「早気のなり初めの時期は的中率が上がる」ことです。

だからこそ、会で力を溜めるより、会に入るか入らないかのうちに離した方が、的中が上がってよいと自然に体が覚えてしまいます。

が、的中が上がるのは、最初の時期のみ。その時期を過ぎると、会を保てず、的中率がガクッと落ちるだけでなく、顔や腕をはらってしまうことなどにもつながります。

どういうことかというと、早気のなりはじめは、引き分けから会に向かい入れ続けている力を利用して離すので、弓手をよく押している状態で離れができ、あたりにつながりやすくなります。

ですが、これは最初のうちだけです。

クセになってしまった場合、ある高さまで弓手と馬手が下りてくると目標に到達したと自然に認識されるかのように、伸び合いの力が抜け、すっぽ抜けるような感じで離してしまうようになるのです。

そうなると、伸び合いができないことになり力が発揮できず、中らなくなります。

中らなくなると気持ちが焦り、更に的中を欲するようになりますよね。

一度「早気にすると的中が上がる」という経験を積んでしまっているので、中てたいがために更に早気が進んでしまうという悪循環に陥るのです。

知らずにクセになっている

知らずしらずのうちに、会で持つ間が短くなってしまっている場合があります。

射手には早気をしている意識がないのですが、気が付いたら間が極端に短くなっています。

個人の感覚にもよるのでしょうが…5秒を数えるとしても、「いち、にー、さん、しい、ごー」と数えるのと「イニサシゴ!」と数えるのとだと大分間が違いますよね。

そんな感じで、伸び合いの時間が短くなってしまっているんです。

会に入る前に離すというほどの早気でなくても、会での伸び合いが短すぎるクセから、のちに本格的な早気になってしまう可能性があります。

本人が気づけていない場合は、指摘してあげてください。

早気の矯正方法

弓が強い場合

弓の強さが合わない場合は、弓の強さを変えるというのが一つの手です。

ですが、弓の強さを弱めてすぐのタイミングでは、会でいつもより多く間を持つように心がけてみてください。

強すぎる弓を引いていた際についてしまった変な癖をなくすよう一つ一つの動作を意識して引くとよいと思います。

また、もう一つの方法として、弓の強さを変えず、筋力をつける方法があります。

一朝一夕にはできませんが、素引きで会の状態を保てるように訓練して筋力をつけてから巻藁、的前での練習に移るとよいでしょう。

気持ちの焦りが原因の場合、クセになっている場合

弓の強さが合わない場合より、こちらの矯正の方が大変です。

とにかく根気が必要なので、早気を治そうという意思と覚悟を固めなければ治りません。

中らなくても気にしない、射形を直すつもりで臨みましょう。

まず、素引きやゴム弓で初心に返り射法八節の一つ一つの動作をゆっくりとる練習をします。

会では、とにかく5秒以上、保てるだけ保ってください。

そして、残心を普段より長くゆっくりとります。

これを繰り返してください。とても簡単そうに見えますが、早気の癖がついている場合、会で間をとり、残心をしっかり取るというのが意外に難しいです。

それができるようになったら、巻藁で練習します。

射法八節をゆっくりと時間をかけて取り、会で同じく5秒以上保ちます。

可能なら声に出してゆっくり目に数えるとよいです。

これで自信がつくまでは、的前に出ない覚悟で矯正しましょう。

矯正がうまくできていない状態で的を前にすると、的中を意識してしまい、早気に戻ってしまう可能性があるからです。

巻藁で早気を矯正できたら、いよいよ的前で練習します。

いつもより射法八節をゆっくりとること、会で5秒以上保つこと、残心を長めにとることを意識してください。

あとは、ひたすら我慢して矯正するしかありません。

治るまで半年かかることもあります。クセの矯正は精神的に本当にキツイですね。

すぐに治るものではないと割り切って、根気強く頑張ってください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。早気は、自身が意識して治そうとしないと治りません。

しかも、クセの矯正ですので、1日で治るわけではなく矯正に時間がかかります。

精神的に結構ツラく、自分との闘いです。

気持ちは焦るかと思いますが、ある程度割り切って、ゆっくり治してくださいね。

また、周囲の人も、あたたかく見守ってくださいね。

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