不登校の回復期の特徴とは?家族ができる正しい接し方。

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不登校と一言で言っても、実は3つの段階があるのです。

1つは不登校になったばかりで、無気力状態であったり暴力的になったりと混乱状態が続く『不登校初期』、学校に行くことは出来ないけれども、振る舞い自体は非常に落ち着いている『不登校慢性期』、そして最後が『不登校回復期』です。

高校生の子どもの場合は無気力状態が続くことが比較的多いのですが、そこから脱して親の手伝いをするようになったり、家の外に興味を示すようになって来たりするのなら、子どもが回復の兆しを見せていると考えて良いでしょう。

特に積極的に家のことをするようになったり、自ら「学校に行きたい」と言い始めたりする時期を『回復期』といいます。

回復期はその名の通り、不登校になった子どもが精神的にかなり安定している時期です。ですので、親御様の視点だと「不登校になる前の姿に近くなった・戻ってきた」と喜ばしく感じられるのもこの時期の話だと思います。

ここまで来れば、もう問題はない。放っておいても学校に復帰してくれる……とは言い切れませんので、要注意です。

不登校回復期といえども、まだまだ子どもには周囲のサポートが必要となります。むしろ、回復期に何か失敗してしまえば、初期段階よりももっと酷いことになってしまう可能性がありますので、不用意なことはするべきではないと言えるでしょう。

子どもが回復期に入った場合には、以下の事に気を付けるべきです。

  • 学校にいきなり行かせない
  • 子どもの意思を尊重する
  • むやみやたらに子どもの言葉を否定しない
  • 子どもを信じる

以下、それぞれの詳細について述べさせていただきます。

学校にいきなり行かせない

これは特に子どもが自ら「学校に行きたい」、「学校に行く」と言った場合にやってしまいがちなミスです。特に子どもを最も近くで見守っている親御様が注意すべき事柄です。

「子どもが学校に行きたいと行ったのだから行かせて良いじゃないか」と思われるかもしれませんが、そうではないのです。

学校の立場になって考えてみましょう。何週間も学校に来ていない子どもがいきなり登校すれば、現場は間違いなく混乱します。

いきなりいじめられるようなことはなくとも、腫れ物に触るような態度を取られたり、変に距離を置かれたりすることによってせっかく回復期に入っていた子どもがショックを受けるかもしれません。最悪のケースだと、子どもは「ここに自分の居場所はないんだ」と考えてしまい、二度と学校に行こうとしなくなってしまうかもしれません。これだけは何としてでも避けなければなりません。

ですから、子どもが過ごしやすい環境を整えてもらうためにも、登校させる前に学校にコンタクトを取り、子どもを受け入れる準備をしてもらいましょう。

「学校に所属しているのだから、登校は当然の権利なのだから連絡を入れる必要はないだろう」と考える気持ちも分かりますが、不登校が長引けば長引くほどに現場は混乱しやすくなるということを忘れないようにして下さい。

また、不登校の子どもの状態にもよりますが、「周りはそれほど深く考えていないのだから、あまり気にしすぎないように」と事前に声掛けをしておくのも一つの手かもしれません。

不登校の子どもはデリケートになっています。子どものタイプにもよりますが、過度に周囲の目を気にする傾向があると言えるでしょう。ですから、大抵の子どもは周りの、特に身近な同級生たちの視線や態度が酷く気になってしまうのです。

そして不登校になっていた子が久しぶりに学校に来たとなれば、事前に知らされていたとしても他の子は少なからず気にしてしまうことでしょう。それはある程度仕方のないことですから、これに関しては不登校になっている子どもの方が覚悟を決めておくべき案件です。

ですから、事前に言っても大丈夫そうな状態であれば、学校に行く前に一言「大丈夫だよ」と助言をしておくべきかもしれません。

子どもの意思を尊重する

これも比較的よくあるケースなのですが、子どもが「学校に行きたい」と言っても親が何らかの理由で登校を阻んでしまうことがあるのです。

理由としては「不登校初期時点での学校の対応が気に入らなかった」、「初期時点まで状況が逆戻りするのが怖い」などが考えられますが、どちらにせよ学校に行きたがっている子どもの意思をないがしろにしてしまうようではどうにもなりません。この問題は大抵、保護者と学校の信頼関係がまともに築けていない場合に発生します。

ですが、この類の問題に子どもは関係ありません。

子どもの意思を尊重できない理由がある場合は「この判断に間違いはないのか」、「子どもに悪影響を与えていないか」をしっかりと考えるようにするべきでしょう。

それが善意であるとしても、親の意見を子どもに押し付けてはいけません。出来る限り、子どもの意見・主張を尊重するようにしましょう。

むやみやたらに子どもの言葉を否定しない

上の項目に繋がる話でもあるのですが、大人目線で子どもが到底実現し得ないと思うようなことを発した時、「まだ無理だ」、「出来るわけがない」と言って子どもの意思を制してしまうことが多々あります。

分かりやすい例を上げると、「学校に行きたい」と言う子どもに対して「まだ早い」、「もっと休んでなさいよ」と言ってしまうなどが挙げられます。

確かに大人は、子どもの無謀な行動を止める義務があります。しかし、だからといって闇雲に制していたのでは子どもの自発性が全く生かされないのです。

不登校改善で大切なのは、子どもの意思です。

周りがどれだけサポートしても本人の意思が伴わなければ一切解決しないことからも分かるように、子どもの意思ひとつですべてが決定すると言っても過言ではありません。

その意思を親や周囲の大人たちが潰してしまっているようでは、不登校はいつまで経っても解決しなくなってしまいます。

子どもを信じる


大人の仕事は、子どもを守ることです。

ですから、一度不登校になってしまった子どもを心配するあまり、空回りした行動をしてしまうことも多々あります。

大人だって人間なのですから、失敗して当然な部分はあります。ですが、不登校回復期の子どもに対するアプローチはひとつ間違えばとんでもないことになりかねません。

ですから、最低限必要な場面だけでも失敗は避けていくべきでしょう。その最低限必要な場面というのが「子どもを信じるべき場面」です。

不登校になり、回復期を迎えた子どもはその段階に至っても自分自身への自信を失ったままです。それでも、今のままではいけないと、何とかしなければと変わろうとしているのです。その決意を大人が潰してしまうようではどうしようもないのです。

大切なのは、子どもを信じることです。

また不登校に逆戻りしてしまうかもしれない、その不安も分かります。当然、実際に不登校に逆戻りしてしまうこともあります。こればかりは状況次第ですので、避けられない部分があります。

しかし、家に閉じこもったままでは何も変わらないというのもまた事実なのです。

大人は子どもを信じ、逆に変わらず子どもを受け入れる体制を保つべきです。

登校してみて駄目だった時も、ちゃんと受け入れてもらえる。行く場所がある……その安心感があるか無いかでも、結果は変わります。

大人はどっしりと構えて、子どもの成長を見守りましょう。

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