勉強が嫌いで不登校になってしまった子どもへの適切なサポート方法

子どもが不登校になってしまう理由で、意外にも多いのが「勉強嫌い」です。

特に「学校は勉強をするための場所!」と考えている子ども(それも間違いではありませんが……)が勉強嫌いな場合、学校はただただ苦痛を感じるだけの場所になってしまいます。

行きたくない、と言い始めるのも無理はありません。

ただ「勉強嫌い」と言っても、その根本にある理由はいくつかのパターンに分けることができます。

  • 勉強が面白くないから
  • 何のために勉強しているのか分からないから
  • 成績が伸びず、自信喪失に繋がっているから

これから生きていくために、学校での勉強が必要となることは事実です。

しかし、苦痛でしかないことを強いられるのは大人でも辛いことです。

ですから、ただ一方的に「勉強しなさい!」と言ってはいけないのです。

勉強嫌いによる不登校の場合、「勉強嫌い」を改善出来るのが一番の理想です。

しかし、それが出来ずとも子どもの苦痛に寄り添うことが出来れば、物事は良い方向に動いて行くはずです。

ケース1:勉強が面白くないから


このタイプの子どもは他に面白いことを知っていて、勉強に費やす時間を無駄と感じていることが多いです。

そのため、勉強をしに学校に行く時間さえも別の『面白いこと』に回してしまいたいと考え、不登校になってしまうパターンです。

時間を無駄にしたくないと考えている、よく言えば合理的な子どもです。そこは評価してあげるべきなのではないでしょうか。

ですが、それでは困りますので何とか投稿刺激を与えていきたいですね。

対処1:勉強に興味を持たせる

不登校状態を何とかするために、1番手っ取り早いのは『何らかの科目に興味を持たせること』です。

ここでは目に見えるテストの点数や成績ではなく、「出来なくても良いから楽しめる」状態に持っていくのが理想です。

ゲームが好きならば、唯一の答えを導き出す過程を楽しめる数学や理科に、漫画や小説が好きならば物語性を求めて国語や歴史に関心が向くこともあります。

5教科にこだわらずとも、体育や音楽といった身体を使って楽しめる科目に関心が向くのも良いですね。

作業としての勉強が好きな子どもはいません。勉強が好きな子は、その科目の中の『何か』に食いついているのです。

このようなタイプの子は「勉強が楽しい気持ちが分からない」と首を傾げていることが多いので、着眼点を変えるように働き掛けてあげると良い方向に動くことがあります。

対処2:勉強以外で楽しむようにする

もはや最終手段なのですが、不登校解決のために勉強を諦めさせるのもひとつの手です。

勉強が嫌いな子、苦手な子というのはどのクラスにも存在しますが、これが理由で不登校になってしまう子は案外レアケースです。

勉強が出来なくても、そういった子は友達と遊んだり、部活動で汗を流したりと別のことに楽しみを見つけているのです。何も勉強だけが学校の存在意義ではありません。

ですが、不登校になってしまう子は「勉強しなければ学校に行ってはいけない」と考えている部分が少なからずあるようです。他の楽しみを見つけていたとしても、勉強があるから学校に行きたくない……となってしまうのです。

勿論、単位取得の関係で課題が山積みになってしまうこともありますし、居残りする羽目になることもありますが、不登校改善の為には「それでも良いんだ」と開き直ってしまうのもアリなのです。

単位取得、という意味では出席日数が最重要ですので、成績不振よりも不登校を続けてしまうことの方が良くないのです。

ですから全てを一気に解決しようとせずに、1つずつ段階を重ねていくようにしましょう。

ケース2:何のために勉強しているのか分からない

ケース1と似たような内容なのですが、こちらは子どもが納得できる理由を示すことが出来れば解決することが多いので、別枠でご紹介します。

大人はよく子どもに「何で勉強するんですか?」と尋ねられます。

与えられた課題をひたすらこなすことに対し、疑問を抱くのはどの段階の子どもでもよくあることです。成績の善し悪しはともかく、頭の回転が速い賢い子に多い質問ですね。

相手は賢い子ですので、「やらなければならないから」といった抽象的な話では納得してくれないものです。

そして勉強することが馬鹿らしくなってしまい、勉強への意欲が無くなってしまうのです。ちょっとした反抗期で済めば良いのですが、この流れで不登校になってしまうケースは少なくありません。

ですから、比較的納得してくれることの多い理由をここでは挙げていきたいと思います。

理由1:ちゃんと人と会話するため

一体何を、と思われるかもしれませんが、最も分かりやすく、子どもに対してそれなりの危機感を与える理由がこちらです。

知識レベルに差がある相手と会話をするのは、双方にとって非常に苦痛となります。

低い方は相手が何を言っているか分からずに不安になったり、相手に見下されている気がして不快になったりしますし、高い方は自分が伝えたいことをきちんと理解してもらえずにイライラしてしまうのです。

片方が我慢すれば良い問題ではありません。双方に悪い影響が出ます。誰と会話してもイライラする・させてしまうなんて、絶対に嫌ですよね。

ピンとこない場合は大学教授の討論映像など、知識レベルの違う人の『本気』を見てみると良いかもしれません。同じ日本人だというのに会話内容が高度過ぎますから、聞いているうちに段々と怖くなります。そこに放り投げられたとしたら……ゾッとしますよね。

高度な会話は専門家に任せるとしても、日常生活を送るにあたって一般教養くらいは身に付けておきたいですね。日本は高卒が普通になりつつありますから、高卒くらいの知識レベルは持っておくべきでしょう。

「別に日常生活で使わないし」、「最低限のことだけ知っておけば良い」という考えも一理ありますが、会話の引き出しを増やすためにも勉強は積極的にしておいた方が良いのです。

少なくとも「努力をした」という結果を持つだけでも、十分違います。

ちゃんと会話をしてコミュニケーションを取るために、人は勉強をするのです。

理由2:選択肢を増やすため、自分の身を守るため


上と比較するとあっさりしていますが、理由1は恐怖を与える類の内容ですから基本的にはこちらを提示すべきだと思います。

人はあらゆる場面で選択を強いられますが、そこで出来る選択はあくまでも自分自身が知っているものだけです。

世の中はゲームとは異なり、「はい」と「いいえ」だけではどうにもならない部分も多々あります。そこに具体的な「何か」を足すことが出来れば、それだけで心にゆとりが出来ます。

他者から選択肢を提示されることもありますが、それはもしかすると相手にとってだけ都合の良いものかもしれません。何も知らず、何も考えずに相手の言う通りにしていれば、そのうちとんでもないことになってしまうかもしれません。

書類にサインをするだけのことでも勉強は役に立ちます。

  • 国語:書類を読み、不備がないかを見抜く能力
  • 数学:金額設定が適正かどうかなど、数字に関する正当性を求める能力
  • 社会:過去のケースや一般的な状況と差違が無いかを見極める能力
  • 理科:使用しているものがおかしくないかなどを確認する能力

……などなど、身に付けた知識を用いて書類の問題を見抜くことが可能です。

本当にその書類はサインして大丈夫な書類なのかを自分自身の力でチェック出来れば心強いですよね。

このように、選択肢を増やすだけではなく自分の身を守るためにも勉強は必要なのです。

ケース3:成績が伸びず、自信喪失に繋がっているから


最後のケースは、子ども自身が目に見える成績に囚われてしまっていることによっておこります。

どうせ努力したところで無駄だ、自分なんて……と閉じこもり、学業だけでなく自分自身にさえ自信を持てなくなり、物事を前向きに考えられなくなっているのです。

このケースへの対処法はシンプルで、「勉強だけが全てではない」と理解させてあげることだけが突破口であるといえます。

「勉強が出来ない自分はダメな人間だ」といった認知の歪みが発生していることが非常に心配ですので、まずは成績を伸ばすことよりも、失ってしまった自信を取り戻してあげることを優先すべきでしょう。

最悪の場合、うつ病の発症や引きこもりへの移行を発生させてしまう可能性もありますので、周囲でサポートをする立場の人々が優先順位をしっかりと理解し、導いてあげる必要があります。

『学問』だけが全てではない

学校では、生徒の『評価』が行われます。そのため、生徒ひとりひとりの実力が明確に数字やアルファベットで表されるのですが、そのせいで躓く子どもが出てしまうのもひとつの事実です。

社会に出れば、学校のように分かりやすく評価をしてもらえることはまずありません。しかし、それがメリットであることに気付けるほど、子ども達は長く生きてはいないのです。

特に、学校が自分の唯一の世界だと考えてしまっている子どもの場合はこの評価が自分の価値の全てであると感じてしまうことでしょう。

そして学校の評価はどうしても勉強に結び付きますから、勉強で躓いた子が学校に行けなくなってしまうのも無理はありません。

勉強が理由で学校に行けなくなっている子は、何かしらの認知の歪みが発生していると考えて間違いないでしょう。

その歪みを正すためにも、大人は勉強が嫌いだと訴える子どもたちの意見を馬鹿にしたり、怒って無理矢理正したりせず、しっかりと話を聞き、在るべき方向に導く手助けをするべきなのです。

学校は勉強をするための場所ではなく、人生も学問だけが全てではありません。

その事実を大人も理解し、立ち止まってしまった子どもに寄り添っていくことが重要です。

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