年々子どもの数は減少する少子化が進む中で、不登校児童の数は増え続けています。
ではなぜ学校に行けない子どもたちが増えてしまっているのでしょうか。
それは不登校生をとりまく学校環境が時代とともに変わってきていることも影響しているでしょう。
不登校の理由
まずは不登校のきっかけや理由から、なぜ学校に行けないのかを考えていきます。
いじめ
不登校の理由として最も多くあげられているのはいじめを含む対人関係の悩みです。
大人でも悩みの大半を占めるのは「対人関係の悩み」と言われています。
対人関係の中でも一番の問題となるのが学校でのいじめです。
学校へのいじめの調査によると、「いじめゼロ」と報告している学校もあります。
これは本当にいじめゼロの学校なのでしょうか?
正確には「いじめを発見できない学校」と呼ぶべきではないでしょうか。
いじめの実態をも把握できていない学校では、子どもの不登校理由として最も多い対人関係について解決の糸口を見つけ出すことは難しい状況と言えるでしょう。
クラスカーストの確率
クラスカーストとはクラスの中で地位、身分差、力の差をみんながそれとなく共有している状態のことをいいます。
誰が言い出したわけでもなく、クラスの中で「上位」「中位」「下位」のグループが形成されていくものです。
上位グループに入るのは運動部やギャルグループと行った目立つ生徒たちのいるグループで、下位グループはおとなしい地味な生徒が属するグループというのが代表的です。
以前はクラス全員が一人をターゲットとしていじめるといういじめでしたが、クラスカーストが確立した現在ではクラスのほとんどの生徒がいじめの対象となったことがあり、いじめの対象となったことのある生徒も誰かのいじめに加担したことがあるという状況で、ほとんどの生徒がいじめに関わっていると言えるでしょう。
そんな中で、子どもたちが人間関やクラスでの過ごし方に悩みを持つことはけして珍しいことではありません。
厳しい校則
不登校の理由として学校のきまりなどを挙げる生徒もいます。
- 「いつも先生が怒鳴っていて怖かった」
- 「給食中は私語禁止で楽しくなかった」
- 「校則違反をすると行いを正すよう全校生徒の前で誓わされた」
- 「毎朝校門で靴下やスカートの長さを測られ嫌だった」
- 「チャイム前に着席していないと怒られるのでゆっくり休み時間を過ごせなかった」
このように、学校側が子どもに求めるハードルを高くしているという傾向があります。
そのため子どもは息苦しさや違和感を感じ、学校に行けなくなってしまうのでしょう。
学校の規律を守るために大切な校則ですが、いきすぎると過剰な指導となり子どもたちのためにならないことを理解する必要があります。
発達障害などの特性
不登校になる生徒には発達障害などの特性を抱える児童も少なくありません。
発達障害は「わがまま」や「がまんが足りない」と言われてきましたが、近年の研究結果から本人の特性であり、本人がどうすることもできないこと、という認識も広まってきました。
また、HSCという人一倍敏感な子と言われる特性を持つ子もいます。HSCの子は誰かがつらい思いをしていたら一緒に悲しくなったり、痛みに敏感で騒音など騒がしい場所が苦手です。
このような特性を周囲がしっかり理解し、環境を整えてあげることがまだまだ課題とされています。
大きな理由もなく行けなくなることもある。
ここまでなぜ学校に行けないのか不登校の理由について考えてきました。
しかし、不登校は理由の明確なものばかりではありません。
漠然とした不安を抱き続け、大きなきっかけもないのに、ある日突然学校に行けなくなってしまうことがあります。
理由がない不登校は近年増えており、不登校生たちは一人孤独感や無力感を抱えています。
学校が社会のすべてである子どもたちにとって、学校に行けないということは大変な問題です。
この場合は、無理に学校に行かせたり理由を聞き出したりせず、まずは自宅でゆっくりと休養する必要があります。
家庭が安らげる場所と子どもが思うことができれば、こどもたちはエネルギーを充電しやがて飛び立っていけるでしょう。
保護者はそんな環境を整えてあげることが大切です。
学校に行けない子どもたちに親がすべきこと
なぜ学校に行けない子どもたちが増えているのか?について考えてきました。
現代のさまざまな学校環境や体制が子どもたちに大きな負担を与えているのですね。
子どもたちにとって学校とは社会のすべてです。
学校に行けない自分に自信を失い、孤独を感じているでしょう。
そんな時はぜひ保護者の方々が学校の非常口を見つけてあげてください。
学校で頑張ることも大切だけれど、学校に行けないことも悪ではないのだと。
学校に行けないことで自信をなくしてしまっている子どもたちの気持ちをしっかりと受け止め、「大丈夫よ」と包んであげることが大切ではないでしょうか。
そして子ども自身の自立心を信じ、見守ることも大切です。
子どもが学校に行けないのではなく、学校に行かないことを選んだと考え、子どもが自分で考えることをあたたかく見守りましょう。
もちろんアドバイスを与えたり、勉強の道筋を作ってあげることなどは必要でしょう。
しかし、親の考えを押しつけるのではなく、子どもの考えを尊重しましょう。
そうすることで、子どもは自分が信頼されていることを感じ、じっくりと考えた末に回復への糸口を見つけるでしょう。