知る人ぞ知るコーヒーの焙煎度合い・イタリアンロースト、他の焙煎との違いはご存知ですか?ヨーロッパを中心にポピュラーな焙煎で、エスプレッソにも取り入れられています。
今まさに飲んでいる豆がイタリアンローストかもしれません。もっと詳しく知れば、さらにおいしく飲めます。
目次
イタリアンローストの焙煎度とは?
まずはイタリアンローストの焙煎についてご紹介します。
焙煎・ローストとは?
焙煎(ロースト)は、コーヒー豆を直火で焙煎して水分を抜くことです。水分を抜きスポンジ状にすることによって、お湯に浸る面積が増えて抽出しやすくなります。そうして焙煎することで嗜好品としての飲み物の味になります。
コーヒー豆の販売業者やカフェが主に焙煎し、個人が自宅で焙煎することはほとんどありません。
8つのローストの種類
日本ではコーヒー豆の焙煎の度合いを8段階で表します。下に行くほど深煎りになり、イタリアンローストは最も焙煎時間が長い方法です。
- ライトロースト
- シナモンロースト
- ミディアムロースト
- ハイロースト
- シティロースト
- フルシティロースト
- フレンチロースト
- イタリアンロースト
イタリアンローストの特徴
イタリアンローストの豆の特徴を一言で言うと、「香ばしく苦味・コクがある」豆です。長く焙煎することで香りが高く香ばしくなります。
焙煎が進むにつれて、豆が持つ油脂分が出てツヤが出ます。この油脂をコーヒーオイルと言い、イタリアンローストのおいしさのひとつ、コクです。
コクが深い反面、少ないのは酸味です。焙煎が進むにつれて、フレッシュな酸味はなくなります。コクが特徴のコーヒー豆はイタリアンローストにして、酸味をなくしコクを前面に出すという方法があります。
イタリアンローストに使う豆
イタリアンローストという名の通り、イタリアをはじめヨーロッパでは深煎りのコーヒー豆が好まれます。一方でアメリカでは浅煎りの豆を使います。シナモンローストは別名アメリカンローストとも呼ばれるのはそのためです。
代表的なイタリアンローストが多いコーヒー豆をご紹介します。
ブラジル
ブラジル産のコーヒー豆の多くはヨーロッパへ輸出されます。ブラジルのコーヒーは浅煎りが一般的ですが、イタリアンローストのコーヒー豆もよく消費されます。
イタリアンローストにすると、ブラジルのコーヒーならではの甘味を引き立てる苦味が強くなります。
モカ
エチオピアやイエメンのモカも浅煎りが一般的ですが、イタリアンローストにして販売されることもあります。モカをイタリアンローストにすると、まろやかな酸味になります。高級で奥の深いモカをいろんな角度から味わいたい人に好評です。
ちなみにイタリアンローストのモカとブラジルをブレンドした「モカブレンド」も人気の組み合わせです。
コーヒーの種類
イタリアンローストのコーヒー豆は、どのようなコーヒーに使われるのでしょうか?
カフェオレ
ミルクを入れるベースとなるコーヒーは、苦味・コクがあるイタリアンローストが適しています。コーヒーオイルが抽出されたコーヒーとミルクで濃厚な味になります。
エスプレッソ
ミルクを入れるだけではなく、ブラックコーヒーで飲む場合でもイタリアンローストの豆が使われます。エスプレッソがそのうちのひとつで、イタリアンローストの名の通り、もとはエスプレッソのための深煎りだったのです。
エスプレッソは小さなデミタスカップに濃く抽出したコーヒーを注いだものです。リフレッシュする時に飲まれ、強いインパクトのある味が好まれるため、イタリアンローストの豆が適しています。
アイスコーヒー
アイスコーヒー用の豆と言えば、イタリアンローストなど深煎りの豆を使うのが一般的です。
日本人が好むアイスコーヒーは、香ばしくて後味がスッキリする味です。
しかし第3次コーヒーブームを経た今、浅煎りの豆を使ったアイスコーヒーも人気です。
イタリアンローストのアイスコーヒーが香ばしさなら、浅煎りのものは「シトラス(柑橘)系」と表現されます。
イタリアンローストの豆をおいしく淹れる方法
イタリアンローストについて詳しく知った後は、おいしく飲むための淹れ方を見ていきましょう。
挽き方
豆の細かさは抽出方法によって違いますが、イタリアンローストは一般的には中~細挽きにする場合が多いです。
粉が細かいとコーヒーが濃く淹れられ、イタリアンローストの深煎りのよさが引き出せます。
抽出器具
イタリアンローストのコクを引き出すためには、蒸らしながらじっくりと丁寧に淹れることが大事です。ハンドドリップ、コーヒーメーカーを問わず台形型や底が平らなドリッパーは時間をかけてドリップできます。
布製のネルドリップもおすすめです。紙のフィルターよりもコットンでできたネルドリップは、味をまろやかにします。
コーヒーオイルを楽しんで
イタリアンローストをはじめ、深煎りのコーヒー豆をドリップすると、カップにコーヒーオイルが浮かびます。これは品質が悪いのではなく、おいしいコーヒーの成分です。コーヒーオイルは紙のフィルターよりもコットンや金属フィルターの方がよく目を通ります。
保管方法
イタリアンローストの豆は、どのように保管すればよいのでしょうか?
酸化
コーヒーの生豆は焙煎すると、成分変化がはじまります。まず焙煎直後は風味が安定していない状態、2~3日後から風味が出て、その後酸化がはじまります。
酸化とは空気が触れて鮮度が落ちることです。深煎りであるほど成分変化が大きく、酸味も早まります。イタリアンローストの豆は焙煎後2週間以内に飲み切るのがベストです。
焙煎日が分かる豆を購入
コーヒー豆の酸化が特に早いイタリアンローストのコーヒーは、できれば焙煎日が分かるものを購入したいものです。コーヒー豆専門店では外袋に印字してあることが多いです。2週間、遅くとも1ヶ月以内に飲み切れる量を買いましょう。
賞味期限しか書いていないものは期限内に飲み切ってください。期限を過ぎたコーヒーは味が劣化しており、不快な酸味を感じることがあります。
密閉容器に入れる
酸化を防ぐには、できる限り空気に触れさせないようにすることです。イタリアンローストの豆に限らず、購入後は密封容器に入れて保存して下さい。
お菓子作りの材料にも
ほとんどのお菓子作りには、苦味やコクがあるイタリアンローストのコーヒー豆が使われます。
コーヒーエッセンス
コーヒー液を濃縮したコーヒーエッセンスの多くは、イタリアンローストの豆が使われています。コーヒーエッセンスの役割は、お菓子に香ばしい香りをつけることです。イタリアンローストにした豆は香り高くなり、コーヒーエッセンスに適しています。
コーヒーゼリー
コーヒーゼリーはほろ苦さがおいしさのポイントですので、コーヒーゼリー作りにイタリアンローストの豆はおすすめです。フレッシュクリームとのコントラストが絶妙になります。
ティラミス
ティラミス作りの工程のひとつ、ビスケットやスポンジケーキに浸すコーヒー液に、イタリアンローストされたエスプレッソが使われます。
日本人にもおなじみの味
焙煎度合いであるイタリアンローストについてご紹介しました。
ヨーロッパで一般的な深煎りコーヒーですが、日本人にもなじみ深い味でアイスコーヒーやコーヒーゼリーは昔からイタリアンローストの豆が使われています。
イタリアンローストの豆を見つけたら、ぜひ気軽に味を楽しんでみて下さい。