介護福祉士国家試験とは。筆記試験はどんな感じ?

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「昭和」の時代が終わりを告げるころから始まった介護福祉士国家試験。「平成」の時代とともに試験制度は変遷を重ね、いまでは30年以上の歴史を誇ります。

年に一度の筆記試験が1月下旬に行われます。いまはごく一部の受験生のみ、実技試験を受けていますが、介護福祉士の国家資格を手に入れるためにはこの一問限りの実技試験をクリアしなければいけません。

一人ずつ介護実技を実演し、合否を問うというものです。

あたりまえですが、試験当日に初めて実技試験の問題を知るという、ある意味過酷な、ある意味介護福祉士になるためのオーディションのような国家試験です。

  • 介護福祉士とは?
  • 介護福祉士の資格法に注目!
  • どうしたら、介護福祉士になれる?
  • 筆記試験はどんな感じ?

介護福祉士とは?

そもそも介護福祉士の仕事とは、どのようなものなのでしょうか。

「福祉施設で働く人」「お年寄りのお世話をする人」「きつい仕事」「過酷な労働環境」など、福祉の現場を支える重要な役割を担う大変な仕事というイメージがある一方で、マイナス面に注目するケースもしばしば見受けられます。

でも、高齢者の数がますます増えていく日本の社会において、福祉施設やさまざまな介護サービスが展開される以上、介護福祉士の仕事をされる方がたくさんいないといけないですし、それ相応の技術と水準が保証されないと、安心できるサービスを享受することはできません。

しかし、さまざまな要因が影響し、介護の仕事をする人は圧倒的に足りていないというのが実情です。

そこで、介護福祉士の仕事をしてみたい、介護の仕事に就くにはどうしたらよいのか、という視点で、国家資格取得に向けた情報を集めてみました。しばしの間、「お仕事マニア」のレポートにおつき合いください。

介護福祉士の資格法に注目!

介護福祉士の国家試験を運営するところは、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターです。介護福祉士に興味がある方、どうしたら資格を取得できるのか関心のある方はぜひ一度、同センターのWebサイトにお立ち寄りください。試験の申し込み受付や過去の試験問題、試験制度全体の説明が行われています。
(http://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/route.html)

介護福祉士という職業を定義づける法律があることはご存じですか。
「社会福祉士及び介護福祉士法」というもので、厚生労働省のWebサイトに条文が掲載されていますので、見てみましょう。
(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc_keyword?keyword=社会福祉士及び介護福祉士法&dataId=82021000&dataType=0&pageNo=1&mode=0)

特に国家試験の受験が決まっている方は、必ず確認することをおすすめします。

条文内容がよく問われている国家試験

国家試験において、条文に関する問題がよく出題されます。

例えば、法律の第2条第2項において、介護福祉士の定義づけをしています。

介護福祉士は、入浴をはじめ、排泄や移動の介助、食事の提供やその介助、居室の清掃や衣類・シーツの洗濯、レクリエーションの提供やリハビリテーションの支援など、日常生活にかかわる生活支援を担当します、というような内容が書かれています。

介護福祉士は、医師や歯科医師、看護師のような「業務独占」という仕事とは異なります。例えば、メスを握って、患者さんのおなかを切り、悪いところを治療することができるのは医師という資格をもった人しかできません。つまり、資格をもっているということはそれ相応の知識があるからです。

介護福祉士は「名称独占」

介護福祉士は、「名称独占」が法律上、定義づけられています(同法第48条第2項「名称の使用制限」)。

「私は介護福祉士の資格を保有していますので、介護福祉士として介護の仕事をしています」ということです。

もしも、無資格の人がいろいろと自分のお世話をしてくれても、ちょっと不安ですよね。気持ちはありがたいのですが、それはそれという感じです。

ただ、その一方で、仕事のキツさや給料の安さから、介護福祉士の資格を保有する人たちが現場を離れるという現実もあります。社会全体で解決しないといけない課題でしょう。

どうしたら、介護福祉士になれる?

介護福祉士になるのには、どうしたらよいのでしょうか。
もちろん、国家試験に合格するしかありません。
でも、実は誰でも国家試験を受験できるわけではないのです。

受験資格って何?

「受験資格」というものが存在します。
これについても、前述の法律で定義づけています(第40条「介護福祉士試験」)。
主な受験資格は、以下のとおりです。

  • 実務経験(3年以上介護等の業務に従事した方)+実務者研修
  • 福祉系高校卒業
  • 介護福祉士養成施設卒業(修了)者

福祉の仕事を夢みる中学生の方は福祉系高校に通うのもよし。サラリーマンや自営業を営む方が職種を変える場合は、介護福祉士養成施設に入るのもよし。すでに、福祉の現場で働いていて資格取得が必要な方は、実務者研修を受講することが次の一手になることでしょう。

40代に人たちががんばって、資格を取得!

いろいろな立場の方が受験し、そして合格しているのが介護福祉士国家試験の大きな特徴です。

例えば、第30回の国家試験の受験合格者内訳を見ていますと、一番合格した方の多い年齢層は、41〜50歳で27.8%。続いて、21〜30歳で25.4%、31〜40歳で20.9%、51〜60歳で14.8%、20歳以下で8.4%、となっています。

なお、総受験者数は92,654人で、合格率は70.8%でした。
お時間のある方は、下記の厚生労働省のデータをのぞいてみましょう。
(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000198330.html)

いずれの方も、最終的に介護福祉士国家試験を受験し、合格しないと介護福祉士の資格を取得し、介護福祉士として福祉現場で働くことはできないのです。

国家試験やその受験資格を必要とする背景には、一定の基準の介護知識と介護技術が必要だから、そのようなシステムが採用されているのかもしれません。それだけ、重要な仕事なのです。

筆記試験はどんな感じ?

最後に、国家試験について簡単に見ていきましょう。

筆記試験は11科目群で編成されています。

  • 人間の尊厳と自立、介護の基本
  • 人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
  • 社会の理解
  • 生活支援技術
  • 介護過程
  • 発達と老化の理解
  • 認知症の理解
  • 障害の理解
  • こころとからだのしくみ
  • 医療的ケア
  • 総合問題

無得点科目があれば、OUT!

問題数は125問。重要なことは、「無得点の科目群が一つでもあると不合格」という点。きっと、受験生のみなさんの苦手な科目、苦手な分野は、法律・制度や医学的知識が問われる問題でしょう。

それに、介護技術や援助技術に関する問題であっても、普段、介護現場の実践で鍛えられた方であれば、実は間違った知識による技術が体に染みついていて、正解を導けない、なんて悲劇的なことがあってもおかしくありません。

だかこそ、習得した介護に関する知識と技術を証明する場が年に一度の筆記試験といえるのかもしれません。

介護ロボットが福祉現場の救世主、なんて時代を期待する前に、まずは福祉の現場で働く大切な人材を、社会全体で育てていかないといけないですね。
福祉の現場はあなたを待っています。

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