介護福祉士国家試験の筆記試験で出題頻度が高い法律を解説

毎年1月下旬に介護福祉士の国家試験(筆記試験)が全国34カ所で行われます。筆記試験の科目は、合計11科目群。

  • 人間の尊厳と自立、介護の基本
  • 人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
  • 社会の理解
  • 生活支援技術
  • 介護課程
  • 発達と老化の理解
  • 認知症の理解
  • 障害の理解
  • こころとからだのしくみ
  • 医療的ケア
  • 総合問題

無得点科目群があれば、ジ・エンド!

1科目群でも、無得点のものがあると、どんなに合計得点が高くても、不合格です。「合格基準」が発表されていますので、一度は読んでおきましょう。

http://www.sssc.or.jp/kaigo/kijun/kijun_02.html

それにしても、厳しい試験ですよね。得意科目は心配ありませんが、苦手科目がたくさんあると、ちょっと不安です。過去問集を解いたり、模擬試験を受けたり、自分自身の苦手科目が何の科目か早めに把握しておいて、対策を練ったほうが安心して試験当日を迎えられそうです。

それに、得意科目についても、油断をせずに、確実に得点できるよう、準備を怠らないことも重要ですね。

  • あなたの苦手科目は何?
  • 「出題基準」は絶対確認しよう!
  • 実際にどんな問題内容が問われた?
  • 押さえておきたい介護、障害福祉、社会福祉の法律

あなたの苦手科目は何?

さて、苦手な科目って、みなさん、何の科目ですか?
想像するに、「医学分野」ですかね。広く浅く、ときにはちょっぴり専門的な内容の問題も出たりして、難攻不落な科目・分野というイメージです。普段接するお年寄りの方が抱えていそうな疾患や障害について、勉強しておきたいですね。

逆に、介護の現場で経験している介護技術や生活援助技術の分野に関する問題については、結構みなさん、自信があるのでは?
普段のお仕事を考えながら、問題を解くことができそうですね。

やっぱり、法律や制度の問題は・・・

法律や制度に関する問題を解くことはいかがですか?
例えば、「社会福祉士及び介護福祉士法」はご存じですよね。介護福祉士の目的や業務、国家試験などについて定義づける資格法です。きっと最初に関心をもって勉強する法律かと思います。

介護福祉士国家試験は合計125問出題されますが、例年「社会福祉士及び介護福祉士法」に関する問題が1問もしくは2問出題されます。

押さえておきたい資格法と、さらにそのほかの法律は?

それ以外の法律はいかがでしょうか。
主に「介護の基本」「社会の理解」「障害の理解」「医療的ケア」などといった科目で、法律や制度に対する問題が出題されます。

では、どんな法律が出題されるのでしょうか?

「出題基準」は絶対確認しよう!

ヒントは「出題基準」にあります。
これについては、一度と言わず、何度か記載内容について、確認することをお勧めします。

国家試験の問題を作成する際に参考となる資料でもあり、この資料に掲載されているキーワードについて、学習することが介護福祉士としての基礎を築く指標でもあるからです。

でも、すべてのキーワードに関する知識を身につけることは現実的ではないですよね。まずは、どんなキーワードが掲載されているのか、見てみましょう。

科目ごと、大項目、中項目、小項目と編成されています。
(http://www.sssc.or.jp/kaigo/kijun/kijun_01.html)

実際にどんな問題内容が問われた?

さて、実際に法律に関する問題はどのような形で出題されたのか見てみましょう。
まずは、第30回では、以下のような問題が出ました。

問題10

介護保険法第1条に規定されている内容に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 高齢社会対策の基本理念や基本となる事項を定める。
2 福祉サービス利用者の利益の保護及び地域福祉の推進を図る。
3 介護が必要となった者等が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営めるよう、保険給付を行う。
4 疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行う。
5 老人の福祉に関する原理を明らかにし、老人に対し、心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じる。
正解は「3」です。介護保険法に定義づけられた「目的」の条文そのものの内容が選択肢として出題されました。ある意味理解している方であれば、サービス問題です。

条文は厚生労働省の「法令等データベースサービス」でチェック!

法律を、厚生労働省の「法令等データベースサービス」で検索しましょう。条文内容がわかります。
(https://www.mhlw.go.jp/hourei/index.html)

第28回では、次のような問題も出題されました。

問題9

介護保険法における保険者として、正しいものを1つ選びなさい。
1 全国健康保険協会
2 年金保険者
3 国
4 都道府県
5 市町村及び特別区
こちらの問題の正解は「5」です。その年には、こんな問題も出ました。

問題8

2015年(平成27年)4月に施行された介護保険制度の改正内容として、正しいものを1つ選びなさい。
1 低所得者の保険料負担を引き上げた。
2 介護老人福祉施設の新規入所者を原則として要介護3以上の者にした。
3 予防給付の訪問介護(ホームヘルプサービス)・通所介護(デイサービス)を都道府県が実施する事業に移行した。
4 施設利用者の食費・居住費を補う補足給付の対象者を拡大した。
5 一定以上の所得のある利用者の自己負担割合を3割に引き上げた。
正解は「2」です。法律の改正内容についても出題されるというのは、厳しい分野ですよね。最新情報をつかんでおかないといけないようです。

押さえておきたい介護、障害福祉、社会福祉の法律

続いて、必ず出題される法律は「障害者総合支援法」です。正式名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」。
こちらの法律も、条文の内容を押さえておくと、得点できそうな出題が目立ちます。第28回では、以下のような問題が出題されました。

問題95

「障害者総合支援法」に基づく地域生活支援事業の内容として、適切なもの を1つ選びなさい。
1 自己判断能力が制限されている人の行動を支援する。
2 常に介護が必要な人に、創作的活動の機会を提供する。
3 就労を希望する人に、必要な訓練を行う。
4 円滑に外出できるように、移動を支援する。
5 自立した日常生活ができるように、必要な訓練を行う。
正解は「4」です。「障害者総合支援法」の第75条の内容に関する問題でした。

そして、「社会福祉法」についても押さえておきましょう。日本の福祉事業に関するさまざまな事柄について、定義づけを行っている法律です。福祉の目的、福祉行政の仕組み、福祉サービスの内容や福祉法人に関する定義づけなどです。

日本国憲法からも出題された!

そのほか、出題されたことのある法律は、結構あります。
なんと、日本国憲法からも出題されました。第30回の問題です。

問題8

日本国憲法第25条で定められている権利として、正しいものを1つ選びなさい。
1 幸福追求権
2 新しい人権
3 思想の自由
4 財産権
5 生存権
正解は「5」です。一般常識で解けそうな問題です。一市民として、知っておきたい事柄ですよね。

そのほか、以下に挙げる法律が問われました。もちろん、「出題基準」に掲載されています。

「障害者基本法」「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」「生活困窮者自立支援法」「生活保護法」「地方自治法」「育児・介護休業法」「高齢者虐待防止法」・・・。

やはり、「出題基準」をながめ、どんな法律が提示されているのか、絶対見たほうがよさそうですね。そして、どのような内容が出題されたのかチェックしましょう。

合格への近道はありません。コツコツ基礎知識を蓄えていくことがポイントですね。

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