銀行員はさまざまな仕事の中でも、あこがれる人が多い花形の職業です。
公務員に並んで安定した職業ですし、人々の大切なお金を管理する仕事ですので、高い能力の人しか就くことができません。
社会的な貢献度も高く、銀行員になることはひとつのステイタスと考えられていた時代もありました。
しかし銀行員の仕事は、現実にはとても過酷な仕事です。
銀行員の中には毎日の仕事が辛く、本音では辞めたいと思っている人が多くいます。
せっかく高い競争率を勝ち抜いてあこがれの銀行員になれたのに、なぜ辞めたいと思うのでしょうか。
今回は、銀行員の仕事の現実と転職について考えてみたいと思います。
目次
銀行員を辞めたいと思う理由とは
銀行員は数ある職業の中でも、なりたいと思う人が多い花形の仕事です。
高い競争を勝ち抜いてあこがれの職業である銀行員になれたのに、辞めたいと思う理由にはどういったものがあるのでしょうか。
ここではまず銀行員の仕事の過酷さをいくつか紹介してみたいと思います。
安定するためには勉強しつづけなければならない
銀行員になるためには一定以上の学歴が必要です。
安定してやりがいのある仕事に就くために、日々努力してきた人だけが銀行員になることができるのです。
ですが、銀行員になれたからといって、あとは安泰だというわけではありません。
今や銀行も倒産する可能性がある時代ですし、他の銀行に吸収、統合されることも珍しくないので、同じ仕事をいつまでも続けられるとは限りません。
また、近年では株式や投資信託など、資産運用に敏感な人も増えています。
人々の大切なお金を預かる仕事ですので、日々更新されるそれらの金融商品や世界経済の流れなど、知っておくべきことは山のようにあります。
銀行員を続けていくためには、毎日の勉強を継続していく努力が必要になるのです。
営業には厳しいノルマがある
銀行の営業職には厳しいノルマがあります。
始めのうちは預金獲得のために必死に走り回らなければなりません。
さらに預金の他にも、保険や投資などさまざまな金融商品を扱いますので、それらの商品ごとにノルマが決められていることもあります。
ノルマが達成できなければ厳しい叱責をうけますし、自分の評価にもつながります。
厳しいノルマ仕事から抜け出るには、管理職に出世するしかありませんので、目標を達成して社内での自分の評価を上げていく努力を続けなければならないのです。
営業職以外でもノルマが課せられる場合がある
銀行では営業職の他にもさまざまな部署があります。
銀行の窓口業務であるテラーなどは、本来お客様の対応がメインの仕事ですが、場合によっては新規客の獲得ノルマを課せられることもあります。
またお金に関しては、一昔前のように銀行の独占業務ではなくなっており、証券会社や保険会社などさまざまな競合相手がありますので、銀行としても顧客獲得に必死にならざるを得ません。
残業は当たり前
銀行は定時に閉まりますので、比較的安定した勤務時間と思われるかもしれません。
ですが実際には閉店後にしなければならない仕事が山のようにあるのです。
まず大切なのは集計です。営業時間中に扱ったお金が間違いなく処理されているかの確認を行わなければなりません。
一円でも計算が合わなければ徹底して調べ直します。
少額だからといって自分のポケットから出して帳尻を合わせておくといったことは許されません。
また営業職の人は、昼間の間は外で顧客獲得に動き回り、閉店後にたまった事務仕事を処理しなければならない場合もあります。
残業が常態化している銀行も多く、くたくたになりながら毎日仕事をしているという銀行員もいます。
転勤が多い
銀行は転勤が多い仕事です。
地方銀行のように、ある程度限られた地域でのみ営業している銀行であれば問題ないかもしれませんが、全国展開しているメガバンクの場合は、いつどこに転勤になるかわかりません。
転勤先は便利な都会であるとは限りませんし、大手銀行であれば海外に単身赴任といったこともありえます。
転勤は銀行員にとって宿命であり、出世をしていくためには必ず通る道でもあります。
転勤が多いことで家族にも負担がかかりますし、単身赴任であれば家族や恋人と離れなければならなくなります。
転勤の多さは銀行員のデメリットのひとつです。
古い企業体質が残っている
銀行は信用が求められる仕事なので、比較的長く続いている銀行が多くあります。
大手銀行は、統合などが繰り返され、名称が変わっている場合もありますが、歴史的にみれば古くから続いているものです。
そのため銀行は、他の会社と比べて古い企業体質が残っている傾向があります。
仕事に関する考え方や上下関係に、古い考え方が綿々として受け継がれており、若い社員にとっては窮屈に感じることも少なくありません。
ある程度自由な発想を受け入れてくれる職場で働きたいと感じている人には厳しい環境です。
行内に派閥がある
これも古い企業体質の残りと言えるかもしれませんが、銀行では古参の人たちによる派閥が根強く残っていることがあります。
どの派閥に属しているかで仕事や扱いが変わりますし、派閥間の争いに巻き込まれることもあります。
また学閥主義がいまだに残っており、学歴によって評価に差がつくことも珍しくありません。
複雑な人間関係の中でうまく仕事をしていくのは大変で、精神的なストレスになります。
精神的に負担がかかる融資担当
銀行における融資担当は、社会的貢献度が高く、ある程度の経験が必要となるやりがいのある仕事です。
しかし一方で融資の可否によっては、取り引き先の会社が倒産してしまうこともあり、相手方の経営者や社員の生活にも影響を与えます。
銀行で融資に回されるお金は、お客様から預かった大切なお金なので、融資に関しては相手先の経営状態を冷静に判断しなければなりません。
情に流されて融資を行っていれば、銀行に損失を与えかねませんので、シビアな見方をするのは仕方のないことです。
ですが自分の判断が多くの人の人生に影響してしまうことを考えると、精神的に大きな負担を感じるものです。
特に世の中が不景気な状況では、倒産する会社も増え、融資担当者は辛い思いをすることが多いのではないでしょうか。
せっかくの休日も勉強にあてなければならない
銀行員は入行後さまざまな資格を取得するよう促されます。
販売資格や銀行業務検定、宅地建物取引など、多くの資格を半ば強制的に取らされるのです。
そのため、せっかくの休日も勉強にあてなければならなくなり、プライベートな時間を思うようにとることができません。
銀行員からの転職を考える
銀行員は、厳しい競争を勝ち抜いて、せっかく就職することができた仕事なので、辛い状況でも頑張って仕事を続ける人が少なくありません。
しかし無理を続ければ、たまったストレスがいつか限界を超えてしまい、心や身体を壊してしまうかもしれません。
銀行員の仕事が辛くてたまらないのであれば、早めに転職を考えるべきです。
銀行員は信用度が高いので再就職に有利
信用が必要とされる銀行で働いていた職歴は、再就職に関しても有利に働きます。
また銀行員になるためには、平均以上の学歴が必要なこともあり、知識や教養の面でも評価は高くなります。
中途採用では、受け入れる会社側も即戦力となる人材かどうかを見極めるため、前職に着目します。
元銀行員という経歴は、転職においては大きな武器となるでしょう。
転職したい理由を明確にしておく
銀行員を辞めて転職したいと言えば、大抵の人は辞めるのはもったいないと止めるでしょう。
銀行員は収入も安定しており、社会的地位も高く、厳しい競争を勝ち抜かなければなれない職業なので、外部の人から見れば辞めるなんてとんでもないと思うのでしょう。
転職に際して、家族や友人など周囲の理解と協力を得るためには、転職したい理由を明確にしておくことが必要です。
なんとなく決めたというのでは、理解を得るのは難しいと思われます。
転職という決断に至った理由と覚悟をしっかりと説明できれば、周囲の人も納得して転職に協力してくれるでしょう。
銀行員を辞めるのは本当にもったいないことなのか
銀行員を辞めたいと相談すれば、周囲の人はもったいないと言うでしょう。
自分の中にも少なからず同じような気持ちがあるのではないでしょうか。
努力してせっかくなれた銀行員。辞めるのは本当にもったいないことなのでしょうか。
辛くても仕事が楽しめていたり、プライベートが充実している場合は、頑張って続けることにも意味があるかもしれません。
しかし過大なストレスを抱えながら、くたくたになるまで毎日仕事をしているだけでは、そのうちに間違いなく心や身体を壊してしまいます。
そうなってからではもはや手遅れです。仕事を続けることはできなくなりますし、その段階で転職先を見つけようにも気力がついていかず、満足な転職活動はできません。
銀行は安定性の高い職業だと思われていますが、安定は安心があって成り立つものです。
安心して働ける職場だからこそ、長く仕事が続けられるということが理解できれば、転職をためらうことはないはずです。
銀行員という立場を捨ててみる
仕事は辛いけれど、銀行員という立場を捨てることができず、転職に二の足を踏んでいる人もいるのではないでしょうか。
銀行員は、世間的な目から見れば優れた人と思われていますし、社会的貢献度も高い仕事なので、その立場を捨てることに不安を感じるのは理解できます。
しかし、毎日の仕事にやりがいや達成感を感じられず、辛い思いをしているのであれば、銀行員の立場にしがみつくのはやめて、思い切って転職することをおすすめします。
世間的な評価にしばられて、厳しい仕事を毎日続けていれば、そのうち心や身体を壊してしまいます。
自分のこれからの人生を考えるならば、銀行員をという立場を捨てる覚悟も必要です。
健康的に長く働き続けられる仕事に目を向けよう
確かに銀行員は安定性があり、社会的評価の高い仕事かもしれません。
ですが、銀行には派閥や学閥主義などの古い企業体質が残っており、複雑な人間関係の中でノルマの重圧に耐えながら、日々勉強を怠らずに成果を上げていかなければならない厳しい仕事です。
このような職場環境で働き続けることができるのは、銀行員の仕事に大きな意義を感じており、毎日の仕事にやりがいを感じていなければなりません。
健康的に仕事を続けてゆくためには、その仕事にやりがいと喜びを感じながら働けることが大切です。
また少々辛い仕事であったとしても、プライベートの生活が充実したものであれば、頑張れることもあるでしょう。
銀行員という世間的な評価や立場はどうあれ、辛い仕事に耐えながら、プライベートを犠牲にして働き続けることに意味はありません。
やりがいを感じながらも長く続けられる職場はたくさんあります。
銀行員以外の仕事にも目を向けて、転職を真剣に考えてみてはいかがでしょうか。
転職先は将来性のある業界にしよう
銀行で働いていると、景気の動向や世の中の流れに敏感になります。
伸び盛りの企業や将来性のある業界、逆に先行きが不透明な仕事などを判断する知識が身についているはずです。
転職先は選ぶ際はその知識を使って、将来性のある有望な業界にアプローチしましょう。
銀行員で培った経験がどのように活かしていけるのかを考えて転職活動をすれば、理想の転職先がみつかるでしょう。
転職には転職エージェントを活用してみよう
理想の転職先を選ぶには、いろいろな会社の情報が必要です。
転職エージェントは豊富な求人情報をもっていますので、将来性のある業界や仕事についての情報を得ることができます。
転職エージェントに相談すれば、銀行員の仕事を続けながらでも、転職にむけて準備をするためのサポートを得られます。
希望の転職を成功させるために、転職エージェントを上手に活用しましょう。