FXで取引する時には通貨ペアごとに定められている証拠金分の資金を用意しなければいけません。
最近では1000通貨で取引できる業者も増えたため、少ない資金で取引もできるようになりました。
しかし必要証拠金ばかり目が行きがちですが、取引する上では証拠金維持率に関しても気をつけなければいけません。
証拠金は用意すべき必要な費用として分かりますが、維持率の存在がよく分からないトレーダーもいるでしょう。
では証拠金維持率とはどのようなものであり、FXで取引していく上ではどう意識すればいいでしょうか。
目次
fxの証拠金について
維持率の前に関係する証拠金についておさらいしましょう。
証拠金は取引するのに必要な費用であり通貨の価値、レートによって金額が変わります。
そのためレートの高い通貨ペアはその分証拠金が必要となり、逆にレートが低い通貨ペアになると比較してかなりの少額になるのです。
FXの業者では基本的に1万通貨ごとの必要証拠金が一覧として掲載されているため、取引前に確認しましょう。
そのままだと必要証拠金の金額が大分多くなりますが、FXではレバレッジを使い資金を増額して必要な証拠金の金額を減らせます。
国内だとレバレッジの上限が25倍であるため、100万必要な通貨ペアを4万まで減らせるのです。
基本的に業者で掲載されている必要証拠金は最大レバレッジによる金額が多いため、レバレッジを抑えて取引したいトレーダーは勘違いしないようにしましょう。
レートによって決まる関係上、通貨ペアごとの値動きによって証拠金も変わってきます。
レート以外に通貨を扱っている国で何かしら不安定な状態になった時は、必要な証拠金の率を変えることもあるのです。
ポジションを保持していても例外ではないため、マイナーな通貨を扱っているトレーダーは変更に気をつけなければいけません。
変更については業者によりルールは違い、中には相場の値動きと共にリアルタイムで変更するところもあります。
自分が取引する業者はどうなっているかポジションを持つ前に確認しておきましょう。
証拠金維持率はポジションの安全性を示す
証拠金維持率は現在所持しているポジションに対する口座にある資金の割合を示すものです。
100%を基準に考えられ、以上であれば証拠金に対し資金の割合が多く、以下であれば証拠金に対し資金が少ないことになります。
計算は有効証拠金から必要証拠金を割り100をかけた数値が証拠金維持率です。
例えば必要証拠金が3万の通貨ペアがあったとし、こちらの資金は10万とします。
取引量1枚で勝ったとすれば資金が10万に対し証拠金は3万となるため、証拠金維持率はおおよそ333%程度になるのです。
しかし計算に関してはFXの業者が提供しているツールやポジションを持っていると機械側で勝手に算出してくれるため覚える必要はありません。
基本的に証拠金維持率が低ければ低いほど証拠金に対し資金が足りないためなくなる危険性が高くなるのです。
証拠金維持率とロスカット
証拠金維持率が0%になってしまえば実質資金がなくなったも同然になります。
しかしFXで取引をしていく上で証拠金が0%どころか特定の数値以下になることはありません。
必要以上の損失が出ないようにFXの業者では決められた維持率になると強制決済、ロスカットが行われるからです。
強制的に決済されるとなればあまりいい気はしませんが、システムとしてはトレーダーが必要以上に損失を出さないようするためにあります。
ロスカットというシステムがなければ損失が大きくなるどころか、維持率が0を超えてマイナスとなり追証という新たに資金を入金しなければいけなくなるのです。
ロスカットされる証拠金維持率のラインは業者により変わり、高いところでは100%に設定しており、低いところでは50%の設定が多いでしょう。
100%の場合は損失によって証拠金と同等の金額に資金がなった時、50%はそこから半額になった時ロスカットされます。
先ほどの10万と1万通貨3万を例として挙げると100%であれば資金が損失で3万になった時、50%であれば1万5000円になった時です。
業者によってはロスカットの前にマージンコールといってロスカットされる可能性にある水準まで来たと警告を出すところもあります。
こちらも業者によりどの程度の証拠金維持率で来るかは変わるのです。
証拠金維持率で分かること
証拠金維持率は資金の安全性とロスカットされる危険性を表しているものです。
そのため証拠金維持率から分かることは数値の低い取引をしないようにした方がいい話になります。
安全の目安となる証拠金維持率は
証拠金維持率を意識するとすればポイントになるのは、どの程度の率を維持すればいいかでしょう。
ロスカットされる倍率は業者によっては100%になるため、100%に近い維持率は論外です。
200%でも取引のやり方と相場の値動きによっては到達する可能性があるため、安全性を考えると300%以上が目安となります。
もちろんより安全に取引をしたいと考える方はそれ以上の率をラインとして考えてもいいでしょう。
目安となる数値は短期と長期取引によっても変わります。
短期取引は短期間で取引を繰り返すため、あまり大きく証拠金維持率を取る必要はありません。
そのため300%が目安となりますが、相場の動きに応じて判断できる場合は250%と200台で考えてもいいでしょう。
長期取引の方は長期間ポジションを保持するため、短期に比べて出る損失に耐える必要があります。
300%でも不安を感じる数値なため、できれば500%辺りを維持したいところです。
スワップポイント目当ての場合はその分保持しなければいけないため、長期取引よりも多くの率を考える必要があるでしょう。
100に近い維持率で起こる危険性
ロスカットによる危険はもちろんですが、100%に近い維持率で考えられる危険はそれだけではありません。
FXは常に相場が動いていますが重要な情報が来た場合、大きな変動を見せる時もあるのです。
大きな変動の問題は短時間で数値が一気に動くため、ツールが機能する前に相場が一気に動いてしまうことにあります。
ロスカットは機械側で判断して行われるものですが、すぐに機能するものではありません。
そのため大きな変動があると100%でロスカットの場合でも、発動したのは50、60%の時といった場合もあります。
しかし50、60はまだいい方であり、変動の仕方によっては0を超えてマイナスになる恐れもあるのです。
資金がなくなるだけでなく追加で入金しなければいけない状態となります。
100%に近い維持率はこうした必要以上の損失で資金がマイナスになる恐れが高くなるのです。
もちろん動きによっては高い維持率でもやられてしまう可能性はありますが、100%に近いとほぼ確実といえます。
証拠金維持率を考えての取引
証拠金維持率から安全性を考えた場合、以下のような点を抑えて取引しましょう。
維持率を保てる最低限の資金を用意する
まず最初に考えるべきことは用意する資金です。
少ない資金で取引できるようになっているものの、本当に資金が少ないと取引量に比べ証拠金維持率も少なくなってしまいます。
少し動いただけでロスカットになってしまえばすぐに資金がなくなってしまうため、取引していく上で十分な資金を用意しなければいけません。
1000通貨で取引していく場合はより少ない金額でもいいですが、1万通貨の取引を考えている方は最低限10万は用意しましょう。
10万あれば維持率を300%以上にできる通貨ペアも多いです。
しかしドル円は現在4万程度なため、10万だと維持率としては250%程度になってしまいます。
ドル円を始めとしたユーロ、ポンドといった通貨で取引する場合は20、30万は用意しておきたいところです。
資金に応じて取引量は適度な枚数にする
どれだけ資金があったとしても取引量を多くすればその分証拠金維持率も減ってしまいます。
動く金額の幅も大きくなるため、その分維持率が減りロスカットしやすくなるのです。
少しの動きでロスカットするようであれば損切り注文を設定する意味もありません。
資金が多いと多く枚数を設定してしまいがちですが、維持率を高く維持できる程度の枚数に抑えましょう。
損切りを忘れないように
維持率を維持できていたとしても、大きな損失を出してしまえばその分次の取引で影響が出てしまいます。
そのため取引する時は損切りの設定も忘れないようにしなければいけません。
損切りに関しては大きな数値になると設定する意味がなく、小さいと今度は出る回数が増えて気づかぬうちに資金が減ってしまいます。
今の相場と値動きを見て適切と思える範囲に設定しましょう。
ロスカットが出なければいいわけではない
ロスカットが簡単に出る取引は問題ですが、ロスカットの心配がほとんどない取引も実は問題になる可能性があります。
維持率を高く維持できても取引のやり方を間違えてしまえば損失を抱えたままになり新たな取引ができません。
持てるポジションは一つだけではないものの、資金を一つのポジションに割いている分次に取引するポジションの維持率が厳しいものになります。
ロスカットが出なくても損失が出ているポジションを保持するようでは意味がありません。
取引をする時はロスカットよりも損失が出やすい取引をしないようにしましょう。
証拠金維持率に拘り過ぎない
ここまで証拠金維持率に関して書いてきましたが、取引をする上であまり拘りすぎるのも考えものです。
FXの相場は時間によって状況が変わり、中には分かりやすい勝率の高い取引ができるチャンスもあります。
チャンスの時は大きな利益を期待でき、損失を少なくできる期待値の高い取引ができるでしょう。
維持率ばかり拘っていると多額の利益を得られるチャンスを逃してしまいます。
損失を少なくできると判断すれば維持率のラインを下げて取引するのも必要でしょう。
本当に大事なのは維持率を維持するよりも「ロスカットが簡単に出ない取引」をすることです。
少しの値動きでロスカットの出てしまう取引は論外ですが、出ないようにすれば維持率は低くても問題ありません。
値動きとのバランスをよく考えて取引していきましょう。