子供の才能を伸ばすため、あるいは自身が幼いころ抱いていた夢の実現のために、まだ小さいうちから習い事をさせたいと考える親御さんは少なくありません。
習い事は何がよいのか、費用はどのくらいかかるのか、気になる点も多いのではないでしょうか。
今回は、子供の習い事をテーマに、人気の習い事別メリットと費用、習い事を選ぶポイントや注意点を中心にお伝えします。
子供の人気の習い事と注意点
子供の習い事で人気が高いのは、たとえば次の習い事です。
- 英会話教室
- ピアノ、バイオリンなどの音楽系
- 水泳、体操教室などのスポーツ系
- そろばん
- 書道
それぞれ気になるのは、その習い事をさせることで子供にどのようなメリットがあるのか、費用はどのくらいかかるのかといった点ではないでしょうか。
次項からは、習い事別にメリットや費用、押さえておきたいポイントを紹介していきます。
英会話教室
子供には将来的にグローバルな人材になってほしいと、英会話教室も人気があります。
英会話教室に通わせるメリット
幼少期のうちから英語に触れさせておくことで、英語が自然と覚えられます。
ネイティブの英語を学べるため、文法などの座学によらず活きた英語が身につく点がメリットです。
特に小さな子供の英会話教室は、音楽やダンスなどとともに、楽しく英語を身に付けられるのもよいですね。
英会話教室に通わせる前に押さえておきたい点
英語については2020年から小学校の5~6年生で教科化され、3~4年生で外国語活動が始まります。
学校によってはすでに実施されているケースもあります。
これまでの学校教育でも、学校の授業だけで英語が得意になった子供は多数いますので、どこまでを子供に求めるのかは見極めどころです。
さらにいえば、日本語をおろそかにして英語だけを覚えさせることには問題点もあります。
今後、海外移住を視野に入れ、英語を主体とした人生を送る予定があるならよいのです。
日本国内で進学や就職をし、日本の文化や技術を海外に広められるようなグローバルな人材に育てるのであれば、日本語がしっかりできたうえで英語も学ばせることも大切になります。
また、週に1回通わせただけで英語が身につくわけではなく、自宅学習も同時におこなう必要がある点も押さえておきましょう。
英語に関しては親が過度な憧れや期待を込めて子供に習得させようとするケースが少なくありませんが、子供にどんな人になってほしいのかを考えることが必要です。
子供の英会話教室にかかる費用
コースによって入会金5000円~1万円、月謝5,000円~2万円がかかり、週に何回通わせるのかによっても異なります。
そのほか、教材費が別途かかります。
単純に月謝のみで比較してしまうと、入会金や教材費が高いなど、別のところでお金が必要となるケースがありますので、総合的に判断しましょう。
また、ほかの習い事でもいえることですが、月謝が安いからよい教室とはいえません。
特に幼少期の英会話教室は楽しい雰囲気のところを選んだ方が、子供が「英語の勉強は楽しいもの」と認識しやすくなります。
ピアノ、バイオリンなどの音楽系
生まれたときに指が長かった、子供を音楽家にしたいなどを理由として、子供をピアノやバイオリンなどの音楽教室に通わせたい親は多くいます。
子供は音楽が好きなことが多いため、子供自身が習いたいと希望するケースもあるでしょう。
音楽系の習い事をさせるメリット
音楽系は根強い人気がある習い事ですから、大手の教室だけでなく、個人の先生が自宅で開いている教室もあり、選択肢の幅は広いといえます。
音楽を習わせておくと、学校の音楽の授業で子供が困らなかったり、発表会でクラスの代表になって自信を持てたりといったメリットはあります。
もちろん、音楽の才能があれば早いうちに習わせておくことで開花し、人生の目標や楽しみとして続けてもらうこともできます。
音楽系の習い事をさせる前に押さえておきたい点
音楽系は、少し現実的なことをいえば、一部の才能や環境に恵まれている子供を除き、どこかで見切りをつけることがでてくる習い事です。
なぜなら、音楽系は楽器や発表会の衣装代、有名な先生に頼む月謝代など、お金がかかる習い事のひとつだからです。
純粋に子供が音楽を楽しく習いたいといった程度であれば、幼いうちだけ習わせることもよいでしょう。
本格的にやらせたい場合には、親としてはそれなりの出費を覚悟する必要がでてきます。
音楽系の習い事にかかる費用
ピアノやバイオリンの月謝は5,000円~2万円が相場です。
大手の教室と個人教室によっても変わってきます。
有名講師の特別レッスンを受ける場合、1回あたり1万円~となっており、講師によって非常に大きな差があります。
また、楽器を自宅で練習をする必要がありますので、楽器の購入費用も必要です。
ピアノの相場はグランドピアノで200万円~、アップライトピアノで50万円~、電子ピアノで2万円~と、種類にこだわらなければ思ったよりも安く手に入れることができます。
バイオリンの場合も価格に幅があり、まずは音色にこだわらないのであれば、10万円以下でも手に入ります。
少しよい楽器で練習させたいのであれば、安くても20万~50万円かかり、100万円以上だせばかなり選択肢が広がるといえます。
そのほか、音楽系は発表会がありますので、衣装代にお金がかかることもあります。
水泳、体操教室などのスポーツ系
水泳、体操教室、サッカー教室など、スポーツ系の習い事は子供たちからも人気が高くなっています。
専門の教室だけでなく、大手スポーツジムのコースの一環として習えるケースも多くあります。
スポーツ系の習い事をさせるメリット
全身の筋肉や心肺機能が鍛えられますので、子供の体を守ることにつながり、将来子供が他のスポーツをしたいといったときにもよい影響があります。
子供自身にとっては、運動能力が向上し、学校の体育の授業で嫌な思いをすることが少ない点は大きなメリットかもしれません。
また、体を動かすことが好きな子供にとって、スポーツ系の習い事は遊び感覚で楽しくおこなうことができます。
スポーツ系の習い事をさせる前に押さえておきたい点
昨今の学校教育では、子供に勉強やスポーツの「順位」や「合否」をつけないことを基本としていることが多くなっています。
しかし、スポーツ系の習い事では、大会や記録会で子供たちを順位づけしたり、試験で合否を判定したりすることが一般的です。
もっとも、資本主義の日本では大人になってから競争の連続ですし、誰かと順位を競うことや合格を目指すことは珍しくありませんので、習い事でそうした経験をさせておくことはよいでしょう。
しかし、競争に慣れていない今の子供にとっては、ストレスを受ける可能性は否定できません。
また、スポーツ系の習い事は体力面がハードです。
子供が嫌になってしまうことは珍しくありませんので、どのように励まして続けさせるのかといった問題に直面することも多くなります。
スポーツ系の習い事にかかる費用
スポーツ系の習い事は、どのレベルの技術習得を目指すのか、単純な体づくりのためなのか、アスリートへ養成する目的なのかによって費用はいくらでも変わります。
以下では、人気の3つのスポーツを、「ある程度楽しみながら続けるケース」を想定して費用を紹介します。
【水泳】
週に何回通わせるのか、選手コースなのかによっても異なりますが、入会金3,000円~5,000円、月謝5,000円~1万円が相場です。
そのほか、水着や帽子、ゴーグル、なども練習用、大会用と発生し、大会の参加費、遠征費などが別途かかります。
【サッカー】
サッカー少年団の相場は入会金や年会費が1,000円~3,000円、月謝が3,000円~5,000円となっており、比較的低価格の印象を受けるかもしれません。
サッカークラブの場合は、入会金5,000円~1万円、月謝5,000円~1万円となっています。
いずれの場合もユニフォーム、靴、ボールなどの用具、遠征費や合宿代は別途かかります。
【体操】
月謝が5,000~1万円かかるほか、怪我をしやすいスポーツのため、月500円~2,000円程度の保険に加入することがあります。
そのほか、指定のユニフォームなどがあれば別途購入し、大会参加費や遠征代などは他のスポーツと同様に実費が必要です。
そろばん
一時期は人気が下火になったこともあるそろばんですが、海外の人からも人気があるなど、近年急速に注目度を上げています。
子供の習い事としても根強い人気があります。
そろばんをさせるメリット
そろばんは学校教育の過程で暗算が役立つだけでなく、一度身につけば一般社会にでても役に立つ習い事です。
大人になっても「頭の中にそろばんがでて素早い計算ができる」と言う人は少なくありません。
近年では、そろばんを指ではじく動作そのものが脳の発達に役立つとして、勉強の基礎として取り入れるケース、大人になってから始めるケースもあります。
そろばんをさせる前に押さえておきたい点
勉強系の習い事の中では大人になって「やっておいてよかった」と言う人も多いそろばんですが、難点は、そろばん教室自体が少ないことです。
今はパソコンや電卓があれば計算ができてしまうため、職業としてそろばん教室運営や先生をしている方も減っている状況です。
近くに教室が見つかればよいのですが、ない場合は難しくなります。
そろばんを習わせるのに必要な費用
週に通う回数や地域によっても異なりますが、月謝の相場は3,000円~1万円ほどです。
そのほか、教室によってはそろばん本体の購入費、設備利用費などが別途かかることがあります。
そろばん教室の場合、週に2~3回の頻度で通うことを前提とした月謝ですので、ほかの習い事と比較するとそれほど高い習い事ではありません。
ただし、回数が多い分、子供が続けられるか、家から近いそろばん教室が見つかるかといった点が鍵となります。
書道
字は一生もの。
社会にでてから字が上手に書けて損することはありません。
大人でも、自身の字が下手なことをコンプレックスに感じている人がいるでしょう。
現代は字を書く機会が減っていますが、だからこそ字の上手な人が光る時代といえるかもしれません。
書道を習わせるメリット
字が一時的に上手くなるだけでなく、大人になってからも役立つ場面が多くあります。
字がきれいだと周囲から一目置かれるなど、知的さの象徴ともいえます。
さらに、集中力を高める効果が期待できる習い事です。
子供の頃はとにかく注意力が散漫で、本来持っている能力を思うように発揮できない子供が少なくありません。
じっと座って字と向き合うことができるようになれば、その他の分野でも驚くほどの力を発揮することがあります。
さらに、段や師範を目指すことで、目標をもってひとつひとつの課題をクリアしていける子供になることが期待できます。
書道を習わせる前に押さえておきたい点
特に集中力の欠如がない子供に対し、一般的に見て上手な字を書くことが目的であれば、わざわざ習字に通わせなくても、親が見本を見せてあげて一緒に練習するだけでも十分な効果があります。
また、親や書道教室の先生がどれだけ注意しても、じっと座っていられない子供はいるものです。
下手をすると周囲の子供に迷惑をかけてしまうこともありますので、その場合、集中力をつけさせるには別の方法が適していることもあります。
このあたりは子供の適性によって見極める必要もでてきます。
書道にかかる費用
書道教室の月謝は3,000円~4,000円が相場となっており、他の習い事と比べると費用負担が少ない習い事といえます。
そのほか、半紙や墨汁などの消耗品、設備利用料などがかかりますが、高額になることは稀です。
ただし、上達して上級を受けるようになってくると、検定費用や認定証費など、細々とした費用はかかるようになってきます。
子供の習い事を選ぶポイント
子供向けの習い事は数多くありますので、その中からどれを選ぶのかは悩ましい問題です。
ここからは、子供の習い事を選ぶポイントを紹介します。
子供自身の考えを尊重してあげることが大切
まず非常に大切になるのが、子供自身が主体となって習い事を選ぶことです。
子供が興味のない分野を親の押し付けで習わせたり、「〇〇ちゃんにはこれが向いているよ」と決めつけたりすると、せっかくの習い事を嫌々することになってしまいます。
習い事は子供自身にとって、「学ぼう」と思うよりは、ゲームのような感覚で楽しいかどうかが続けられる基準です。
大人の考え方を一方的に教え付けてしまうとせっかくの才能の芽をつぶしかねません。
選択肢の提示と考えるサポートを
とはいえ、親の送迎や費用面などの負担がありますので、無制限に選ばせることはできません。
親としてはあくまでも可能な範囲の選択肢を提示し、悩むとしても助言をしたり、一緒に考えてあげたりする程度にとどめておく方がよいでしょう。
また、子供が「〇〇ちゃんがやっているから」といった、やや安易な理由でやりたがるときには、少し様子を見るなどし、本当に子供自身の希望なのかどうかを見極めることが大切です。
小さな子供は普段の性格や興味に注目してみよう
自分で選べないほど小さな子供については、体験教室に参加させてみる、上の子供の習い事の見学に連れて行くなどして、子供が楽しそうか、興味を持ったかどうかにやっているのかに着目してみることも方法です。
また、普段の遊びの中で何に興味を持って取り組んでいるのか、性格はどうなのかも踏まえて親が提案してあげることもよいでしょう。
学校生活と両立できるかどうか
幼少期の習い事であればまだ時間的な余裕がありますが、小学校へ上がる頃になると学校の授業や行事と重なる機会が増え、両立が難しくなることがあります。
特に平日に何回も通わせるような習い事については、子供自身や親が忙しくなってきても続けられるかどうかも考えておきたいところです。
もちろん、そのときの状況に応じて変えることも必要になります。
少なくとも、あれもこれもと手をつけて結局は月謝の無駄使いだったなんてことにならないように、後先のことまでイメージしておくとよいでしょう。
目標を達成したら潔くやめることも考えておく
子供に習い事をさせるにあたり、「オリンピック選手に育てたい」「世界的な音楽家になってほしい」とまで思う方ばかりではないでしょう。
むしろ、「子供が学校や社会生活で苦労しない程度の技能を身につけられれば十分」と思って習わせる親御さんも多いのではないでしょうか。
それであっても、子供自身の能力を伸ばし、興味のある分野を明確にする手助けになるものです。
この場合、級や技能の習得など、一定の目標を達成したら潔くやめることも大切です。
小学校の頃はまだよいのですが、中学校、高校となってくると、学校の勉強や部活で手一杯になり、習い事をする時間や体力的な余裕もなくなってきます。
そうなってから泣く泣くやめさせるよりも、「ここまで頑張ったら卒業ね」と、あらかじめ子供と相談しておくとよいでしょう。
そうすることで、途中で投げ出したのではなく、目標までは達成できた自信につながります。
「目標達成はプロになるまで!」と強く決めているのであれば別ですが、あくまでも習い事として位置づけているのであれば、一定のところでやめさせることも大切だというわけです。
家計を圧迫しない範囲の習い事か
子供の習い事は月謝が数千円で済むものも多く、親としては、お金の許す限り習い事をさせたいと思うものです。
しかし、英語が話せて運動もでき、音楽も得意、そんな子供にさせようと躍起になると、複数の習い事をさせてしまい、月謝だけで家計を圧迫します。
そのせいで家族の食事が質素になったり、子供が欲しい物をひとつも買ってあげられなかったりすればどうでしょうか。
習い事にお金をかけるあまり、大学進学など将来の学費が足りなくなれば本末転倒です。
また、ひとつの習い事で、それを子供自身が希望したものだったとしても、家計の水準にあわないお金がかかりそうな習い事の場合、経済的な理由でやめさせてしまう事態になりかねません。
たとえばバレエやフィギアスケートなどを親の憧れもあって始めさせ、結局お金が続かなくてやめさせることになったご家庭もあります。
そうなれば子供がかわいそうです。
月謝以外にもお金が必要になると知ろう
習い事の費用で注目するのは、入会金や月謝などがメインになります。
しかし、実際に始めてみると、思っている以上にお金がかかると思うかもしれません。
練習用の服や靴ひとつとっても、子供は成長が早いため、学校用やお出かけ用の服とは別に購入が必要になります。
毎日遠くの練習会場まで送迎すれば、交通費も必要になります。
大会や発表会などの遠征費、宿泊費などは、子供自身の分だけでなく親の分もかかります。
このあたりは、初めて習い事をさせるときに細部まで想像できるものではありません。
しかし、インターネットで情報収集をおこなう、説明会のときにしっかり確認しておくなどはできるはずです。
月謝以外にかかる費用についても事前に把握しておいてから選ぶようにしましょう。
子供に習い事をさせるときの注意点
最後に、子供に習い事をさせるときに気をつけたいポイントを紹介します。
強制させないこと
天才少女と呼ばれる幼い子供が泣きながら練習をし、大きくなってオリンピック選手になった…。
このような場面がテレビで放送されているのを見ると、「習い事は厳しくさせるべき」と思うかもしれません。
しかし、他の家庭とご自身の家庭を一緒にすることはリスクがともないます。
そのご家庭では、結果として良かったかもしれませんが、下手をすればその習い事が大嫌いになる可能性もあったわけです。
あるいは、親の指導やプレッシャーが厳し過ぎて、精神的に参ってしまう子供もいるでしょう。
テレビで見る天才少女は天性の才能があったり、親がプロだったりして、他とは違う指導環境が備わっています。
それを、結果のみを見てご自身の子供に強制させることは、別の才能を潰してしまうおそれが同時にあります。
自分には叶えられなかった夢を子供に託したいと思うことがあるかもしれませんが、それはあくまでも子供自身もそうしたいと自主的に感じることが大切です。
親の期待が仇となることも
親が習い事にやる気をだしすぎたり、家計を圧迫したりすることで、親自身が「これだけ頑張って送迎や費用捻出をしているのだから結果がでて当然」と、過度な期待をもちがちです。
結果的に子供へのプレッシャーを与えてしまうことになり、本来であれば伸びた才能が伸びないかもしれません。
学校や家庭内で学べることは多数ありますので、習い事に期待し過ぎないように、無理のない範囲で習い事をさせることも大切です。
習い事のせいで親子の時間がなくならないように
毎日のように習い事をしていることで、親子の時間がなくなってしまっているご家庭を目にすることがあります。
送迎の間や見学中も親子の時間、そう考えることもできますが、子供自身は寂しい思いをしていないでしょうか。
習い事はあくまでも子供のためにさせるものだと考えたとき、忙しくなり過ぎて親子の時間が取れなくなることもまた問題です。
後になって「子供が小さいときにもっといろいろな場所に連れて行ってあげればよかった」と、後悔をしないようにしてください。
最後に
いかがでしたか?今回は、親が気になる子供の習い事について、人気の習い事別のメリットや費用、選び方や注意点などを紹介しました。
習い事は小さいうちに始めさせた方がよいと言われることがありますが、専門家によっても意見が分かれるところですので、焦る必要はありません。
子供が興味を持ったタイミングで習わせて長く続けられるケースもありますので、子供の性格や環境によってよく考えて選ぶようにしましょう。