ピアノの発表会や演奏会などで、難しい曲をサッと弾けるとかっこいいですよね。
難しい曲はそれだけを練習するよりも、基礎練習を一緒にしたほうがよりしっかりと弾くことが出来ます。
「基礎練習はつまらない……」
そう思う人も多いのではないでしょうか。
でも、基礎練習をするメリットが分かればきっと基礎練習も楽しくなるはずです。
そこで今回は、ピアノの基礎練習の方法を紹介します。
目次
基礎練習が続かない理由
ピアノの基礎練習を始めたけれど、なんだかあまり楽しくない……。
生徒がピアノの基礎練習を全然しない……。
そのような話は、本当によく聞きます。
ピアノの基礎練習をすればピアノが上達するのに、なぜ続かなくなってしまうのでしょうか。
つまらない
基礎練習は基本的に同じことの繰り返しになります。
そのため、つまらないものが多いです。
「ピアノを弾いているほうがかっこいいから基礎練習なんてやらない!」
そう思い、基礎練習をやめてしまう人もいます。
やめるまではいかなくても、サボりがちになってしまう人は多いのではないでしょうか。
ピアノの曲を弾くほうが楽しいからこそ、基礎練習はつまらないと思いがちになってしまいます。
手や腕が疲れる
ピアノの基礎練習をしっかりやると、難しい曲もスムーズに弾くことが出来るようになります。
そのために、弾きにくい指の動きを連続して弾かなければならないのです。
基礎練習は指が慣れていない動きをするため、初めは非常に疲れます。
疲れる動作は誰でも嫌になってしまうものです。
手や腕が疲れてしまうと、どうしても基礎練習を避けがちになってしまいます。
初見で弾けるものが多い
ピアノの基礎練習ばかりを集めた楽譜は、単純なので初見で弾けるものが多いです。
ピアノのレッスンなどで曲と基礎練習を並行して行っていると、初見で弾ける基礎練習曲は後回しになりがちです。
ピアノ教室では、先生から合格をもらわないと先に進めないためピアノ曲を重点的に練習してしまいます。
ピアノの基礎練習は練習回数が少なくても繰り返せば弾けるようになります。
ピアノ教室で基礎練習が課題になっていたとしても、教室で定期的に弾いていれば弾けるようになってしまうのです。
基礎練習の曲は初見で弾けてしまうものが多いため、続かなかったり後回しになってしまいます。
調号が増えると弾きにくくなる
ピアノの基礎練習はすべての音階を弾くものが多いです。
そのため、♯や♭の調号がどんどん増えていきます。
調号が増えると、単純な曲でも弾きにくくなります。
ただでさえ練習曲は単純な曲です。
そのうえ、弾きにくくなってしまうと練習したくなくなってしまいますよね。
調号が増えていくというのも、基礎練習を挫折したくなる理由の一つではないでしょうか。
基礎練習のメリット
ピアノの基礎練習はつまらないもの。
とはいえ、基礎練習をしたほうが確実にピアノは上達します。
ここではピアノの基礎練習のメリットを紹介します。
指がスムーズに動くようになる
ピアノの基礎練習をすると、指をスムーズに動かすことが出来るようになります。
ピアノは指を動かして弾くので、指のトレーニングをしていたほうが指が動かしやすくなるからです。
「好きな曲を弾いていたって指のトレーニングにはなるじゃないか」
そう思う人もいるのではないでしょうか。
ピアノの曲にはスケールや和音、トリルなど様々なテクニックが入っていますが、練習目的に作られたものではありません。
そのため、バランスよくテクニックの練習をすることができません。
基礎練習は異なるテクニックを重点的に練習するものが多いので、曲を弾くよりもテクニックが身に付きやすいです。
難しい曲が弾きやすくなる
ピアノの基礎練習をすると、難しい曲が弾きやすくなります。
難しい曲には難しいテクニックが散りばめられているため、基礎練習をしていると難しい個所が弾きやすくなるのです。
けれど、基礎練習は単純なものが多いです。
基礎練習を繰り返していても本当に難しい曲が弾けるのか不安になることもあるのではないでしょうか。
難しい曲は複雑な和音や弾きにくいスケールを弾かなければなりません。
単純な和音やスケールを繰り返し弾くことで、難しい和音やスケールも弾きやすくなります。
簡単なことが出来るからこそ、難しいこともできるのです。
すべての音階が弾ける
ピアノの基礎練習では、すべての音階を弾くことが出来ます。
スケールや和音などが、すべての音階で弾くことが出来る基礎練習向けの楽譜は多く出版されています。
けれど、♯や♭の調号が増えれば増えるほどピアノは弾きにくくなります。
弾きにくいので、練習することが嫌になるかもしれません。
調号が多い曲は複雑かもしれませんが、響きがきれいな曲が多いです。
調号が多くても、基礎練習は単純なものなので慣れれば簡単に弾けます。
すべての音階に慣れていると、どんな調の曲でも弾きやすくなりますよ。
ピアノを弾く手の柔軟性が上がる
ピアノの基礎練習を繰り返すと、手の柔軟性が上がります。
そうするとオクターヴが弾きやすくなったり、指を回転させやすくなります。
難しい曲はすごいことをやっていると思う人が多いと思います。
オクターブをスムーズに弾いたり指の回転を早くして弾くことはとても難しいですが、そのために必要なのは手の柔軟性です。
手の柔軟性が上がると、力を抜い弾いても早く弾くことが出来たり、オクターブの音階も弾きやすくなります。
そのため、手の柔軟性があると難しい曲でも弾きやすくなるのです。
手の柔軟性を上げるためにも、ピアノの基礎練習に取り組んでいきましょう。
基礎練習の種類
ピアノの基礎練習は単純でつまらないかもしれません。
そのかわり、しっかりと取り組めばピアノは確実に上達していきます。
ピアノの基礎練習にはどのようなものがあるのでしょうか。
スケール
スケールとは、音階を階段を上ったり降りたりするように弾くことです。
例えば、「ドレミファソラシドシラソファミレド」のように、音階を両手で順番に弾いていきます。
簡単に弾けてしまうので、練習になるのか心配になるかもしれません。
ゆっくり弾くことは簡単ですが、両手でそろえて早く弾くことはとても難しいです。
早く弾くために両手がバラバラになってしまうのも避けなければなりません。
スケールはゆっくり弾くことに慣れてしまえば速度は自然に上がります。
焦らず、両手でゆっくり正確に練習しましょう。
和音
和音は異なる高さの音を同時に弾くことです。
2つの音を弾くものや、3つの音を弾くものなど色んな種類の和音があります。
和音を弾くときは、音がバラバラにならずに同時に弾かなければなりません。
鍵盤を押さえつけるように弾くのではなく、手首を柔らかくしてそれぞれの音を同時に弾くイメージで鍵盤を押さえましょう。
和音を中心に構成された練習曲などがあるので、和音を弾く練習のために取り組むことをおススメします。
分散和音
分散和音とは和音を同時に弾くのではなく、ずらして和音を弾くことです。
アルペジオとも呼ばれています。
主に左手で使われることが多いですが、とても豊かな響きになります。
その豊かな響きとは裏腹に、弾いていてとても疲れます。
疲れてしまうと力みやすくなってしまうので、力んで分散和音を弾くと音が固くなったり汚くなりやすいです。
指の柔軟性も求められるので、繰り返し練習しなければなりません。
慣れないうちはとても疲れる演奏方法なので、無理をせず取り組んでいきましょう。
トリル
トリルとは、異なる高さの2つの音を高速で往復して弾くことです。
トリルは早く弾こうとすると力が入って余計に弾けなくなります。
そのため、脱力して弾く練習をしなければなりません。
指先を使って弾くのではなく、肘から指先までがつながっているイメージで弾くと弾きやすいです。
力が入っていると感じたら、いったん練習する手を止めて力をぬいてから練習をしましょう。
オクターヴ
オクターヴとは、8度の音程を同時に弾くことです。
例えば、ドから次の高さのド、レから次の高さのレなどを同時に抑えます。
オクターブで音階を弾く曲はたくさんあるので、オクターブで音階を弾く練習が必要になってきます。
オクターブを弾くときは、手首の力を抜いて弾かなければなりません。
力が入ったまま弾くと、オクターブで音階を弾くことは出来ません。
オクターヴの基礎練習になれると、親指と薬指・親指と中指でも弾けるようになるので、難しい曲が弾きやすくなります。
少し大変な練習ですが、ピアノ上達のためにぜひ取り組んでください。
ピアノの基礎練習にもおススメのピアノ曲
ピアノの基礎練習は大切。
分かってはいても、ピアノを弾くからにはやっぱり曲を弾きたいですよね。
有名な曲の中にはピアノの基礎練習ができるような楽曲がたくさんあります。
そこで、ピアノの基礎練習もできる曲を紹介します。
ショパン エチュードop25-1 エオリアンハープ
とても美しい曲です。
この曲を練習すると、分散和音を弾く練習になります。
ページ数は多くないのですが、とても疲れます。
脱力をして弾かないと美しく弾くことが出来ないので、脱力して弾く練習にもなります。
ショパンのエチュードなので楽曲のイメージが大きいかもしれませんが、しっかりと指の練習が出来ます。
美しい曲が弾けるようになるだけではなく、しっかりとピアノを弾く指も鍛えられるので、ぜひ挑戦してください。
ショパン エチュード10‐12 革命のエチュード
とても有名な曲です。
演奏効果も高い曲で、発表会などでも人気の曲です。
この曲を練習すると、左手のスケールの技術がかなり強化されます。
力を入れ弾くと早く弾けないので、まずは弾くことに慣れることが大切です。
慣れればピアノを弾く速さは自然と上がっていきます。
難しい曲ですが、左手のスケールの練習をするために挑戦する価値のある曲です。
ベートーヴェン トルコ行進曲
ベートーヴェンのトルコ行進曲は、和音が多く登場します。
そのため、和音の練習におススメの曲です。
最初は大変かもしれませんが、繰り返し練習をして和音を弾けるように練習しましょう。
難易度自体はそこまで高くないので、取り組みやすいのではないでしょうか。
有名で明るい曲なので、弾いていて楽しめる曲です。
ドビュッシー 2つのアラベスク 第2番
少しマイナーな曲ですが、とてもかわいらしくて明るい曲です。
この曲は装飾音のように2つの音を行き来するような旋律が多く出てくるので、トリルを弾くコツが掴みやすくなります。
力を抜いて軽やかに弾くことがこの曲を弾くコツです。
トリルのように連続して2つの音を行き来するような旋律は出てきませんが、短く2つの音を行き来する旋律はたくさん出てきます。
短く2つの旋律を行き来する指の動かし方を繰り返すので、上手く力を抜かないと綺麗に弾けません。
そのため、この曲を練習するとトリルを弾くコツが掴みやすくなります。
ピアノ上達のために、基礎練習をしよう
いかがでしたか?
ピアノの基礎練習はとても退屈に感じるかもしれません。
けれど、きちんと取り組めば難しい曲も弾きやすくなります。
難しい曲の聞かせどころではテクニック披露するようなものが多いです。