インナーマッスルは鍛えたほうがいいのか?

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インナーマッスルとは

トレーニングの世界では最近一時期ほどインナーマッスルという言葉を聞くことが少なくなりました。一昔前は猫も杓子もゴムバンドを使ってインナーマッスルとやらをちょこちょこトレーニングしている光景をよく見ました。

インナーマッスルとはいわゆる深層の筋を指していることが多いです。代表的なのは肩のローテータカフと言われる筋群です。

棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋で構成される体幹と腕をつないでいる小さな筋群のことです。

三角筋や大胸筋、広背筋などといった大きい筋肉とは違い、肩の関節の安定と肩関節のわずかな動きに関与します。当然力も弱く、このローテータカフだけに効果的に負荷をかけようとするとアウターの大筋群が働かないように、小さな動きで細かくトレーニングする必要があります。

インナーマッスルトレーニングの意味

それでは、ローテータカフのようなインナーマッスルだけを特化してトレーニングする意味がどれくらいあるのでしょうか?

インナーのトレーニングが流行っていたときには、アウターの大きな筋肉ばかりを鍛えていると、その発達で力強くなった関節運動にインナーマッスルがついていけなくなって故障の原因になると言われていました。

他にもインナーマッスルを鍛えれば関節の安定性が増してパフォーマンスの向上につながるとか、インナーマッスルを鍛えて代謝を上げてダイエットしよう、などと言われることもありました。

インナーマッスルはそんなに鍛えにくいのか?

アウターマッスルを鍛えるときにインナーマッスルは働いていないのでしょうか?
そんなことはないはずです。

特にフリーウエイトを使って重い負荷を扱うコンパウンド種目(バックスクワットやデッドリフトなど)であれば、主に負荷のかかる大筋群だけでなく、体幹や関節深部のインナーマッスルにも十分に負荷がかかるはずです。

小さなインナーマッスルだけを特化して鍛えるよりも、よりたくさんの筋肉が複合して働きます。

筋肉の反射や関節の瞬発的な動きを総合的にトレーニング(プライオメトリクスやクイックリフトなど)したほうが、パフォーマンスの向上に役立つだろうし、結果的にインナーマッスルも鍛えられるのではないでしょうか。

ましてやインナーのような小さな筋肉をいくら鍛えたところで基礎代謝が上がるはずもありません。

以上のように考えると、インナーマッスルだけを特化して、筋肉隆々のアスリートたちが数キロの重りやゴムバンドでちまちまとトレーニングすることに、どれほど意味があるのか疑問に感じてしまいます。

実際にアメリカでは、10年単位の追跡調査でインナーマッスルのトレーニングに効果はないと結論付けている報告も出てきているようで、少なくとも今トレンドではないようです。

一般的な筋トレにはあまり必要ない

野球の投手のように、かなり高強度の負荷が肩関節に集中して繰り返しかかるような状況では、ローテータカフに特化した補強も多少は効果があるかもしれません。

ただし一般の方が肩こりの解消をするなどの目的の場合は、インナーマッスルの強化より肩首周りの大きな筋肉の血行を良くしたり、筋膜を伸ばして柔軟性を上げていくほうが良いと思います。

日本ではインナーマッスルのトレーニングについて否定的な意見は少ないです。

しかし、少なくとも一般の人たちの健康維持や体作り、ダイエットのためのトレーニングにインナーマッスルを強調したトレーニングを加えることはあまり効果的ではないように思います。

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