「送る」は、「物事を物理的に移す・移動させる」ことを指します。
一方、「気持ちを表すために、人に金品や肩書きを与える」場合は「贈る」という漢字を選びます。
相手に荷物などを、ただ届けるだけであれば「送る」。
その中でも、お礼・お祝いなどの気持ちを示す場合は「贈る」。
物理的な移動をさせるだけなら「送る」、気持ちがこもっているプレゼントなら「贈る」を選びます。
「送る」の意味
「送る」という言葉自体の意味は多数あります。
大きく分けると、
1. 物事を移動させる
2. 去る人へ別れを告げる
3. 時間を過ごす
4. 送り仮名をつける
の4つに分けられるでしょう。
「贈る」と比較した場合の「送る」は、1の意味が該当します。
「取引先へ荷物を送る」「必要な書類を送る」など、物を「移動させる」ことを表現したい場合、適切な漢字です。
送付・郵送・発送などの単語をイメージすると、分かりやすいですね。
「贈る」の意味
「送る」と違い、「贈る」には限られた意味しかありません。
1. お礼・お祝い・お悔やみなどの気持ちを表すために、人に金品を与える
2. 地位や称号を与える
「送る」との違いが分かりやすいポイントは、「移動される物」が、気持ちを表すための物かどうかです。
感謝や尊敬、祝福、弔意など、送り手側の気持ちを表す場合、「贈る」という漢字を選びます。
贈呈・贈与・寄贈などの単語から分かるように、「プレゼント」である場合は「贈る」が正解です。
「送る」と「贈る」の用法や用例、間違いやすい例
例えばお花屋さんが、取引先Aへ、発注されたお花を届ける場合は「Aへお花を送る」ですね。
頼まれた物を、ただ「移動させる」だけです。
それ以上の意味はありませんので、「送る」を選ぶのが正解です。
それでは、支店を新装開店した取引先Aへ、お祝いのお花を届ける場合はどうでしょう?
これは、「Aへお花を贈る」がふさわしいと言えます。
なぜなら、ただの取引や物品の移動ではなく、「お祝いの気持ち」が込められているからです。
そう考えると、少し悩んでしまうのが手紙やメールです。
「手紙には気持ちがこもっているから!」と、「贈る」を選んでしまうかもしれませんが、この場合は違います。
手紙、電報、メールなどで届けたいのは、そこに書かれた「言葉」であり、「物」ではありません。
そのため、言葉という「情報を移動させる=伝える」方の使い方が優先され、「送る」が使われるのです。
ただし、祝電の場合は、「贈る」という漢字が使われます。
『贈る言葉』ではないですが、その「言葉」自体が「プレゼント」となるからと言えるでしょう。
また、弔電の場合、「打つ」「たむける」という表現が適切です。
知れば分かる、「送る」と「贈る」の使い分け
物品・情報の移動をする場合は「送る」
お祝い・感謝の気持ちを込めて金品を与える時は「贈る」
というように、適切に使い分けましょう。
手紙や電報など、一見分かりにくいパターンもあります。
「郵送」「送付」などの単語をイメージすれば、正解に近付けるのではないでしょうか。
漢字の使い分けは、プロでも難しい部分があります。
本当に迷ったら、是非辞書を使って、正しい漢字を選んでくださいね。