医学部選びの3つのポイント。自分に合った大学の見極め方とは?

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どの医学部に進学するか、ということを考えるとき、まず考えなければならないのは、どの医学部を受験するのか?です。

受からなければ進学できないわけですから、まずは合格可能性が少しでも高くなることを考えなければなりません。

しかし、進学後、「この大学はどうも自分に合わない」ということになることも少なくありません。自分に適した、なおかつ合格可能性の高い大学を選ばなければなりません。

        

  • 学力で考えた医学部選び
  • 目的から考えた医学部選び
  • 将来を考えた医学部選び

この3つについて考えていきます。まずは医学部に合格することを優先した医学部選びです。

医学部志望者の学力は、上位と下位の差が、他の学部志望者比べて狭いと言われています。

つまり、上位と下位の差がそれほどあるわけではないということです。

自分がどこに位置しているかは、模擬試験などで測るのが最も正確で効率的な方法です。

めんどくさがらずに模擬試験はこまめに受けましょう。

偏差値だけで判断してはいけない

医学部はどこも高偏差値ですが、この偏差値と自分の模擬試験での偏差値を比べて志望校を選ぶのは危険です。

国公立も私立も、それぞれ出題傾向、配点にその大学の特色が出ます。

出題される傾向の問題が、自分の得意な傾向かどうか、自分の得意な科目の配点はどうなのか、をよく見なくてはいけません。

その大学の入試がマークシートなのか、記述式なのか、英語の試験は長文読解が主なのか、英文法に力点を置いた問題なのかなどなど注意しなければならない点はいくつもあります。

高校の進路指導担当の先生、または予備校で各大学の入試科目、配点、出題傾向などをまずは調べましょう。

その上で、自分の得意な科目、得意な傾向で勝負ができる大学をいくつかピックアップし、それを志望校として勉強を始めましょう。

総合力が高い高校生であっても、早めに志望校を決め、その大学に適した受験勉強の戦略を立てることが重要です。

有名予備校の模擬試験でかなりの偏差値であっても、自分の学力傾向に適さない大学を受ければ合格可能性はガクンと下がります。

得意科目+総合力が必要な国公立

国公立大学医学部を受験するとなれば、センター試験は避けて通れません。

医学部受験におけるセンター試験は何点取れるかではなく、失点をどのくらいで食い止めるか、が重要です。

いくつかの大学では足切りがあり、二次試験に絶対の自信を持っていても、センター試験で失敗すれば二次試験を受けることができません。

特に、後期試験では足切りのレベルは高くなります。

2018年度の入試ですと、東京医科歯科大学の足切りラインが得点率91%、浜松医科大で89%です。

この高い得点率を取るためには、やはり総合力が必要になります。

センター試験でどの科目も90%程度の得点率を取れる学力を目指しましょう。そして二次試験では、先に述べた自分の得意なところで勝負します。

センター試験と、二次試験の得点配分は公になっていますので、センター試験のでき次第では、出願校の最高も視野に入れて下さい。

前期で合格を狙う

国立大学は、前期日程、後期日程に分かれています。

後期日程では、面接・小論文を課すところが多いのですが、基本的に前期日程での合格を目指しましょう。

もしセンター試験の得点率に余裕があって、後期日程のボーダーを大きく超えたとしても、面接、小論文は採点にどうしても主観が入ってしまいます。

前期日程で冒険をして、後期日程を確実に、という受験戦略は、よほど後期日程の科目に自信がある場合以外は避けた方が無難です。

理科は物理・化学が基本

受験に使う理科、生物、化学、物理のうちから2科目選ぶケースが多いのですが、医学部志望ならば、物理と化学を選びましょう。

国立大学の二次試験では、物理・化学必須の大学がいくつかあります。(2019年度入試前期日程では、群馬大・金沢大・愛媛大・九州大・佐賀大)

生物を選択してしまうと、それらの大学を受験することができなくなります。

物理、化学に対して苦手意識を持つ高校生は多いかと思いますが、自分のチャンスを狭めない意味でも、物理、化学を選択しましょう。

私立の偏差値に注意

私立大学は入試に必要な科目が国公立に比べて少ないケースがほとんどです。

入試科目が少ない大学は、偏差値が高めに出る傾向があります。これも予備校で詳細な科目ごとの偏差値などの情報を入手しましょう。

また、マークシートか記述式の試験なのかも重要です。

偏差値が自分のレベルと同じだからといって、記述式が得意なあなたがマークシート式の大学を受けるのは危険です。

その大学の試験形態に似た模擬試験での偏差値を使って、適した大学を選んで下さい。

倍率の読み

受験時の倍率は、年ごとに変化します。

2科目で受験できていた大学が、科目を増やして3科目にすれば、まず受験生は敬遠する傾向にあります。

しかし、例えばその増えた科目があなたの得意な科目だったとしたら、その大学はあなたにとって狙い目かもしれません。

他の科目のボーダー偏差値などを調べ、受験するかしないかを考える価値はあります。

また、前年倍率が高かった大学は今年も高いとは限りません。去年人気だったからという理由で、敬遠され、倍率が下がるということはよくあります。

なぜ医学部に行きたいのか?

目的によっては医学部受験のやり方は変わってきます。圧倒的な学力を持つ方ならばこれを考える必要はありません。

しかし、多くの医学部受験生は苦しみながら勉強し、やっとの思いで合格する方がほとんどです。

自分の医学部志望の目的をよく考え、一年でも早く合格すること考えましょう。

医師免許があればよい

医学部に行く理由が「とにかく医師免許が欲しい」ということであれば、あまり特定の大学にこだわる必要はないのではないでしょうか?

例えば、実家の医院を継ぐためにどうしても医師免許が欲しいということであれば、合格する可能性が少しでも高い大学を選ぶのも一つの手です。

ただ、診察室などに卒業大学がわかるものをおく医院が多い中で、あまり名前の通ってない大学では恥ずかしいという方もいるかもしれません。

長期的視野での話になりますが、そういう方はいったん医師免許を取った後に、地元の国公立、名前が通っている私立大学で博士号を取得すればいいのです。

博士号取得の難易度は、取得しようとする人の目的によって難易度は変わります。

研究者を目指す人であれば、それなりのテーマを与えられ、かなりの時間を研究に使わなければなりません。

しかし、博士号を、箔を付けるためであればそれなりに考えてくれる医局があるのも事実です。

あまりほめられた話ではありませんが、そう言ったケースで、それなりの博士論文を書けば医学博士号はそれほど難しいものではありません。

やはり一般の方は、「博士号」を権威として受け取りますので、医師免許の証書よりもそちらに目がいくのではないでしょうか。

ちょっと話としてはなんだか、という感じですが、「医師になることが目的」だけならば、自分が最も入りやすい医学部に入れば目的は達成できます。

後は、医師になってからの研鑽で患者さんからの評価は上がります。結局は「良い医者」とは、出身大学ではなく、診療の腕によるところが大きいのです。

研究者になる事も視野に入れている

iPS細胞の山中教授のような研究者になる事も視野に入れている方の場合、やはりそれなりの大学を目指すのがよいでしょう。

その理由は医師国家試験の合格率にあります。

国家試験合格率で苦戦している大学では、講義は必然的に国試対策になります。

しかし、学生の質が比較的高い大学では、国家試験に特化した講義はほとんどありません。

国家試験の傾向を睨んだ講義をする大学では、国家試験対策の課題なども多く出されます。

国家試験対策と、研究者になるための知識と思考力は、あまりリンクしません。

純粋に医学についての講義を行い、「試験対策は自分でせよ」という大学であれば、医学、生命科学で学ぶ事柄が多くなります。

研究者になるためには大学院進学を考えなければなりませんが、大学院進学後は国試対策で学んだ内容以上のものがすぐに必要になります。

研究者を目指すのであれば、国公立、または上位私立を目指すのがよいと思います。

実際は、国試対策中心の大学からも一流研究者は輩出されてはいますが、周囲の環境を考えると、研究者になろうとするならば大学はきちんと選ぶ必要があります。

将来を考えた医学部選び

どんな学部でもそうですが、大学卒業後の自分の人生を考えた大学選び、学部選びが重要です。

研究者には医師免許は必ずしも必要がない

医学部に進学すると、将来は医師か医学研究者という人がほとんどです。他には、医師から政治家に転身という例もいくつか見られます。

医学の研究者のみを考えているのであれば、医学部にこだわる必要はありません。

理学部、農学部、工学部に進学し、そこから進学する大学院を医学研究科にすればよいのです。

理学部などから医学研究科に行っても医師免許を取ることはできませんが、研究者には医師免許は必須ではありません。

こういう人は、多浪を防ぐためにも早めの進路変更が重要です。

ただし、医学部、医科大学で教員を募集するときに、「医師免許必須」という募集は存在します。これには注意しましょう。

医師は出身大学よりもその後の研鑽が重要

出身大学が影響するということがないわけではありません。

ですが、患者さんは結局、出身大学ではなく診察してもらったときの医師の受け答え、接し方などで「良い医者かそうでないか」を判断します。

医師国家試験合格後、すぐに一人前の医師になれるわけでなく、研究医を経験し、さらに自分の専門性を高めなければなりません。

その研鑽の度合いで医師としての評判が決まると言っても過言ではありません。

まずは、入れる医学部に入って医師国家試験合格を目標にするということは、それほど悪くないことです。

自分の学力、得意な科目などを考えて、現実的な志望校選びをしましょう。

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