FXにおいてレバレッジは目玉であり、大きな資金を用意せずとも取引できるシステムです。
レバレッジのお陰で他の投資と違い少額から取引が可能で、取引を始めるまでの敷居が低くなっています。
一方でレバレッジはトレーダー達を地獄へ突き落とす恐ろしい存在でもあり、投資で借金をする可能性もあるのです。
ではレバレッジで何故借金をしてしまうのでしょうか。
目次
必要以上の損失を出すレバレッジ
レバレッジは元ある資金を増やす、明確にいえば通貨ペアごとに設定されている証拠金を引き下げて取引できるようにします。
例えばドル円の場合、レバレッジのない状態だと100万もの証拠金が必要となり多額の資金を用意しなければいけません。
レバレッジがあれば50万、25万と証拠金を減らしていき、倍率によっては数千、数万まで落とせるのです。
そのため資金が数万、数十万しかないトレーダーでもドル円で取引ができます。
しかしレバレッジは資金を物理的に増やしているわけではなく「見立てて」取引を可能にしているシステムです。
レバレッジを10倍かけたからと10万が100万になっているわけではなく、資金は10万のままとなります。
証拠金が少なくなれば取引量を増やせ利益が増えますが、一方で損失も大きくなるのです。
損失が大きくなればレバレッジなしよりも減る資金がは増えてしまうでしょう。
必要以上に損失を出してしまう特性が借金をしてしまう原因へ繋がります。
レバレッジだけで借金を背負う可能性は低い
しかし単にレバレッジを増やすだけで借金にまで発展する可能性は限りなく低いでしょう。
FXには強制決済、ロスカットがありゼロになるより前に決済され損失が抑えられるからです。
ロスカットの存在があるため、トレーダーは普段借金に怯える心配なく取引できるといえます。
例えば5万円の資金で取引をし、レバレッジを100倍かけたとします。
100倍であれば500万相当の取引ができるため、ドル円の場合は5枚持てる計算です。
5枚であれば1pipsで500円の動きとなるため、1円動けば5万の損失となりあっさり資金がゼロとなってしまうでしょう。
しかし5万で5枚となればレバレッジ100倍でもギリギリの枚数であり、少し動くだけでロスカットになってしまいます。
高い倍率でも相場が少し動けばロスカットになり、資金がゼロまで落ちる心配はないのです。
もちろんレバレッジをより高くして1000倍にすれば5000万も動かせることになり、50枚で1pipsが5000円の動きになるでしょう。
こうなると10pips動くだけで5万に達してしまうため、相場が少し動けばマイナスになってしまう危険性が高くなります。
しかし1000倍といったレバレッジで取引できる機会は早々なく、現在国内業者はレバレッジの上限が25倍と定められているのです。
普通に取引していればロスカットも含めて資金がマイナスになる可能性はより低くなっています。
借金を発生させる可能性は相場の動きが原因
レバレッジだけであれば借金を発生させる可能性は低いですが、問題はそこに相場の動きが加わることです。
ロスカットのシステムも完璧ではなく、相場の動きに問題が起これば正常に機能しません。
機能しなければ資金がマイナスまで動いてしまい、借金を背負うことになるのです。
その相場の動きに問題として以下の3ケースが考えられます。
相場が急激に変動する
FXで取引する為替相場は政治や経済の情報に影響を受けます。
普段はそこまで大きく動きませんが、何かしら影響を与える重要なニュースが出れば大きな変動を見せることは珍しくないのです。
もし大きな変動が起こればレートが飛び飛びの値動きを見せるケースもあります。
レートが飛んでしまえば本来ロスカットになるラインの値も飛び越してしまい、離れた位置で決済されてしまう可能性が出てくるのです。
離れた位置が本来より大きければ資金がゼロどころかマイナスになる可能性は高くなるでしょう。
FXにおいて相場の急激な変動は決して珍しくなく、ほとんどが重要な情報が経済指標という形で発表されています。
大きく動く経済指標として有名なのはアメリカの雇用統計であり、発表される月初めの金曜日で9時30分は相場が大きく変動しやすいです。
実際に雇用統計の時にチャートを見れば分かりますが、普段は一定とされるスプレッドも広がって表示されるため大きな変動が分かります。
雇用統計以外では要人発言があり、経済に関わる人間や政治家の発言があれば大きく動きやすいです。
土日を越して離れたレートから始まる
FXで取引する為替相場は土日は開かれておらず休みとなっており、この間はFXの業者も取引を停止させています。
停止しているのは取引だけではなく機能もそうなため、土日の間はあらゆる注文とロスカットが機能しないのです。
チャートでは確認できませんが、取引する為替相場は完全に止まっているわけではなく何かしらの要員があって動いています。
その動きは再び市場が開かれる月曜日に反映され、金曜日の終値から離れた状態で表示されるのです。
土日の間はロスカットが機能しないため、規定のラインから離れた位置で始まった場合はその位置で機能します。
もし土日の間に政治、経済に関わる重要な情報が流れれば金曜日から離れた位置で始まりやすいです。
そうなればロスカットも大きく離れた位置で起こりやすく、資金がマイナスになり借金となってしまう可能性が出てきます。
ショックが起きて相場が急変する
他の2つと比べ滅多に起こるケースではありませんが、相場ではたまにショックと呼ばれる事件が起きます。
ショックは相場に大きな変動を与えるものであり、その動きは他2つで起きるものの比ではありません。
それこそ短時間で数十円単位の値動きが起こるレベルです。
短時間で急激な値動きとなるため、当然ロスカットは正常に機能しません。
変動の幅も普段では考えられないものとなるため、マイナスも想像できない金額になることが多いです。
現に最近起きたショックとしてスイスフランショックがあり、数千万という金額のマイナスを背負ったトレーダーも出てきました。
レバレッジによる借金はどう防げばいいか
資金がなくなるどころかマイナスになるのはどのトレーダーでも嫌なものです。
マイナスになる確率は自分のやり方次第で減らせ、防げます。
借金を防ぐものとしては主に以下の方法があるでしょう。
レバレッジを低くして取引する
レバレッジが大きければ大きいほど損失の金額も大きく動き、急激な変動でマイナスになってしまいやすいです。
逆にレバレッジを低くすれば確実ではありませんがマイナスになる確率は減らせます。
マイナスになるのを避けたければレバレッジは低くして取引しましょう。
完全に防ぐ意味ではレバレッジの利用にならない1倍で運用することがベストになりますが、取引するのに多額の資金を用意しなければいけません。
レバレッジはあまり低くてもロスカットされやすくなるため、FXで取引する場合はある程度利用したいところです。
借金を意識する場合は2、3倍で取引するのが目安になるでしょう。
資金を多く用意して損失を許容できる場合はそれ以上の倍率でも問題はありません。
資金は多く用意する
資金が少ないとそれだけマイナスになりやすくなってしまいます。
何より取引でも大した利益は得られないため、資金は一定以上用意しましょう。
取引する通貨ペアにより証拠金と相場の動きは変わるため、メインで取引する通貨ペアも考えて決めましょう。
基本的に大きく変動すると考えれる通貨ペアの場合は余裕を持って用意した方がいいです。
どの通貨ペアで取引するにしても、最低限10万以上は目安として用意しましょう。
相場が大きく動く時はポジションを持たない
急激な変動でマイナスになってしまうと考えれば、起こる前にポジションを持たないのが一番でしょう。
重要なニュースは経済指標という形で発表される時間が決まっているため、大きな変動がいつ起きるか把握できます。
大きなニュースを確認した後、時間が近づいてきたらポジションを決済し静観しましょう。
どちらにしても重要な経済指標のある日は警戒してあまり動かないことが多いです。
無理にポジションを持つよりは静観した方がいいといえます。
要人による発言の方は決まった時間帯にされないケースも多いです。
どのような要人が発言するか公開はされているため、発言がされるまで取引せず待つといいでしょう。
一方で相場が大きく動いた後はチャンスもあり、流れに乗れれば大きな利益を出せます。
発表される時間帯の時はチャートを確認し、相場の変動が終わった後に分析して取引するタイミングを見計らいましょう。
週末前にポジションを決済しておく
土日の動きでマイナスになってしまう可能性があれば、土日前にポジションを持たないのが一番といえます。
金曜日の市場が閉まる前にポジションを決済しておきましょう。
しかし長期取引をしているトレーダーの場合は大きな利益を狙うため、保持の判断もしなければいけません。
保持、退避のどちらをするかは現在の相場と今後の情報を合わせて判断しましょう。
もし土日に要人発言といった相場に大きな影響を与える情報が流れると分かっている場合は決済して避難した方がいいです。
場合によってはプラスに動いて大きな利益を出せる可能性はありますが、リスクを考えれば持っておくべきではありません。
相場もロスカットや損切り注文に近いと、想像以上の損失を出す危険性が高くなるため同様に決済しておいた方がいいでしょう。
海外業者を利用する
確実に借金を回避したいと考える方は海外業者を利用しましょう。
海外業者ではゼロカットというシステムを採用しており、例え損失で資金がマイナスになっても業者側が補填してゼロにしてくれます。
そのためショックを始めとした予期せぬ動きでマイナスに動いても、海外業者であれば確実に回避できるのです。
現時点において国内業者でゼロカットが採用される情報は出ておらず、海外業者を利用するしかありません。
様々な欠点もある海外業者ですが、ゼロカットで借金を確実に回避できるのはリスク管理という観点で考えるととても大きいでしょう。
実際海外業者にはレバレッジの上限がないため100倍といった数百倍の倍率で問題なく取引できます。
レバレッジを高くすればリスクは高くなりますが、マイナスになる心配を考える必要はありません。
海外業者を利用する上で気をつけること
一言で海外業者と称しても様々なところがあり、国内とは法律も違います。
問題のある悪質な業者も平気で存在するため、業者選びを間違えると借金とは別の方面でリスクを負ってしまうでしょう。
悪質でない業者の場合でも必ずゼロカットを採用しているとは限りません。
ゼロカット目的で海外業者を選ぶ場合、必ず問題のある業者でないか、ゼロカットを採用しているか確認しましょう。
それとトレーダーがゼロカットの海外業者を利用する上で気をつけたいのは、倒産のリスクが高い点です。
ゼロカットはマイナスが出てもトレーダーは追証する必要はありませんが、出たマイナス分は業者側が補填しています。
マイナスを出したトレーダーが多ければ、その分業者側の負担も重くなるのです。
現にスイスフランショックが起きた時、ゼロカットを採用していた業者の多くは倒産してしまいました。
今後マイナスが多く出る状況になった場合、利用している業者が消滅する恐れがあるのです。
有名どころであれば早々倒産しませんが、ゼロとは言えないのが海外のFX業者なためある程度の覚悟はしておきましょう。
そして気をつけたいのが海外業者は高いレバレッジを使える分、取引で損失が大きくなりやすいことです。
ゼロカットは確かにマイナスを防いでくれますが、資金をゼロにするのは防いでくれません。
借金のリスクばかりに気を取られて、資金がなくなる取引をしないように気をつけましょう。
本当の原因はレバレッジより取引にあり
レバレッジが借金を発生させる恐れがあるのは確かですが、少ない資金でも稼げるチャンスを増やすシステムに変わりありません。
本当に問題なのはトレーダーによる取引のやり方であり、高いレバレッジでも適切にしていればマイナスは防げます。
レバレッジに気を使う必要はありますが、それ以前に自分の取引に問題がないかも見直してみましょう。