FXは適当に取引をして勝てるものではなく、チャートの法則やテクニカル指標を利用してタイミングを計る必要があります。
しかし取引のタイミングとしてシグナルが確認できたとしても、出た通りに取引すれば必ず勝てるわけではありません。
取引のタイミングが分かったところで今度は「だまし」と呼ばれる現象がトレーダーを苦しめるからです。
だましについて理解し対処をしないとFXで勝つことはできません。
ではだましとはどのようなものであり、取引においてどう対策を取ればいいでしょうか。
目次
予想に反した動きとなるだまし
だましとは単純に出たシグナルと法則に反した動きになる現象を指します。
例えばシグナルとしては「これから相場は上昇する」と出ていても、何故か下落の方に行ってしまうことです。
主に以下の理由がだましを起こす原因として考えられます。
たまたま重要な情報が出て相場に影響した
だましにおいて分かりやすい原因は情報による相場の変動でしょう。
FXで取引する為替相場は情報により値動きに影響が出ます。
特に大きな影響を与える情報になれば相場の状況やシグナルは無視して変動する可能性が高いのです。
そのためシグナルが出ていたとしても直後に影響のある情報が出れば、反して動いてしまうでしょう。
明確にはだましと言えませんが、予期せぬ動きという意味ではだましになると考えられる原因です。
サインを逆利用して反対に注文するトレーダーの存在
だましでよく考えられる原因がトレーダーによる取引です。
FXの為替相場はトレーダーの取引により動きます。
そのため相場が急変している時はトレーダーが大量に注文している場面といえるのです。
シグナルやチャートによる法則もトレーダーの存在が関係しています。
例えば移動平均線は抵抗線として機能しますが、これも多くのトレーダーが「移動平均線は抵抗線になる」と理解しているため機能しているのです。
しかし多くのトレーダーが理解しているという情報は逆利用もできます。
シグナルの部分では応じた取引が大量に入るからこそ一部のトレーダーは狙いあえて反対側への注文をするのです。
実際大量の注文が行われれば動く金額も大きくなるため、だましが成功すれば多額の利益を期待できます。
理解するトレーダーが多い以上、その分だましで反転を仕掛ける人数も多くなるでしょう。
もちろん毎回とは限りませんが、こうしたトレーダーの思惑でだましが成功しシグナルとは反対に動く可能性があるのです。
シグナルを知らず逆張りしたトレーダーの存在
狙ってだましを発生させるのとは逆に意図せずだましを成立させてしまうトレーダーも存在しています。
FXは現在口座開設さえ成功すれば誰でも取引できるという門が開かれている状態です。
そのため自分が口座開設しようと考えれば、例えFXに対する知識がなくても取引を始められます。
知識がないトレーダーは当然シグナルに関しても詳しく知らないため、適当に取引をするか間違った知識で取引してしまう可能性があるのです。
トレーダーがシグナルで「ここは流れの方に動くため順張りで行こう」と考えたとします。
逆に知識のないトレーダーが「ここは反転するため逆張りで行く」と考える場合があるのです。
現在FXで勝てているトレーダーは一部だけであり、多くのトレーダーは負けています。
相場としては負けトレーダーの方が圧倒的に多く、適切に取引できないタイプも珍しくありません。
そのため予想できない初心者トレーダーの取引により、だましが発生する可能性は十分にあるでしょう。
だましが発生するパターンとは
主にだましとして考えられる動きには以下のようなパターンがあります。
トレンド相場で抵抗線を突き破ったと見せかける
特にだましとして見られる有名なパターンがトレンド相場における抵抗線での動きでしょう。
トレンド相場は値を更新しながら一方に流れる相場であり、一定の値を目安にして動いていきます。
トレンド相場になった時はラインやテクニカル指標を利用して値動きを支える抵抗線を出すのが一般的です。
抵抗線は一時的に流れが反転した時、元の流れに戻る目安の線となるため取引の参考になります。
取引のタイミングを計るだけでなく、突き破ればトレンドが終了したと「基本的には」考えられるのです。
しかし抵抗線を突き破ったとしてもトレンドが終わったとは限らず、少し動いて元のトレンドに戻る時もあります。
抵抗線を突き破っても元に戻るというのがトレンド相場におけるだましです。
抵抗線とは称していますが為替相場においてはトレーダーが参考にしている情報であり、必ず機能するものではありません。
そのため一時的に抵抗線を突き破るという現象は珍しくなく、利用しているトレーダーの視覚から見て終わったと「勘違い」してしまうのでしょう。
レンジ相場でも同じくラインを突き抜けて転換したと見せかける
レンジ相場は流れが定まらず一定の範囲を動く相場です。
トレンド相場と同じようにレンジ相場もだましが起きるものであり、パターンとしてもラインを突き抜けるように見せかけると同じものになっています。
一定の範囲を動く以上、レンジ相場で取引するトレーダーはラインを分析して目安に取引をするのが基本です。
一方でラインは値動きを阻んでいる力があると判断されるため、突き破ればレンジ相場が終わりトレンドに転換したと「基本的に」考えられます。
しかしレンジ相場でも同じく突き破ったと見せかけて、またレンジの動きに戻る時があるのです。
トレンド相場に比べレンジ相場は明確に動きの範囲を分析するのは難しくなっています。
トレーダー本人は範囲の中と理解していても、他のトレーダーはそうではないと判断して取引している可能性もあるのです。
そのため突き破っているように見せかけて、他のトレーダーからすれば別のラインで取引して反転しているケースも考えられます。
トレーダー本人のやり方でだましになっているパターンがレンジ相場ではあるでしょう。
だましの動きで行われるストップ狩り
トレンド、レンジに限らずだましの原因としては「ストップ狩り」も考えられます。
相場において損切りの準備をしておかなければいけないのはトレーダーにとって当たり前の知識です。
ポイントとしては相場が転換、終了する目安になるため抵抗線の外に設定することが多いでしょう。
しかし当たり前になっているため「抵抗線の外に損切りが設定されている」と理解しているトレーダーも多いです。
そのため一部のトレーダーはわざと損切りを発動させるため、抵抗線を突き抜けさせようと動かす時があります。
ストップ狩りによる動きはトレーダーだけでなく業者による意図的なものという噂もあるのです。
残念ながら業者が意図的に動かしているかは確認できないため、真相は闇の中でしょう。
一方で幾ら意図的に動かそうにも数人の取引程度で動くほど相場は小さくありません。
しかし流動性が低い通貨は少しの取引で動くため、狙って発動させられる可能性も高くなるでしょう。
相場は時間帯によって参加するトレーダーが変わるため、市場が変わると新しく参加してきたトレーダーにより狙われることもあるのです。
テクニカル指標のシグナルによるだまし
テクニカル指標は種類にもよりますがシグナルを出してくれるのも珍しくありません。
移動平均線やMACDによるクロス、ボリンジャーバンドのエクスパンション、オシレーター系列のダイバージェンス等が挙げられます。
トレーダーはシグナルが出ると「これが出たということは、このように動く」と判断します。
当たり前となっているためシグナルが示したとおりの動きになることが多いのです。
しかしシグナルは出てくれば確実にその通りの動きになるとは限りません。
その結果だましとして反転する時が出てくるのです。
実際テクニカル指標は幾つか種類があり、全てのトレーダーが同じ種類を使っているとは限りません。
更に自分で設定を変更できる場合もあります。
そのため自分はシグナルが出ていると判断しても、別のトレーダーはシグナルが出ておらずその通りの取引を考えていない場合も多いのです。
他にもテクニカル指標のシグナルは必ずしも信用できるものではないため、信用して取引するトレーダーとしないトレーダーに分かれます。
判断の違いも相場の動きに影響を与え、動くと見せかけてだましになる可能性もあるでしょう。
意図的ではなく利用しているトレーダーによる心理によるものでだましが発生してしまう原因がテクニカル指標を使ったパターンには考えられます。
チャートの法則によるだまし
チャートには幾つか法則がありパターンが見つかると、出た通りの動きになることが多いです。
そのため分析してパターンが確認できれば取引の準備をするトレーダーも多いでしょう。
しかしパターンは確実に法則通りの動きになるとは限らず、予期せぬ動きになる場合もあります。
チャートの法則によるだましは理解の差も考えられるでしょう。
テクニカル指標と違いチャートの法則は簡単にチャートへ表示させて判断できる情報ではありません。
そのため法則が出ていると気づかず取引してしまうトレーダーも出てきてしまうでしょう。
反対に取引をしてしまうことで結果的に法則通りにはならず、反転してしまう結果になるのです。
だましに対応するには
だましの原因は結局トレーダーによる心理的なものとなります。
完全に防げるものではないため、取引する側は「できるだけ防ぐ」という感覚で対策しなければいけません。
だましの対策としては主に以下のような方法があります。
だましのために損切りは必須
だましは完全に防げるものではないありません。
むしろシグナルや法則を頼りにする経験者程引っかかりやすい現象といえます。
残念ながらだましに引っかかってしまうことはあるため、引っかかったとしても「仕方がない」と思うしかないでしょう。
しかしだましで大きな損失が出てしまえば問題なため、損切りの設定は必須です。
ストップ狩りといった原因もあるため損切りを設定しない方がいいと考えがちですが、そもそもストップ狩りが本当に意図して行われるかは分かりません。
そのため設定していなかったために損失が膨らんでいくケースも考えられるのです。
だましの被害に遭う可能性はありますが、予期せぬ動きで大きな損失が出るよりはいいでしょう。
損切りは浅く設定しない
一方で損切りを浅く設定しているとストップ狩りによる被害へ遭いやすくなってしまいます。
そのため損切りをする時は1、2pipsといった小さな値ではなく深いところに設定しましょう。
気をつけたいのはラインを目安にし、まるで機械的にキリのいい数値に設定することです。
キリのいい数値はストップ狩りをするトレーダーにとって特に狙いやすい数値となっています。
そのためストップ狩りで損切りさせられてしまう可能性が高くなるのです。
すぐに取引しない
だましを回避するために重要なポイントはチャンスが見えたからとすぐ取引しないことです。
シグナルですぐ取引するようなトレーダーはだましにとって格好の餌食となります。
チャンスに乗れないと大きな利益を取れないため、慌てて取引してしまうトレーダーは多いでしょう。
しかしだましで損失が出てしまえばマイナスになってしまうため、損失が出るくらいであれば少し減っても確実に利益を得られた方がいいのです。
相場の流れをしばらく見て「シグナル、法則通りに動く」と判断できれば取引に入りましょう。
相場の動きからトレーダーの心理を考える
トレーダーの行動によってだましは起きるため、対策としてはやはりトレーダーの心理を読むのがポイントになります。
読むポイントとしては相場の流れを見ることであり、何故現在そのように動いているかを考えてみましょう。
また流れから見て「他のトレーダーはどう動くか」という分析をするのも大事です。
経験者だけでなく普段負けているトレーダーがどう取引するかも考えましょう。
残念ながら心理を読む話なため、正解となるやり方はありません。
自分なりに相場の動きを見て考えと分析を重ねていくしかないでしょう。
だましから分かるトレーダーの存在
だましはトレーダーによって引き起こされるものです。
逆に言えばだましを理解することで自分以外のトレーダーも相場に参加しているという意識、考えを持てます。
他のトレーダーに関して考えることはFXで勝つために必要です。
どうにも勝てないと思うトレーダーはだましを理解し、違う観点から相場を見てみましょう。