FXにおいて相場がトレンドであるかを見極めるのは基本です。
しかしトレンドは短い長いの違いはあれど永遠に続くものではなく必ず終わりがあります。
トレンドに乗って取引したいと考えるトレーダーはただトレンドの発生だけでなく転換も考える必要があるのです。
では相場におけるトレンドの転換はどう分析すればよいでしょうか。
目次
最初はトレンドの分析から
トレンドの転換を考える前に、まずトレンドの分析自体できるか考えましょう。
トレンドの転換というのは今のトレンドから一方のトレンドかレンジへ移ることを指します。
そのためトレーダー本人がトレンドを分析できなければ転換自体も見抜けません。
できたとしても分析できない状態では適切な取引を行うのも難しいです。
トレンドの発生をどう判断すればいいか分からない方は先にそちらの勉強をしましょう。
トレンドの転換を示す方法とは
トレンドの転換を見極める方法は一つだけでなく複数あります。
値の更新がなくなる
トレンド相場は一方の方向に偏って流れる状態を指しますが、本当に一直線で流れているわけではなく時々反転し、また元の方向へ戻るを繰り返しているのです。
しかし反転する時でも進むべき方向へ動いた時の高値、安値の更新はしません。
上昇トレンドであれば安値、下落トレンドであれば高値の更新がされないということです。
更に一方に流れるため上昇であれば高値、下落であれば安値を更新します。
このようにトレンド相場というのは単に一方だけでなく高値、安値のどちらも上昇であれば切り上げて、下落であれば切り下げて更新しているのです。
逆に言えば値の更新がなくなったとなれば転換する可能性が出てきます。
特に上昇であれば前の安値、下落であれば前の高値を流れとは反対の値で更新した場合は可能性が高くなると考えていいでしょう。
気をつけたいのは転換する「可能性がある」というだけで、必ず転換するとは限りません。
一時的に更新せずとも、次の流れでいきなり高値、安値を更新するケースもあるからです。
更新が確認できないからといきなり転換を考えた取引をするのはやめましょう。
値動きが鈍くなる
トレンドには強さというものがあります。
強いトレンド程長く続き相場もよく動き、弱いトレンド程相場の動きも弱くすぐ転換しやすくなります。
トレンドの強さを分析する方法は様々ですが、値動きを見てもある程度の判断は可能です。
判断方法は現在の相場でどれだけ大きく値動きがされているかになります。
例えトレンドの法則どおりに高値と安値を更新したとしても、先に更新した流れより動きの幅が短い場合はトレンドが弱まってきている証拠です。
特に僅かという表現が相応しい値動きわした場合はトレンド転換が高確率で起こると考えていいでしょう。
トレンド転換を見極めるには単に更新したかだけでなく、前回と比べて更新の内容を確認するのも大事になるといえます。
ローソク足で流れの方向に長いヒゲが出る
ローソク足はチャート上において時間帯ごとの値動きを表してくれる便利な情報源です。
取引のタイミングを計るのにもよく使われますが、一方でトレンドの転換を示してくれる情報にもなります。
ローソク足は実体とヒゲで成り立っているものであり、ヒゲはその時間帯で付けた高値と安値を表示する物です。
実体は始値と終値とその時間帯で始まった、終わったレートを表示してくれます。
ポイントになるのはヒゲの長さであり、あまりにもヒゲが長いと更新した値から大きく値動きが起こったことになるでしょう。
その分ヒゲの方向へ反発力が強いことになり、トレンドの方向で出ていれば転換のサインとして見れるのです。
もちろんローソク足のヒゲが長いからと必ず転換するわけではありません。
長さによっても転換する確率は変わるため、信頼できる長さが出ない限りはあまり参考にしない方がいいでしょう。
更新がなくなり何度も同じ位置で反転する
レンジ相場でも見られますが、相場では時々ある一定のラインで何度も跳ね返る現象が見られます。
これは相場においてトレーダーがそのラインを超えることに抵抗を持っている証拠であり、そのため到達すると何度も跳ね返るのです。
トレンド相場が発生している時も同じであり値の更新がなくなり、同じ値で何度も反発していればトレーダー達がそこから動くのを拒否してます。
進む方向へ反発が強いため、その分転換という形で反転する可能性が高くなるのです。
同じ位置で何度も反転し、反対側に行くのをFXのチャートではトップ、ボトムという名称で呼ばれています。
2回跳ね返って反転すればダブル、3回跳ね返ればトリプルが名称の前に付くのです。
トレンドに限らずレンジ相場でも起こる現象なため覚えておくといいでしょう。
気をつけたいのは「同じ位置」の定義であり、本当にぴったり同じレートで反転するのは稀なことです。
大抵は幾らか数値がズレて毎回変わるため「位置的には変わらない」という定義で見ていきましょう。
トップ、ボトムが何回行われるかはその時にならないと分かりません。
場合によっては2、3回どころかそれ以上起こる可能性も考えられるのが為替相場です。
最低2回は行われるため、2回跳ね返ったのを確認できたら反転する可能性があると考えて取引をしましょう。
値動きを支えていた抵抗線を突き抜ける
一番分かりやすい転換のサインはトレンドを支えていた抵抗線を突き抜けることです。
値の更新があるようにトレンドは一定のラインに支えられて相場が動きます。
そのため支えていたラインを突き破る動きになれば支えがなくなったと考えられ、トレンドが転換したと考えられるのです。
しかし他と同じように突き破ったからトレンドが転換したとはいえません。
厄介なことにFXでは「だまし」と呼ばれるものがあり、ラインを突き破ったと思えばまたトレンドの方向に戻る時が少なくないのです。
ラインを突き破ったから反転したと考え取引すると、だましであれば戻ってしまうため損失が出てしまうでしょう。
値動きを支えていたため、ラインを突き破るとそのまま大きくその方向へ動きやすいです。
だましかは突き破って大きく動いたかどうかで判断しましょう。
テクニカル指標で見るトレンド転換の見極め方法
トレンドの発生を見極める方法は様々ですが、トレーダーによく使われるのはテクニカル指標を利用した方法でしょう。
トレンド系列に分類される種類はトレンドの発生を分析できますが、発生が分かれば当然転換も分析できるのです。
トレンド転換を見極める方法としては以下のようなものがあります。
移動平均線は線の位置とクロスを見る
移動平均線はトレンド系列にしてテクニカル指標で最も基本的な種類です。
移動平均線はトレンドが発生すると値動きを支えるように動くため、相場のどこに位置しているかを見るのが基本となります。
逆に言えば値動きを支えないか、位置が逆になった場合はトレンドが転換している証明になるのです。
線の位置を見るだけなためまだ経験が不足しているトレーダーでも分かりやすく使えるでしょう。
線の位置だけでなくクロスにより見極める方法もあります。
クロスは短い線が長い線を突き抜けるように動く現象でトレンドが発生したことを示す情報です。
下から上に突き抜けるゴールデンクロスであれば上昇、上から下に突き抜けるデッドクロスであれば下落トレンドに入ったことを知らせます。
しかし難点として移動平均線は全体的に情報を反映させるのが遅いです。
そのためクロスが発生したとしても既にトレンド転換した後というケースが多くなります。
移動平均線を使う場合は相場の流れに比べて判断が送れると考えた方がいいでしょう。
クロスを使う場合は移動平均線ではなくMACDを使った方がいいです。
ボリンジャーバンドはバンドの形を見る
ボリンジャーバンドは上下に幾つかのバンド幅というものが表示されるテクニカル指標です。
バンド幅は普段レンジ相場で逆張りのタイミングを計る情報として使えます。
相場でトレンドが発生した時はどのバンド幅も発生した方向に向いて知らせてくれるのです。
逆に言えばバンド幅の方向性が崩れて表示されればトレンド転換したと分かるでしょう。
ポイントになるバンド幅は一番外側に表示されているバンドであり、一番値動きを超える可能性が低い部分なため、動きの変化も重要です。
他にもボリンジャーバンドはバンドの広さによりトレンドの強さも示します。
もしバンド幅が全体的に狭くなってきた場合はレンジ相場に転換し、その後に拡大して別のトレンドが発生する可能性が高いです。
一目均衡表は雲に支られているか確認
一目均衡表は線と雲で作られた情報が表示されるテクニカル指標です。
しかし線を使う必要はなくトレンドの発生と転換を見極めるには雲だけで十分となります。
雲は値動きを支えるだけでなく厚さで今のトレンドがどれだけ強いかを示してくれる情報です。
そのため雲が薄くなってきた場合はトレンドが弱くなり転換する可能性が高くなると考えていいでしょう。
更に雲は抵抗線として機能しているため、値動きが入って突き抜けると一気に抜けた方向へ動きやすくなります。
特に雲が厚ければその分動きも強くなるため、雲の中で値動きが推移している時は明確に転換する可能性があると考えておきましょう。
MACDは中央のラインかクロスで判断する
MACDはトレンド、オシレーターのどちらでも通用するテクニカル指標です。
値動きのところに表示されませんが表示された範囲で上下に推移して今の相場を知らせてくれます。
トレンド転換を見極める方法としてまず見るポイントは中央のラインです。
MACDの見方としては線が上で動いている時は上昇、下で動いている時は下落が強い相場となっています。
そのため中央のラインを超えた場合は明確にトレンドが転換したと判断できるのです。
しかし中央のラインでしばらく上下する時もあるため、超えたからすぐに転換したと判断してはいけません。
突き抜けるように線が推移した場合転換したと考えればいいでしょう。
何よりもMACDを使っての判断方法として使えるのはクロスになります。
クロスは移動平均線でも使えるシグナルですが、MACDはそちらに比べ発生する時期が早いのです。
そのため明確にトレンド転換したのを判断できます。
しかしクロスは発生すればいいというものではありません。
ゴールデンクロスであれば下に線が、デッドクロスであれば上に線がある時明確に突き抜ける動きをしている必要があります。
人間の目からするとすぐ判断しづらいため、少し推移を見守る時間が必要になるでしょう。
オシレーターのRSIはダイバージェンスで見極める
基本的にトレンドの発生と転換はトレンド系列を使って分析します。
しかしオシレーター系列でも見極める方法はあるのです。
オシレーターでよく使われる種類といえばRSIであり、範囲による動きで売買の強さを表すテクニカル指標となっています。
基本は逆張りで使う指標ですが、トレンド転換のサインとして使えるのがダイバージェンスと呼ばれる現象です。
ダイバージェンスは逆行現象といい、相場の動きとテクニカル指標の動きが逆に動きます。
起こった時は相場もテクニカル指標の方向へ動きやすいため、トレンド転換が起こると判断できるのです。
ダイバージェンスはRSI以外のテクニカル指標でも起こるため、転換を見極める方法として活用してみましょう。
ファンダメンタルによる動きに気をつける
トレンド転換を見極める時に気をつけたいのが相場の動きだけでなく外部からの情報、政治や経済といったファンダメンタルによるものです。
ファンダメンタルによる情報は重要な物が発表されると今までの動きを無視するぐらいの変動を見せる場合もあります。
そのため発生した同時にトレンドの転換が決まるケースも珍しくないのです。
今までの値動きが無意味となってしまうため、相場だけでトレンド転換を見極めていると情報による不意な動きにやられてしまいます。
トレンド転換の分析をする時は同時に政治、経済情報で重要な発表がないか確認しておきましょう。
分からなければ取引はしない
残念ですがトレンド転換を確実に見極める方法は取引で確実に勝つ取引がないのと同じで存在しません。
時には見極める方法を利用しても転換するか分かり難い相場になっている時もあるでしょう。
分からない状態で取引するのはリスクが高い行為となっています。
そのため分からないのであれば取引せず相場を静観した方がいいでしょう。
例えチャンスだったとしても予想を外れる可能性もあるため、それで損失が出るよりはいいのです。