型枠大工の仕事内容とは?きついと感じた時の上手な気持ちの切り替え方

皆さんは「型枠大工」という職業について聞いたことがありますか?型枠大工とは言葉の通り大工仕事の一種で、木造ではない鉄筋コンクリート製の建物を作る際に必要不可欠な職人のことです。

木造建築の場合は「木材」をそのまま使いますが、鉄筋コンクリート建築の場合は「液状」のコンクリートを使用することになります。もちろん液状のままでは使用できませんから、きちんとした形にするための型が必要です。

その「コンクリートの型」を作るのが型枠大工の仕事なのです。建築ラッシュにより型枠大工の需要は高まる一方ですが、やはり「仕事がきつい」ということで型枠大工を辞めていく人も一定数いるのが現状です。

そこで今回は、型枠大工を辞めていく人が減らない理由や型枠大工のやりがい、さらに「型枠大工の仕事がきつい」と感じ始めた時の気持ちの切り替え方などについて解説していきます。

型枠大工の仕事はきつい!辞めていく人が減らない理由が知りたい

家族に土木建築関係の仕事をしていて、その仕事ぶりの見事さから「自分も将来は同じような職業に就きたい」と考える人がいるかもしれません。

しかし実際には、土木建築関係の仕事というと、どうしても「きつい・苦しい」というイメージが付きまとうため、「仕事としてチャレンジしてみよう」と思う人がそれほど多くないのが現実です。

それは型枠大工という仕事にも当てはまります。せっかく型枠大工という技術職に就いたにもかかわらず、短期間で辞めてしまう人が後を絶たないのです。

では、型枠大工の仕事のきついところ、辞めていく人が減らない理由について、考えていくことにしましょう。

一人前になるまでに10年以上かかる

どの土木関係の仕事についても同じことが言えますが、型枠大工としての技術を身につけ、しっかりと独り立ちできるようになるまでには10年以上はかかると言われています。

型枠大工という仕事に「必ずうまくいくマニュアル」というものは存在しません。先輩たちに教わりながらひとつずつ仕事を覚え、地道に技術力を磨いていくしか一人前になる方法はないのです。

ですから、型枠大工として成功したいと思うのであれば、決死の覚悟を持って仕事に挑まなければなりません。しかし多くの場合、この覚悟が十分でないために、きついから無理だとあきらめてしまうのです。

「必ず一人前の型枠大工になってみせる」という強い意志を持つことができなければ、途中で挫折してしてしまうことになるでしょう。

緻密な作業の連続!ミスは決して許されない

コンクリート造りの建物の基礎となる大事な部分を担当するのが型枠大工です。たった数ミリの誤差が建物自体の強度に大きな影響を与えることになりますから、見た目以上に緻密で繊細な作業が求められます。

誤差は3ミリ以内が鉄則、ミスは決して許されないのです。「ちょっとくらいなら大丈夫」「こんな感じでOK」といったわずかな気のゆるみが大きな事故につながる可能性もあります。

このように、型枠大工という仕事は、見た目以上にデリケートな作業の連続なのです。自分を厳しく律することができて、正確な作業を淡々と続けられる根気強さが求められます。

「大きな建物を造る現場に立ち会ってみたい」「手に職をつけたいから型枠大工という仕事を選んだ」というだけでは、到底つとまらない世界かもしれません。

仕事中は常にケガと隣りあわせ!型枠大工は体力勝負

人が考えている以上に体力を必要とするのが、型枠大工という仕事です。必要な資材を運んだり撤去したりする作業に加え、さまざまな重たいものを移動させる機会も多くあります。

そのため、会社のオフィスで仕事をするのとはまったく異なり、型枠大工の仕事は常に危険と隣り合わせなのです。実際に「大ケガをして退職せざるを得なくなった」というケースも多くあります。

どれだけ自分が注意深く作業をしていても、不慮の事故に巻き込まれてしまうことも考えられますから、型枠大工としての仕事は決してラクなものではありません。

また、自分から率先して筋トレに励むなどの体力づくりをしていくことも、型枠大工として長く仕事を続けていくためのコツと言えそうです。

きついと思っても続けたい!型枠大工の「やりがい」とは?

型枠大工には苦労も多く、その仕事のきつさから早々に辞めてしまう人も少なくありません。そのため、型枠大工不足に悩んでいる建設現場も多いのが実情です。

だからといって型枠大工になりたい・これからも型枠大工を続けたいという人がまったくいないのかというと、そうでもありません。「きついと思ってもやっぱりこの仕事が楽しい」という人もたくさんいます。

では今度は、離職率が高くてきつい仕事だと言われる型枠大工という仕事の「やりがい」について考えていくことにしましょう。

大きな仕事をやり遂げたという達成感が心地良い

型枠大工は一戸建ての家を建設する、木造のアパートを建築するというのとは桁違いのスケールで仕事をすることになります。

鉄筋コンクリート造りのマンションや高層ビル、ランドマーク的な建物を造る際にも型枠大工という職人が求められるのです。

ひとつひとつの仕事の規模は大きく、無事に作業を終えた時の達成感はとても言葉で言い表せるようなものではないと言います。

型枠大工としてどれだけきつい作業をする日々が続いても、建築物が完成したところを目にする頃には、苦しかった日々の記憶など吹き飛んでしまうようです。

職人としての自分に自信と誇りを持つことができる

職人としての自信と誇りが持てるようになるのも、型枠大工として仕事をしていくことの大きな「やりがい」に通じていると言えるでしょう。

自分が持っている技術力を最大限に活かし、繊細で緻密な作業力が求められる型枠大工という仕事を続けていくのは簡単なことではありません。

そして完成した建物は、多くの同僚たちと一緒に汗を流して働いた結果の上につくりあげられた傑作として、この先何十年も残り続けるのです。

もちろん大きな仕事になればなるほど「きつい」と思うことは増えます。それでも、「自分が懸命に仕事をした証」が多くの人々の役に立つのだという自負の念は、この仕事をしてきてよかったという気持ちにつながります。

腕を磨くことで型枠大工として高収入を得ていくことも可能

型枠大工に限らず、どのような職業でも最初は見習い・最低賃金からのスタートになりますが、腕を磨いていくことによって少しずつ収入を上げて行くことができます。

型枠大工になったばかりの頃は当然、失敗することも多く「きつい」「辞めてしまいたい」という気持ちで日々仕事をすることになるでしょう。

それでも、きついという気持ちに負けずに日々自分の技術力を磨き続けることができれば、将来は安定した高収入を得られる優秀な型枠大工になることも夢ではありません。

特に人手不足の建設業界では、優秀な型枠大工が求められています。ですから、きついからと安易に型枠大工の職を離れずに継続していくことは、いつか必ず大きな「やりがい」となって自分に返ってくるでしょう。

「型枠大工の仕事がきつい」と感じ始めた時の気持ちの切り替え方

型枠大工という仕事には、どれだけ素晴らしい「やりがい」があると言われても、やはり仕事が「きつい」ことには変わりありません。

そのため、「こんなに苦労をしてまで仕事を続けたくない」「型枠大工という仕事は自分には向いていなかったんだ」と言って現場を去りたいと思うこともあるでしょう。

しかし、せっかく型枠大工という仕事に就いたのですから、「自分ができるギリギリのところまでやってみる」というのも良いのではないでしょうか。

ではここからは、型枠大工の仕事がきついと感じ始めた時の、上手な気持ちの切り替え方について、探っていくことにしましょう。

資格を取れば全国どこでも活躍できる!

型枠大工という仕事は専門職・技術職であり、2つの国家資格が存在しています。これらの資格を取得することができれば、全国どこでも活躍することが可能になります。

どちらも学歴に関係なく取得できる資格です。型枠大工の仕事がつらい、いつまで続けられるか自信がない...という人は、まずはこうした資格の取得を目標にしてみてはいかがでしょうか。

■型枠施工技能士(1級、2級)

1級を受験するためには、実務経験が7年以上必要になります。もしくは、2級合格後2年以上の実務経験があれば受験資格を得ることができます。自分の実力を「目に見える形」に残すチャンスです。

2級の試験は、実務経験が2年以上あれば誰でも受験が可能になっています。

■型枠支保工の組立て等作業主任者

労働安全衛生法にもとづいた国家資格で、合格すれば「作業主任者」という立場の役職に就くことができます。

コンクリート建築物を造る際の枠組みの組み立てや解体作業の方法、工具の点検、現場の監視や安全指導などをおこないます。

「いつか自分の工務店を持つ」という夢が持てる

型枠大工の仕事は力仕事であり、誰にでも務まる仕事ではないかもしれません。つらいと感じることも多いでしょう。しかし、継続して仕事をしていくことで着実に自分の技術力を上げて行くことが可能です。

また、「つらい」「辞めたい」という気持ちを上手にそらすことによって、型枠大工という仕事の奥深さを学ぶこともできるでしょう。

そして「いつか自分の工務店を持つ」という夢が持てるのも、型枠大工としてこの先も働き続けていくための大きなモチベーションになるかもしれません。

型枠大工の仕事はきつい!転職を考えるなら体力の限界を超える前がおすすめ

型枠大工を辞めていく人が減らない理由や型枠大工のやりがい、さらに「型枠大工の仕事がきつい」と感じ始めた時の気持ちの切り替え方などについて解説してきました。

型枠大工はきつい、だからこそ経験を積んで資格を取ることを目標にしてみたり、気持ちを切り替える方法を模索してみたりしたけれど、それでも心と体がついていかないこともあります。

そうした時は自分の体力の限界を超えてしまう前に、転職を考えるようにしましょう。型枠大工というきつい仕事で培った経験は必ず次の職場で活きてくるはずです。

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