FXは多くのトレーダーが負けている投資であるため、特に損失へ対する対策、リスク管理が重要となります。
リスク管理をするためには損失を抑えるために様々なことを考えなければいけません。
その損失に対して考えるべきことの一つにバルサラの破産確率というものがあります。
普段目にするものではないため、FXをこれから始めるトレーダーや初心者は何のことかよく分からないでしょう。
ではバルサラの破産確率とはどのようなものであり、FXにはどう活かせばいいのでしょうか。
目次
バルサラの破産確率とは
バルサラの破産確率とは、ようするに特定の取引において破産する確率を表したものです。
もちろん「このような取引の破産確率はこうなっている」というものではなく勝率と損益率から導き出されています。
名前にあるバルサラですが、これはナウザー・バルサラと呼ばれる数学者が作ったことが由来です。
ネット上で少し調べてみればバルサラの破産確率は表として作られており、サイトによって掲載している勝率と損益率が違います。
計算として勝率は勝った、利益を出した取引から全ての取引回数で割り算して求められるものです。
損益率は出した利益の平均を出た損失の平均で割って求められます。
ネット上ではバルサラの破産確率を計算してくれるツールもあるため、既に取引を始めている方は確かめてみてもいいでしょう。
ちなみにバルサラの破産確率自体は多くのところで表として掲載されているため、改めてトレーダーが作る必要はありません。
勝率の低い取引はほぼ100%
実際に表を見て行くと、真っ先に飛び込んでくるのが100%という数字です。
破産確率という名の通りに破産する確率を表示しているため、100%は確実に破産する計算となります。
損益率関係なしにどれも100%となっているのが勝率5%です。
実際勝率5%は取引のほとんどを負けていることになるため、損失の方が大きいでしょう。
そうなればどれだけ損益率が高かったとしても確実に資金がなくなる、破産するのと考えられるのは当たり前といえます。
100%の数字でなくなるのは勝率20%で損益率が4%の時です。
しかし20%の4%でも99%になっているため、100でなくなっただけでほぼ確実に破産するといえます。
損益率が6%になると約30%にまで落ちるため、この辺りから破産が考えられない現実的な確率といえるでしょう。
そのためバルサラの破産確率を見て行くと取引において勝率が20%以上は必須と考えられるのです。
一桁が見えてくるのは勝率30%から
一桁の確率が見えてくるのは勝率30%の損益率5%からになります。
4%で約10%になっており、5%になって6%になるのです。
一方で勝率が35%になると損益率3%で約8%程度になります。
直前の2%が約60%だったことを考える1%増えただけでかなり確率が減っているのです。
損益率が低いと100%が70%まで続く
表を見れば分かりますが勝率が高くなっても100%から中々逃れられません。
損益率が0.5%の場合は65%まで100%になっており、70%でようやく約12%程度にまで下がっています。
損益率は利益と損失から導き出される確率なため、0.5%は損失に対してほとんど利益が出ていないことになるのです。
破産確率からすれば利益がほとんど出ていない取引は勝率が70%以上にならないと確実に破産するということになります。
ほとんど破産しない確率はどこからか
0%に近い数値が出るのは40%からであり、勝率40%で損益率5%だと0.8%とほぼ破産しない確率になります。
45%に上がると損益率3%で同じくらいの確率と、勝率が5上がっただけで損益率の許容範囲も広がるのです。
そして55%になると損益率5%で0、つまり確実に破産しない確率となります。
その後も勝率が高くなるごとに0の範囲は広がっていき、70%になると損益率が0.75%で0.1、1%で0%と少ない損益率でも破産しない確率になるのです。
更に75%になれば0.75%という少ない損益率でも0%、80%以上になる最低値である0.5%でも0になります。
バルサラの破産確率から分かること
破産確率を見れば分かるように勝率、損益率が共に高ければ高いほど破産する確率は低くなり、一定の数値に達するとゼロとなります。
勝率がある程度あっても損益率が低ければ一定以上高くなければほぼ破産してしまうでしょう。
一方で損益率がどれだけ高くても勝率が低ければ破産する確率は高いのです。
そのため勝率、損益率共に高い取引をする必要があると分かります。
FXで現実的な勝率
勝率100%になれば損失が出ないため破産確率は確実にゼロとなります。
しかしFXの相場は予期せぬ動きをする時もあるため、勝率100%はあり得ません。
何度も予想を外す可能性もあるため、90辺りも厳しい数字になるでしょう。
どれだけ高くても目指せる勝率は80%程度が目安となりますが、80%も願望であり取引を続けていけばそれ以下の勝率になる可能性は十分あります。
何よりFXは時期によって相場の動きも変わるため安定して高い勝率を維持するのは難しいです。
そのため平均の勝率として考えると60%辺りが現実的といえるでしょう。
60%の場合、損益率が1%で1.7%になるため1%以上の損益率にするのが条件となります。
低確率はあり得るのがFXの世界
破産確率を0に近くなくても100に近くなければ問題がないと考える方もいるでしょう。
しかしFXというのは勝率100%があり得ないように、0%でなければ十分にあり得る世界です。
分かりやすい例がテクニカル指標のボリンジャーバンドでしょう。
ボリンジャーバンドはバンド幅が幾つか表れる種類であり、最大上下に3本で外側程超える確率が低いとされています。
一番外側は99.7%とほぼ100%に近い数字であり、絶対に超えることはないと普通は考えられます。
しかしFXは予期せぬ相場の流れになることもあり、外側である3本目のバンドを超える場面は出てくるのです。
取引に使うボリンジャーバンドですらこうなるため、破産確率も0でない限りはあり得ます。
10、20という確率は一般的に低いとされますがFXの世界では安心できない確率なのです。
何より破産確率は「資金がなくなる確率」なため、1回でも当て嵌まってしまえば大きな損失となってしまいます。
0は無理でも10を割る一桁台を目指す必要があるのです。
勝率と損益率を上げるために
FXにおいて勝率、損益率共に上げるのであれば以下がポイントとなります。
勝率の高い取引をする
普段の取引に問題があればその分負ける確率は高くなり、勝率が減ってしまいます。
そのため勝率を高くしたい場合は勝率が高くなるような取引をするのがポイントになるのです。
勝率の高い取引というのは流れが分かりやすい相場であり、最も基本なのがトレンド相場での取引となります。
他にもテクニカル指標を利用した時等に出るシグナルも取引の適切なタイミングを計る重要な情報です。
しかしシグナルに関しては出たからと確実にその通りの動きになるとは限りません。
シグナルが出た場合は信頼する出方をしているか、他にも何かシグナルが出ていないか確認しましょう。
無闇な取引をしない
勝率を高くするためには無闇な取引をしないのも大事です。
相場は時には専業とされるトレーダーでも予想するのが難しい状況になる時もあります。
リスク、勝率の低い場面で取引をするのは勝率自体を自ら下げる行為に過ぎません。
予想できない、読みにくいと考えれる場面では取引をしない選択も必要なのです。
トレーダーによってチャンスと感じる相場は変わります。
自分が「無理だ」と感じたら、取引しないようにするといいでしょう。
損失より利益を多く取れるようにする
損失が増えないように損切りを徹底するのは大事です。
しかし損切りは設定の仕方を間違えると今度は損失を増やし、損益率を下げてしまう原因にもなります。
損失を決める時は利益もポイントであり、利益より損失の方が多くなれば結果的にマイナスとなってしまうのです。
何より利益ばかり少ないと勝率が高くても大きな損失を出してマイナスとなるコツコツドカンの原因となります。
損失を決める時は利益よりも少ない数値にするため、利益を先にどれくらい取るか目安で決めておきましょう。
例えば利益を20取るとなれば損失は10取るといった感じです。
相場によってどれくらい利益を取れるかは変わるため、相場に応じて利益、損失のバランスも考えなければいけません。
負けを分析する
勝率、損益率共に最も高めるために重要な方法は負けを分析することです。
最初から勝率、損益率共に高く出来るトレーダーはいません。
今は勝っているトレーダーも勝率の低い頃があり、彼らは自分の取引を分析して今後の勝ちへ繋げたのです。
負けた原因が分からなければいつまで経っても負けてしまい勝率は上がりません。
勝率を高くするためには負けた時に理由を分析して改善する必要があるのです。
そのためには普段から取引に対する記録を取っておく必要があります。
ちなみに勝っていたとしても利益があまりなければそちらも問題点となります。
単に勝ち負けだけでなく利益と損失の出方についても分析した方がいいでしょう。
バルサラの破産確率を覚える必要はない
見ていけば分かるようにFXで勝つためには勝率、損益率を高めればいいだけです。
バルサラの破産確率はデータから結論を導き出せるものであり、FXにおいて覚える必要は一切ありません。
そのため取引していくトレーダーは勝率と損益率に拘っても、バルサラの破産確率というデータを意識する必要はないでしょう。