「田舎」は、都会から遠く離れた地域を指します。
人・物・情報が都会に比べて少ない地域です。
概して交通もたいへん不便で、人の行き来が少ないところです。
また都会と比べて人口の減少率が著しいことも特徴です。
「僻地」は、元来は「ある地域の中心から物理的に離れた地域」を指しました。
したがって、その地域の人・物・情報の質と量は無関係でした。
しかし今日では、田舎と同義で使われています。
加えて、田舎という言葉よりも少々差別的なニュアンスを込めて使われることが多いようです。
「田舎」の意味
前段で述べた意味のほかに、「自分の故郷」「自分の両親や祖父母の郷里」との意味もあります。
「田舎へ帰省する」などと言われます。
また、実際は都会であるのに、不便であることやセンスが悪いなど主観的な差別によって、特定の地域を「田舎」と呼ぶ場合もあります。
ですので「田舎者」という場合、地方出身者のことを指すとは限らず、都会的感覚に乏しい人のことを指す場合もあります。
「僻地」の意味
僻地という言葉は、今日では「僻地教育」「僻地医療」のように、本不便であることが望ましくない公共的な事業に付加して使われることが多いです。
この場合には差別的な用法ではないのですが、公共機関がこのような使い方をすることで、結局は僻地という言葉の差別性を強めている面があると思われます。
不便で暮らしにくい地域であることのお墨付きをいただいたようなものです。
「田舎」と呼ばれ「僻地」と呼ばれ
同じ田舎でも「僻地」とは滅多に呼ばれない地域も多くあります。
一方、「僻地」と呼ばれながら「田舎」と呼ばれない地域はありません。
このことから、今日では僻地の方が田舎よりも不便さや暮らしにくさが著しい地域であるとのニュアンスで使われている言葉であると言えそうです。
実際、田舎であることに価値を見出して、その価値をセールスポイントにしている「田舎」は今日では多く見られますが、「僻地」であることをアピールしている地域は聞いたことがありませんね。
「田舎」「僻地」の言葉の意味の行方
これらのことから、今後「田舎」にはポジティブなニュアンスがますます多く込められていくと考えられます。
ただし、それが田舎の「脱田舎」を図ることに有効に働くかは別問題ですが。
一方「僻地」は、今後も不便で暮らしにくい地域を象徴する言葉として使われ続け、ますます僻地で暮らす人の肩身を狭くする差別的な言葉になっていくのではないでしょうか。