テレビの天気予報に出てくる言葉には同じような意味にとれるものが多くあり、その違いがよく分からないものが少なくありません。
特徴的なものに、「霧(きり)」、「靄(もや)」、「霞(かすみ)」があります。
実は、霧と靄は気象庁の予報用語で定義されていますが、霞は予報用語ではないため、天気予報では使われません。
また、霧と靄の違いは視程界だけです。
霧とは
霧は、大気中の水蒸気が凝結し、無数の微小な水滴となって浮遊する現象を表しています。
そして、気象庁の予報用語では、微小な浮遊水滴によって視程が1km未満の状態を指します。
また、視程が陸上でおよそ100m以下、海上でおそよ500m以下の霧を、特に「濃霧」と言います。
なお、霧は発生形態によって、蒸発霧や移流霧、放射霧、前線霧、滑昇霧などと分類されます。
靄とは
靄は、大気中に小さい水滴や吸湿性の粒子などが浮遊し、遠方のものがかすんで見える現象を表します。
現象自体は霧と変わりません。
靄は気象庁の予報用語ではひらがなで「もや」と表記され、視程が1km以上、10km未満となっている状態を指します。
霧より遠くまで見えることから、水滴の粒は霧粒より小さくなっています。
またその関係で、霧より青みがかって見えます。
霞とは
霞は、遠くの景色がかすんで見える現象を表します。
霞は予報用語として定義がされていませんが、日常的には霧や靄同様、大気中に浮かぶ微細な水滴や微小粒子などによって遠くがはっきり見えない現象を指します。
なお、水滴ではなくても、黄砂や塵、煙などで視界が悪くなっている時にも霞が使われます。
なお、夜間の場合は霞ではなく、朧(おぼろ)が用いられます。
視界の悪い順番
視界が最も悪いのは濃霧で、次に霧、そして靄となります。
視界が悪くなっていれば、水蒸気でなくても霞が使われます。
なお、霧は発生場所や発生条件で呼び方が変わりますが、靄や霞には違う呼び方はありません。
霧と靄には視程の定義がありますが、霞には視程の定義が無く、かすんで見える場合に霞と呼びます。
ちなみに、季語として、霞は春、霧は秋となっています。
靄は季語ではありませんが、冬に例えられます。