【腐敗】と【発酵】の意味と違い、使い分けや使い方

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「腐敗」は、有機物が微生物に分解され、元の形質を留めなくなり、悪臭や有毒物質を発生させるようになることです。

また、人間生活の中で例えにも用いられる言葉です。

「権力が腐敗する」のように使われます。

「発酵」は、有機物がやはり微生物の働きによって、元の形質から分解され、有益な物質を生成することです。

そして発酵も人間の営みの中で例えに用いられます。

「思考が次第に発酵してくる」のように使われます。

「腐敗」の意味

ある一定の条件下で有機物に様々な微生物が取り付くと、微生物は自らの活動を維持するために有機物を分解し始めます。

言い換えると、微生物が有機物を食べ始めるということです。

この活動が進むと、有機物は元の形質をとどめられなくなり、変質して悪臭を伴う有毒ガスなどを発するようになります。

この過程が「腐敗」です。

出来上がったものはいわゆる「腐ったもの」です。

「発酵」の意味

一方、ある一定の条件下で有機物に酵母やある種の細菌など特定の微生物が取り付くと、有機物を分解して、アルコール類・二酸化炭素・有機酸類などの、人間にとって有益な物質を発するようになります。

有機質はやはり元の形質を保てなくなりますが、多くは人間の食用に供することが可能になります。

この過程が「発酵」です。

「腐敗」した物質と「発酵」した物質の用いられ方

腐敗したものは、人間生活においては用いられることはありません。

なんであれ、有害物質として廃棄されます。

一方発酵したものは、食用などに用いられることが多いです。

たとえば、酒、味噌、醤油は麹菌による発酵を利用した食品です。

チーズ、ヨーグルトのように乳酸菌を利用する食品もあります。

これらは、人間の体内に常在する微生物の働きを助けたり、直接人間の身体のメカニズムに働きかけて活性化する働きがあるとされています。

「腐敗」と「発酵」って、実は同じなんだという話

このように、腐敗した物質と発酵した物質は、どちらも微生物の働きによって分解された点は同じだと言えます。

ある人の観察によると、飢えた犬に腐敗した食べ物と発酵した食べ物の両方を与えると、犬は腐敗した方を食べたそうです。

つまり、発酵した「食品」は、人間にとっては有用であるが、他の生き物にとっては必ずしもそうではないということです。

犬の場合、人間にとっては有害なものが「食品」として生きながらえるために有用であったということになります。

ちなみに、犬に一部の発酵食品を食べさせると、お腹をこわすそうです!
こうしたことは、体内で暮らす微生物が、人間と犬では異なっていることの証拠のひとつだと考えられます。

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