建物の中にいる時に火事があると、「異常事態」を知らせる警報が鳴ります。
異常とは、いつもとは違う状態であることを意味しますが、全く同じように、いつもとは違う状態を示す言葉に「異状」があります。
同じ意味になっているため、混同されることが少なくありません。
異状を使っても意味が通じないわけではありませんが、使い方は限定されます。
異常とは
「異常」とは、尋常ではないこと、いつもとは特に違うことを意味しています。
少し違うことくらいでは「変」と表現されることから、普通とは著しく逸脱している場合に使われます。
異常の「常」の文字には、「いつも、普段」という意味があります。
ちなみに、正常の範囲は不変ではなく、漠然としたものであるため、「著しく」違う場合に異常が使われます。
異状とは
「異状」は異常同様、見えている状況が尋常ではないことを意味しています。
ただ、異常が広く使われるのに対し、異状は使われ方が限定されます。
異状の「状」という文字には、「姿、形、事の成り行き」という意味があり、どれも外から眺めた「様子」を表しています。
異状を使うのは、「巡回したけど、異状は無かった」のように、状況や光景などの異常に対してです。
形容詞と名詞
異常と異状の使い方で異なる点があるのは、異常は形容詞や名詞として使えますが、異状は名詞としてか使えないことです。
例えば、異常は「健康診断で異常なし」、「異常な音がしている」、「異常な寒さだった」などと使えます。
一方、異状は「胃に異状がある」や「車の動きが異状だった」など状況や状態の異常を表現したい場合に使用されます。
用法の違い
異常は、通常とは異なる全般的なことに対して、名詞や形容詞でもって表しますが、異状は、異常な様子や状態について言及したい時にのみ名詞で表されます。
つまり、異常と表現されるものの中で、特に様子や状態について伝える時に異状が使われます。
ちなみに、昭和時代の初め頃までは、このような使い方の明確な区分けはされていませんでした。