不登校でも進学できる全寮制の学校がある!子共や親にとってのメリットとは

不登校の子どもでも全寮制の学校に通える?

日本の高等学校の大半は全日制です。全寮制高校の数は決して多くはありませんが、無くはありません。

全寮制を取っている学校は部活動を活動の要としている学校や超進学校など、何かしら特化した面を持つ学校という印象が強いですよね。

ですから、全寮制の学校を選ぶ子どもの大半は「やりたいこと」のビジョンを明確に持っている子どもが多いです。中には実家が遠いなど特殊な事情を持つ子どももいますが、「そこに通う」理由が少なからずあります。

「家から近いから」、「学力的な理由」といったぼんやりとした理由で全寮制を選ぶ子どもはほとんどいません。

ところで近年、不登校や引きこもり、いじめ被害者など、精神的な傷を負った子ども・外に出ることに対して抵抗を持つ子どもの受け入れ態勢が整った全寮制学校が少しずつ増えているのはご存知でしょうか。

少子化が進む中、生徒数確保のために高等学校は公立私立関係なく、俗に言う『難しい面を持つ』生徒を受け入れる体制を整えつつあります。

具体的に言えば、教員が講習会などに参加して専門的な知識を得ていたり、スクールカウンセラーを導入したり、継続登校が厳しい生徒向けのカリキュラムを組んだりなど、特に不登校や発達障害を持つ生徒への対応を考えて動いています。

そしてそれは、全寮制の学校も例外ではありません。

全寮制の学校は24時間生徒が学校および寮にいる関係で、生徒ひとりひとりに対する責任の大きさが全日制の比ではありません。そのため、どうしても入試の段階で「問題のある子どもはちょっと……」となってしまう可能性が高いのが現実です。

暴力や犯罪に関わりがちな子どもは当然敬遠されますが、この手の事象に関わる可能性の低い不登校生徒もそれは同様です。出席が厳しい=卒業できない可能性を持つため、入試の段階で振るいにかけられることが多くなってしまうのです。

それは別に全寮制だけに関する話ではありませんが、責任問題の都合上、不合格となる可能性は全日制以上のものがありました。

しかしながら前述の通り、少しずつではありますが不登校生徒に対応できる学校が増えてきているのです。

一般的に、不登校の子どもの進学先として全寮制は向かない、と言われています。逆に推奨されることが多いのは通信制の学校です。かつては不登校の子どもは流れ作業のように通信制への進学を進められていたのが現実でした。

ですが、場合によっては通信制よりも全寮制への進学が向いていることもあります。子どもの状況を見なければ、お話にならないのです。

全寮制への進学が視野に入ってくるのはどのような場合か。ここからは具体例を挙げながらお話していきます。

1.環境を変えたい。

全寮制選択の1番のメリットであり、デメリットでもある部分は「地元・親元から離れる」ことにあるでしょう。

これがメリットとして動くのは「いじめに遭った」、「地元で嫌な思いをした」などの理由で不登校や引きこもりになっている子どものみとなりますが、いずれも決して低い事象ではありません。

不登校を引き起こす可能性の高い精神疾患のひとつ『適応障害』は環境を変えれば快方に向かう疾患です。

今現在置かれている環境が極めて悪く、子どもの気分が沈みがちになっているようであれば、全寮制を勧めてみるのは良い手段となるでしょう。

全寮制を取っている学校の一部では、こういった理由で不登校になってしまった子どもの回復をサポートするための受け入れ体制を大々的にアピールしています。

この手の学校は大半が私立ですので、どうしても学費は高くなりがちなのが悩みどころですが、受け入れ体制を整えている関係で中学校時代の欠席日数を考慮しない入試をしてくれる場合も多いです。一考の余地はあるのではないでしょうか。

2.親子関係が極めて悪い

上記理由に似通ったところがありますが、家庭の事情で全寮制を選ぶ子どもは少なからず存在します。

顔を合わせれば喧嘩をしてしまう、もしくはベタベタに甘やかしてしまい、親が子どもの言いなりになっているような親子は勿論ですが、子どもの不登校に悩むあまり、精神を病んでしまった親御様が、子どもをカウンセラーなど不登校回復を専門とする人材が揃う学校に預けるというケースもあるのです。

とにかく「一緒にいて良いとは思えない」と判断する事柄が何かしら存在するのであれば、全寮制を選択するだけの価値はあります。

距離や時間が解決してくれることも多いものです。

3.親御様があまり子どもと一緒にいられない。

子どもが不登校になったからといって、仕事は簡単にやめられるものではありません。しかしながら、仕事で子どもから目を離している間、心配で心配でたまらないと考えている親御様もきっと大勢いらっしゃると思うのです。

そんな親御様の助けとなるのが全寮制の学校、というケースも多々存在します。

2のケースもそうですが、家庭内だけで問題を抱え込まず、外部に助けを求めることが快方に繋がることも多いものです。

そもそも受け入れを拒んでいるような学校は論外ですが、体制がきっちり整っている学校を選び、進学させるのであれば何も問題ないのではないでしょうか。

4.子どもに具体的なビジョンがある場合

最初に述べたように、全寮制の学校は何かしらのスペシャリストであることが多いです。その方向性と子どもの希望が一致しているのであれば、全寮制だからといって尻込みせずに進学を考えてみるのも一つの手です。

「中学校に通えていないのに」、「子どもが目の届く範囲にいないと心配」と考えてしまうかもしれませんが、やりたいと思っていることを極められる学校に通える喜びや「この学校に行きたい!」という思いから、そのまま不登校状態から脱する子どもは意外と多いものです。

確かに目の届く範囲からは外れてしまいますが、それで前向きになってくれるのなら……と考えることは出来ませんか?

ただし、この手のスペシャリストな全寮制学校は、同じように夢を持って飛び込んでくる子ども達が殺到し、入試の倍率も高い傾向があります。

ですから、不登校を理由に受け入れを拒否される場合も勿論あります。こればかりはもう、どうしようもありません。

厳しいようですが、完全な不登校状態から入試を受けることになった際には、遠回しでも良いので事前に忠告をしておくべきかもしれません。出来ればそうなる前に、学校のことを調べられる範囲で調べておくのが理想ですね。

全寮制選択のデメリット

全寮制を選択することは、決してメリットばかりの生易しいものではありません。

  • 何かあった時にすぐに駆け付けられない
  • 体制が整っている学校は私学が多く、学費が高い場合が多い
  • 不登校を理由に受け入れを拒否されることもある

などが挙げられます。

特に子どもが大怪我をした、学校から抜け出して行方不明になってしまった、などの事態が発生した場合にすぐ駆け付けられないのは本当に不安ですよね。

もし、親御様が「離れている間に何かあったら……」と、どうしようもない程に不安になってしまうのであれば、その気持ちと子どもの気持ちを天秤に掛けてみて下さい。

全寮制高校は確かに人気ですが、それと同時に「絶対に行きたくない」という子どもも多いのです。本気で進学を拒否している子どもを無理矢理進学させてはきっと悪い方向に転んでしまいますし、親御様も不安なのであればよく話し合われた上で進学を決めるべきでしょう。

親御様の気持ちを押し切るほどの理由があるのであれば、その理由に親御様が納得できるのであれば、全寮制進学を視野にいれても良いのではないでしょうか。

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