スイスフラン(CHF)の特徴。値動きの傾向と取引する時の注意点。

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スイスフラン、FXについて情報を仕入れている方であれば良い、悪いのどちらの意味でも知っているでしょう。

元々の特徴からスイスフランに手を出そうと考えている方もいれば、あの事件が起きたこともあり出しづらいと考えている方がいても無理はありません。

またスイスフラン自体は通貨としてメジャーとはいえません。

FXをこれから始めようと考える方でスイスフランの特徴を知らない方も多いでしょう。

ではスイスフランはどのような特徴を持っており、どう取引していけばいいか、2015年にスイスフランで起きた事件も加えて見ていきましょう。

スイスフランとは

スイスフランは名前から分かるようにスイスで使われている通貨です。

スイスといえばある有名なアニメの舞台となったため名前を知っている方は多いでしょう。

スイスの最も大きな特徴は永世中立国という点です。

国と国の対立で最も分かりやすいのが戦争であり、どちらに付くか、それとも第三勢力になるかが基本となります。

しかし永世中立国は戦争が起きた場合、どこにも属せず参加しません。

例え他の国で戦争が起きたとしてもスイス自体に影響が及ぶことは少ないのです。

スイスフランはそんなスイスで扱われている通貨として大きな影響を受けており、通貨としての特徴にもなっています。

他の通貨に比べると普段は名前を聞くことは少ないのですが、実は通貨の中で第6位に入る取引量を持っているのです。

中立国で他からの影響を受け難いのが理由ともいえるでしょう。

中立国故の安定性を持つ

スイス自体は決して大きな国ではありません。

中立国といえば戦争に参加しないためどことなく平和なイメージを持つ方もいるでしょう。

しかし中立国は自分達で国を守らなければいけないため、そのための軍隊があるのです。

他の国に頼れない分スイスの軍隊は中立を貫ける程の力を持っています。

それだけ国としての守りは強固であり、戦争による影響の出ない期待があるのです。

またスイスは小さい国ながらも大きな国へ負けない程の経済力を持っています。

スイスは資源が少ない国なため、逆に観光を始めとした資源に左右されない産業を持っているのです。

資源の多い少ないによる影響がなく安定した経済規模を維持できています。

FXにおけるスイスフランの特徴

永世中立国であるスイスの通貨となるスイスフランはFXにおいて以下のような特徴があります。

安全なため退避先の通貨として買われやすい

FXで取引する為替相場にでは価値だけでなく、安全かも取引する判断として重要になります。

実際為替相場として考えずとも価値がなくなる通貨を好き好んで購入する人間はいません。

そのため該当する通貨を取り扱う国に戦争や災害といった悪い情報が出てくると、所持することに不安を覚えるトレーダーが多くなります。

スイスフランはスイスが永世中立国なため戦争に巻き込まれることもなく災害による危険性もほとんどありません。

他の国で悪い情報が出ると退避先の通貨としてスイスフランが買われやすいのです。

そのためスイスフランは「退避、避難通貨」と呼ばれています。

メジャーと比べ取引量はそこまででもない

取引量は6位と通貨の中では上位に入りますが、それでも上位と比べればそこまで多い量ではありません。

そのため流動性がメジャーな通貨に比べると不安なところがあり、取引量に応じて相場が動きやすいといえます。

流動性に問題があれば取引が成立しない可能性も出てくるでしょう。

マイナーな通貨に比べればまだ確率は高いですが、スイスフランで取引する場合は成立しない可能性もあると考えておくといいです。

マイナー寄りなためスプレッドが広い

取引量がそこまで多くなければスプレッドも当然狭くはなく、広く設定されていることが多いです。

どの程度広いかは業者により異なりますが、基本的には円単位で考えると20銭以上は当たり前と考えていいでしょう。

多いところになると50銭にもなり取引して利益を出すのが難しくなります。

狭くても20銭近くが当たり前となっているため短期取引には向いていません。

安全なためか金利は低く、スワップポイントは期待できない

スイスフランは通貨としても安定しているためスイスでは政策金利で低金利に設定しており、通貨全体として見るとトップクラスに金利が低い通貨なのです。

特に最近ではマイナス金利としてゼロどころかマイナスになっています。

そのためスイスフランが関わる通貨ペアによるスワップポイントは期待できません。

スイスフランで取引していく場合はスワップではなく差額の利益を狙った取引となるでしょう。

国の関係か経済による情報を集めにくい

ここまで書いてきましたがスイスフランはメジャーと呼べる程の通貨ではありません。

そのためかメジャーどころの通貨に比べスイス及びスイスフランに関わる情報は入手し難くなっています。

メジャーでは使わなかった情報系のサイトを使わなければいけない場合も出てくるでしょう。

スイスフランも他と同じく経済指標による影響はあるため、情報という意味でスイスフランはあまり初心者向けの通貨とは言えません。

スイスフランで取引する場合は関連する情報の集められるサイトを見つけておく必要があるでしょう。

安全神話を崩壊させたスイスフランショック

退避先の通貨として安定性を誇っていたスイスフランですが、残念ながら過去の話です。

スイスフランは2015年、相場を大きく揺るがすスイスフランショックが起きてしまいました。

これによりスイスフランを取り巻く環境はガラリと変わってしまい、多くの取引していたトレーダーの人生さえも変えたのです。

スイスフランショックが起きた原因とその影響

スイスフランショックが起きた原因はスイスフランとユーロの関係にありました。

起きる前のチャートを見てもらえれば分かりますが、スイスフランはある一定のラインで下落が止まっています。

これはスイス銀行がスイスフランを1.2ユーロ以下にしないと決めていたからです。

そのため1.2ユーロを割るようであれば銀行が介入してレートが下がるのを防いでいました。

実際その特性を知ったトレーダーは留まるのを理解しているため、そのラインを基にして取引していた方もいたのです。

しかし介入に使うお金は当然無限に用意できるものではありません。

そのためスイス銀行も限界が来てしまい2015年の1月5日、規定のラインを下回っても介入しないと発表しました。

この宣言はラインによる安定がなくなったことを示すものでありスイスフランの信用性はなくなってしまったのです。

その結果スイスフランの関わる相場は一気に暴落を起こし、20分程度で数十円程度の暴落を起こしました。

トレーダーに起きた天国と地獄

メジャー程ではないもののスイスフランは取引量が6位なため取引しているトレーダーは決して少なくありません。

もちろん当日にスイスフランのポジションを持っていたトレーダーはショックによる暴落の影響を直接受けたのです。

スイスフランショックが起きた原因はラインを下回っても介入しないことが原因となっていました。

そしてトレーダーはラインが抵抗線となるため買いで入る方も少なくありません。

買いでポジションを持ち、暴落による大損失を出したトレーダーは少なくないでしょう。

これだけの暴落となれば出る損失もかなりのものとなり、目を疑うレベルのマイナスとなって追加で入金するのが不可能な方も珍しくありませんでした。

スイスフランショックに限りませんが、こうしたショックによる暴落では損切りやロスカットは機能しません。

そのため普段リスクを考えて取引をしているトレーダーも大損失は避けられないのです。

最も損失に関しては少し業者に関わる問題もあり、裁判にまで発展しました。

現在は裁判が終わりトレーダー側の要望が通る形で収束しています。

一方売りでポジションを持った方は普段考えられない利益を得られたのです。

トレーダーによってはこの1回で今後取引も仕事もしないで生活していけるレベルの利益を得た方もいるでしょう。

このようにスイスフランでどちらのポジションを持っているかでトレーダーの運命は大きく変わったのです。

スイスフランの現在と今後について

スイスフランショックから年単位で時間が経過しました。

現在スイスフランのレートはショックで下がる規模にまで戻っています。

ショックで信用性を失ったスイスフランですが、スイスという永世中立国としての信頼性は失っていません。

そのため今でも他の国で何かがあると退避先の通貨としてスイスフランが買われます。

最もラインによる介入がなくなったため、ショック前に比べるとある程度の信用性が失われたのは事実です。

起こる前と同じに考えて取引しない方がいいでしょう。

幸いな点としてスイスフランショックが起きた原因は規定のラインへ介入が行われなくなったことです。

そのため今後スイスフランショックが起きるような心配はしばらくはないと考えられます。

もちろんショックが何を理由に起きるかは予想できないため、完全に安心できると考えない方がいいです。

どれにしてもスイスフランは手を出すと危険な通貨になっていない、という判断はしていいでしょう。

スイスフランではどう取引していけばいいか

スイスフランショックも経て現在の状態になっているスイスフランですが、基本的な取引方法は以前とそこまで変わりません。

避難通貨としての特性を利用する

スイスフランは避難通貨として他の国で問題が起きた時に買われます。

見方を変えれば問題が起きればその分相場が上昇すると考えられるのです。

金融関係と違い問題は普通のニュースとしても情報として掲載されるため、意識せずとも目に付き易いでしょう。

どこかの国で問題が起きたと分かればスイスフランが上昇するか確認し、できたら買いで入るといいです。

しかし中途半端な位置で入ると天井で買ってしまう恐れがあるため、乗り遅れたと感じたら手を出さない方がいいでしょう。

乗り遅れないようにスイスフランで取引する時は普段から国に関するニュースを手に入れておくといいです。

できるだけスプレッドが広くない業者を選ぶ

メジャーな通貨と比べスイスフランはスプレッドが広く設定されています。

そのためかFXを取り扱う業者によりスプレッドの広さが大きく変わっているのです。

取引していく以上、できるだけスプレッドがそこまで広くない業者を選びましょう。

スイスフラン自体の通貨ペアは幾つかありますが、自分が取引していくと考えられるペアのスプレッドを比較していきます。

スプレッドが同じような設定の場合は別の要素も比較して選びましょう。

スプレッドが広いため短期ではなく長期で取引する

どれにしてもスプレッドはそこまで狭くないため、短期取引には向いていません。

避難通貨とスイスによる影響を考えればしばらく保持して大きな利益を狙う長期取引の方が適しています。

スイス中央銀行の動向に気をつける

経済指標に気をつけるのはもちろんですが、スイスフランの場合何よりも気をつけるべきはスイス銀行の動向です。

スイスフランショックもスイス銀行による発言がきっかけで起こったように、銀行の与える影響は他の通貨より大きいと考えていいでしょう。

何よりラインこそなくなりましたが、スイス銀行はまだ介入をやめたわけではありません。

何がきっかけで介入されるかは銀行側の考えによって異なり、スイスフランショックの例もあったように突然方針が変わる可能性もあります。

長期取引が基本となるため銀行がどう動くかを考えるのは重要です。

相場の動きはもちろんのこと、銀行のニュースや他からの影響も分析して介入のタイミングを考えましょう。

スイスフランから学習するFX

FXで取引をするにおいてスイスフランで取引しなければいけない決まりはありません。

そのためトレーダー本人の方針次第ではスイスフランについて考える必要はないでしょう。

しかしスイスフランは銀行からの介入やショック、中立国としての退避先とFXにおいて参考になる特徴が多くあります。

取引はせずともスイスフランからFXで取引していくやり方を学んでみてもいいでしょう。

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