クロス円の特徴。通貨ペア別の取引ポイントを解説します。

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FXでは通貨ペアを選び取引していくことになるため、種類ごとの特徴を理解しておく必要があります。

一方で通貨ペアは大きくクロス円とドルストレートという2つのタイプに分けられるのです。

通貨ペアの種類は理解していても大きく分けられている2タイプについて分からない方はいるでしょう。

ではクロス円とはどのような特徴を持ったタイプであり、取引していく時はどう意識すればいいでしょうか。

クロス円は円をペアにした種類の通貨ペア

クロス円は難しいことは何もなく、単に円をペアにしている通貨ペアを指します。

そのためユーロ円、ポンド円、豪ドル円といった通貨ペアはクロス円になるのです。

しかし何故「クロス」という名称が付いているのか不思議に思う方もいるでしょう。

これは取引の仕組みが関係しています。

通貨ペアは左で買い、右で売る

クロス円の前にまず通貨ペア自体の仕組みについて理解しておきましょう。

通貨ペアは2つの通貨が組み合わせて成り立ちますが、もちろん単に2つ合わさっているだけではありません。

通貨ペアは左に表示されているものを買い、右で表示されているものを売っているのです。

そのためドル円はアメリカドルを買い、円を売っていることになります。

クロス円はアメリカドルを取引してから該当する通貨を購入する

通貨ペアの関係でユーロ円の場合はユーロを購入し、円で売ると考えられるでしょう。

しかし取引という仕組みで見ると実は違います。

現在通貨においてアメリカドルは基軸通貨として、何かの通貨を取引する時に購入しなければいけないのです。

そのためユーロ円の場合はユーロを購入する前にアメリカドルを円で買い、買ったアメリカドルでユーロを購入する仕組みになっています。

仕組みの関係でクロス円に該当する通貨ペアはそのものだけでなく、ドル円と円をドルに変えて含めてレートが決められているのです。

例えばユーロ円であればユーロドルとドル円のレートが計算されています。

2つの通貨ペアが合わさってレートが「交差」しているように算出しているため「クロス」と名づけられているのです。

実際の取引画面では流石に2つのレートを出すのは難しいため、単にその通貨ペアのレートとして表示されています。

計算はツール側が勝手にしてくれているため、トレーダー側は特にしなくても問題ありません。

ドル円はクロス円ではない

仕組みから分かると思いますが、円がペアになっていてもドル円はクロス円に該当しません。

ドル円は直接アメリカドルを購入して円を売るため、ドルストレートの方に分類されます。

通貨ペア一覧で見ると勘違いしてしまいがちなため気をつけましょう。

クロス円の表示について

クロス円は円がペアになっているため取引画面ではどれも円単位の表示になっています。

110.100といったように普段では見られない小数点以下の表示もされており、小数点の第二位からは銭で表現されます。

そのため110.100から110.103になった場合は0.3銭動いたという表現になるのです。

どの通貨ペアもスプレッドは銭表示で表されるため理解しておきましょう。

クロス円の特徴について

以上のような仕組みもあり、クロス円の特徴としては以下のようなものがあります。

スプレッドが広い

ドル円を見ていると錯覚してしまいがちですが、クロス円に該当する通貨ペアは全体的にスプレッドが広くなっています。

FXにおいてスプレッドは取引する時に業者がもらう手数料です。

業者はスプレッドを設定することでトレーダーが取引をする時も手数料という形で利益を得ています。

クロス円は単に左の通貨を購入し、右の通貨を売っているわけではなくドルが入っていました。

取引は内部で2回行われていることになり、その分手数料がかかるためスプレッドが広いという形で表されているのです。

しかし国内のFXは取引形式の関係で業者がある程度自由にスプレッドを設定できます。

大抵の場合は通貨ごとの流通性といった情報から決めるため、必ずしも全てのクロス円がドルストレートより広いとは限りません。

例えばユーロ円はユーロと円と基軸通貨同士で合わさっている通貨ペアなため、そうでないドルストレートと比べスプレッドは狭くなっています。

そのためスプレッドが広いという点についてはそこまで気にしないでもいいでしょう。

全ての通貨ペアがドルの影響を受ける

通貨ペアは合わさっている通貨に該当する情報に影響を受けて相場が動きます。

ユーロ円であればユーロと円に関わる情報となりますが、クロス円は介入としてアメリカドルを購入する必要があるためドルも関係してくるのです。

そのため円ではなくドルで構成されたドルストレート側の動きに影響されやすくなっています。

単純に2つの通貨ではなくドルも含めて考えなければいけないため相場の値動きは複雑になりやすいです。

ドルストレートと違い円が含まれているため、単純にドルが含まれているのと同じ動きになるとは限らず場合によっては逆に動く可能性もあります。

幸いドルは基軸通貨となっているため、少しの取引では動きません。

そのため普段はドルの影響をそこまで考えなくていいですが、ドルが大きな影響を受ける時は意識しなければいけないでしょう。

値動きが激しくなりやすい

ドルが加わって3つの通貨による影響を受けるため、クロス円に該当する通貨ペアは比較的値動きが大きくなりやすいです。

値動きの激しい通貨ペアと代表格なのがポンド円ですが、クロス円であることも合わさっているのが激しい原因にもなっています。

値動きが激しいということはそれだけ短期間の動きで利益を得られる一方、予想を外せば手痛い損失を出してしまうでしょう。

もちろん値動きが激しくなるかどうかは通貨ペアごとに違うため、スプレッドと同じように必ずしもドルストレートの方が大人しいというわけではありません。

主なクロス円の通貨ペア

クロス円とされている通貨ペアは主に以下のようなものがあります。

基軸通貨同士で構成されるユーロ円

ユーロと円が合わさっており基軸通貨同士で組み合わさった通貨ペアです。

他の基軸通貨同士はドル円とユーロドルなため、ユーロ円は唯一クロス円に該当する基軸通貨同士のペアとなっています。

基軸通貨同士の組み合わせでそこにドルが入るため、他のクロス円に比べると値動きは穏やかになりやすいです。

トレンドが発生すればそのまま継続するといった素直な動きになりやすいため、分析もそこまで難しくありません。

基軸通貨同士ということもあり、全体的にどの業者もドル円に近いスプレッドで取引できます。

ユーロはヨーロッパの通貨なため、ヨーロッパに関わる情報がポイントになります。

特にEU関係は大きな値動きに影響するためユーロ円で取引する場合は情報を確認した方がいいでしょう。

スワップポイントが高い豪ドル円

オーストラリアドルと円が合わさって構成された通貨ペアです。

基軸通貨であるユーロに比べるとマイナー寄りではありますが、通貨の中では比較的流動性のある種類となっています。

値動きは全体的に激しくなっていますが、ユーロやドルと違い午前に動きやすいのが特徴です。

何といっても大きな特徴はスワップポイントであり全体で見ると数十円と高めな設定になっています。

最近ではスワップポイントの高い別の通貨も出てきましたがどれもがマイナーなため、それらと比較して豪ドルはまだ所持するリスクの低い通貨です。

豪ドル円との関係が強いニュージーランド円

ニュージーランドドルと円が組み合わさって構成された通貨ペアです。

オーストラリアからの影響を受けやすいという関係上、豪ドル円と似たような値動きになることが多くなっています。

しかし豪ドルに比べると流動性があまり高くないため値動きが激しくなりやすく、スプレッドも豪ドル円と比較すると広く取られているのが多いです。

値動きが激しくなりやすい分利益は取れますが、損失のリスクも増えてしまうでしょう。

スワップポイントは豪ドルと同じくらいですがスプレッドや値動きのことを考えるとリスクは高いです。

激しい値動きの代表格ポンド円

イギリスポンドと円が組み合わさって構成された通貨ペアです。

FXについて知識がある方であればポンド円と聞いて真っ先に思い浮かぶ特徴が値動きの激しさでしょう。

他が銭で動きを数えられる中、ポンド円の場合は円で数えられることが平気である程です。

それ故に殺人通貨と呼ばれる程トレーダーからは恐れられています。

ヨーロッパでありながらイギリスはユーロではなくポンドを使っていますが、ヨーロッパである関係上ユーロからの影響も受けやすいです。

少ない証拠金と相場の値動きが少ないランド円

アフリカランドドルと円が組み合わさって構成された通貨ペアです。

驚くのは取引画面で他の通貨ペアと比較した時のレートの低さでしょう。

他が数十円、100円以上というレートに対しランド円は僅か数円程度しかありません。

取引する証拠金はレートによって決まるため、ランド円はほとんど証拠金を必要とせず多くの枚数で取引できるのです。

しかしランド円はチャートを見れば分かりますが1日のうちにほとんど動かないため、値動きで利益を狙うのは難しくなっています。

最近誕生した新しい通貨ペアのメキシコペソ円

メキシコペソと円が組み合わさって構成された通貨ペアであり、最近になって生まれた種類です。

名の通りメキシコで使われている通貨であり、最近出てきたこともありマイナーという比率ではトップクラスでしょう。

現在はマイナー故にほとんど取引がない関係で流動性がかなり低く、少しの取引で大きく動く可能性が高いです。

新しく出てきた通貨ペアなため、今後どうなるかは未知数といえます。

クロス円で取引する時は

決まった特徴がある以上、クロス円で取引する時は以下の点に気をつけましょう。

初心者は手を出さない

円という国内の人間であれば馴染みの深い通貨が入っているため、取引を始める際にはクロス円を選ぶトレーダーは多いでしょう。

しかし特徴から分かるようにクロス円は相場の値動きを分析するのが難しい種類です。

ドルも含めて相場ごとの影響を考えなければいけないため、始めたばかりの初心者では厳しいでしょう。

そのためFXをこれから始めようと考える方は手を出さない方が無難です。

それでもクロス円の取引をしてみたい場合は比較的安心して取引できるユーロ円を選びましょう。

スワップポイント目的で取引する場合は比較的安全性の高い豪ドル円を選ぶといいです。

ドルで構成されている相場も確認する

ドルで取引も行われるため、クロス円で取引をする時は該当する通貨ペアだけでなくドルで構成されている方も確認しましょう。

例えばユーロ円であればユーロドルの方も相場を見た方がいいでしょう。

しかしドルで構成されている相場というのは、該当する通貨ペアだけでなくドル円も対象に入ります。

そのためドル円の相場も確認した方がいいのです。

ドル円の動く情報を確認しておく

ドル円は普段そこまで動きませんが、何かしら重要な政治や経済の情報が発表されると普段では見られない動きを見せます。

ドル円で大きく動くとなれば関連するクロス円の通貨ペアにも大きく影響が出るのです。

クロス円の通貨ペアで取引する場合はドル円が大きく動くような情報がないか確認しておきましょう。

基本的には経済指標を見ることになり、ドル円の場合はアメリカから発表される雇用統計やFOMCが代表的です。

どちらも決まった日の決まった時間帯に発表されるため、該当する日の時は気をつけて取引しましょう。

どの通貨ペアで取引するかはトレーダー次第

特徴からクロス円は初心者が手を出すべき種類ではありませんが、それは基本の話です。

トレーダーによっては頭にある知識により特定の通貨ペアだと取引しやすい可能性もあります。

下手なドルストレートで取引するより利益を出せるというケースもあるでしょう。

そのため初心者向けではないといいつつも、どれで取引するかは結局トレーダー次第なのです。

少額であればリスクも少ないため一通りクロス円で取引してみるのもいいでしょう。

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