商業施設や学校、各種ビルといった施設に関する警備をおこなうのが施設警備員です。施設警備員についてインターネット上の書き込みなどには「とてもラクな仕事」と紹介されていることが多いようですが、本当でしょうか。
施設警備員の中でも、施設内で椅子に座って業務をおこなえる場合には確かに「ラクな」仕事だと考えられるかもしれません。しかし施設警備員の大半は立ち仕事になるため、きつい仕事であると考えるのが正しいでしょう。
とはいえ、施設警備員の業務は誰かと協力しておこなうというよりも、ひとりでおこなう仕事のほうが多いため、対人スキルに自信がないという人でも挑戦しやすい仕事であると言えるかもしれません。
それでも施設警備員の仕事が「きつい...」といって、業務を開始して間もなく退職してしまう人が少なくないのです。そこにはどのような理由があるのでしょうか。
そこで今回は、施設警備員の仕事がきついと言われる理由や施設警備員の仕事が長続きする人の特徴、さらに施設警備員として働く際に気をつけるべきことなどについて、さまざまな角度から解説していきます。
目次
「施設警備員はきつい仕事」って本当?
「施設警備員の仕事は全然きつくない、むしろラクにお金を稼げる職業」といった印象を持っている人は少なくないのでしょうか。インターネット上でも、施設警備員は「難しくない」仕事として扱われていることがほとんどです。
しかし実際に施設警備員を経験した人の話を聞いてみると、現場での仕事内容は「ラク」というより「きつい」ことのほうが多かったという意見も多いのです。
では、施設警備員の仕事のどのような点が大変なのか、きついと感じられるポイントについて具体的に探っていくことにしましょう。
施設警備員は長時間勤務になる場合が多い
施設警備員とは、その名の通り施設内の警備をすることが仕事です。施設の営業時間にかかわらず、警備は24時間体制でおこなう必要があります。
そのため、施設警備員の勤務体系は必然的に24時間のシフト制ということになってくるのです。もちろんその中には夜勤も含まれますから、体内時計が乱れて体調を崩してしまうこともよくあります。
施設警備員の仕事には夜勤が含まれるということで、仮眠時間を含めた長めの休憩時間をもらうことができますが、それでも体力的にきついことには変わりありません。
他の職種で夜勤の仕事をしたことがあるという人でも、施設警備員の拘束時間の長さやに加え、立ち仕事であるということを考えると、簡単には慣れることができないのではないでしょうか。
給料が思った以上に少くてきつい
仕事の内容はそれほど難しくなくても、拘束時間がとても長く、夜勤を含むシフト制という勤務体系であることから、非常にきつい仕事であると考えられるのが施設警備員という仕事です。
そんなきつい仕事である施設警備員ですが、思った以上に給料が安く、「割に合わない」「もっと効率よく稼げるところに転職したい」といって辞めてしまう人もいるほどです。
施設警備員の月収は基本的に18万円ほどで、手取りの金額は15~16万円ほどであると考えてよいでしょう。昇給は無いことがほとんどですから、給料アップは見込めません。
思ったほど稼ぐことができない、どれだけ頑張っても給料は上がらないまま据え置きということを考えると、施設警備員という仕事は「きつい」と言わざるを得ないでしょう。
暇な時間が多すぎて「きつい」ことがある
24時間の夜勤を含むシフト制であり給料も高くないことに加えて、施設警備員は「暇な時間が多い」という点にも注目する必要があります。
施設警備員は施設内に不審者が立ち入らないかどうか施設内を巡回し、建物内のすみずみにまで目を光らせることが主な仕事です。さらに入館受付や電話対応などをすることもあります。
時には一か所に立ち止まって「警備」をおこないますが、それほど頻繁に不審者が現れるとは考えにくいのも事実です。そのため、実は「暇な時間が多すぎてきつい」という事態も発生してくるのです。
商業施設ではなくオフィスビルの施設警備員の場合は座ってモニターを監視していることが多く、さらに暇を感じる事も多くなるでしょう。
きついより楽しい?施設警備員の仕事が長続きするのはこんな人
長時間拘束されるうえに給料がそれほど高くないなど、きつい点が目につくのが施設警備員という仕事です。そのため、長く勤務することができず、早々に辞めてしまう人は少なくありません。
その一方で、「自分には施設警備員という仕事が合っている」「きついと思ったことはない」と感じている人がいることも確かなのです。
それでは、施設警備員の仕事を「きつい」ではなく「楽しい」と捉えることができる・施設警備員に向いているのは、一体どのようなタイプの人なのでしょうか。くわしく見ていくことにしましょう。
「ひとりで仕事をしたい」タイプの人
協調性やチームワークを大事にするような仕事よりも、ひとりでモクモクと仕事をしたいタイプの人は、施設警備員の仕事に向いているということが言えます。
勤務を始めてしばらくは、施設内の構造や巡回ルートを学ぶために先輩社員と一緒に仕事をすることもあるかもしれませんが、その後は基本的にひとりで仕事をすることになります。
ですから、他人に気を遣いながら仕事をする必要はありませんし、人間関係のいざこざで悩まされることもありませんから、精神的な負担もなくなります。
ほぼすべてのことに「ひとりで対処しなければいけない」という大変さはありますが、それでも「ひとりでのびのびと仕事がしたい」という人にとっては非常にやりやすい仕事であると言えるでしょう。
事務作業が苦手なタイプの人
パソコン作業全般が苦手、書類の作成やこまごまとした事務作業をすることが「きつい」と感じるという人にも、施設警備員という仕事がピッタリかもしれません。
施設警備員は施設内の警備をすることが仕事ですから、パソコンを使うことも、会議のための資料を作ることもありません。椅子に座ってじっとしているよりも体を動かしている方が向いているという人にもピッタリです。
また、施設警備員の場合は屋内で仕事をすることが多く、暑さや寒さをそれほど感じることなく快適な空間で仕事をすることができることがほとんどです。
「体を動かすのは好きだが外で仕事をするのは気が引ける」という人でも、きついと感じることなく業務を遂行することができるでしょう。
年齢を重ねても続けられる仕事を探している人
年齢を重ねても続けられる仕事がしたい、50代や60代になってから新しいことにチャレンジしたいという人にとっても、施設警備員という仕事が向いていると言えるでしょう。
仕事の内容は一度覚えてしまえばそれほど難しいことはありませんから、「記憶力に自信がない」「勉強は苦手...」という人でも難なく業務をこなせるはずです。
また、施設警備員になるためには、特別な資格や技術は不要です。警備員として勤めるために必要な知識などは、会社に入社した後に「研修」というかたちで身につけることができるので安心です。
施設警備員として働く際に気をつけるべきこと
他人に気を遣うことなく業務に集中することができて、事務作業が苦手でも年齢を重ねても挑戦できるのが施設警備員という仕事です。
だからと言って「施設警備員はラクな仕事」であるという思い込みを持って仕事に就いてしまうと、「想像していた内容と違う...こんなにきついとは思わなかった...」と、大失敗してしまう可能性があるので注意する必要があります。
では、施設警備員として働く際の心構えや、施設警備員として働こうと思った時に特に気をつけたいことなどについて、考えていくことにしましょう。
施設警備員は体が資本!足腰を鍛えておく
施設警備員の仕事は何よりも体が資本になりますから、体力をつけておくことは重要です。業務時間内はずっと立ったままということもありますから、特に足腰は鍛えておきましょう。
施設警備員として働き始めてから「立ち仕事がきつい」「こんなに体力を消耗するとは思っていなかった...」と、後悔してしまわないようにしたいものです。
あまり体力に自信がないという人は、今からでも遅くありませんから、自宅で筋トレをしたり軽いランニングやウォーキングをしたりして、少しずつ体を作っていくと良いでしょう。
また、靴の中に敷く中敷きはできるだけ足に負担をかけないものを使用するようにしたり、腰痛対策のために腰ベルトを着用したりするなど、予防策をとるのもひとつの方法です。
挨拶や敬語をきちんと使えることが大切
実際に施設警備員の仕事に就いてみると分かりますが、施設警備員として働いているのは若い人ばかりではありません。50代や60代という年齢の人も大勢います。
もちろん施設警備員はそれほど他人に気を遣わなくてもこなせる仕事ではありますが、だからと言って「自由に振る舞って良い」というわけではありません。
自分より年上の人には敬語を使う、身だしなみに気をつける、報告・連絡・相談はすみやかにおこなうなど、社会人としての最低限のマナーを守って仕事をするという心構えを持って業務に従事することが大切です。
本当はきつい施設警備員の仕事!体調に不安を感じたら転職を考えよう
施設警備員の仕事がきついと言われる理由や施設警備員の仕事が長続きする人の特徴、さらに施設警備員として働く際に気をつけるべきことなどについて、さまざまな角度から解説してきました。
「施設警備員の仕事はラクだ」というのは思い違いです。確かに他人と接することが少なく、対人スキルに自信がなくてもチャレンジすることができることは間違いありませんが、体力的に消耗するきつい仕事です。
これから施設警備員として働きたいと考えているのであれば、人並み以上に体力をつけておくようにすることが重要になってきます。
ですから、設備警備員として従事するなかで体調に不安を抱くようになった・きついと感じることが多くなった時には、少しでも早く転職を考えるようにしましょう。