【範疇】と【範囲】の意味と違い、使い分けや使い方

特に限定された広がりを示す言葉に、「範疇」と「範囲」があります。

この2つの言葉を明確に使い分けられる人はそれほど多くありません。

範疇という言葉は基本的に、「類似した特徴や性質を持つものが属している範囲」を表します。

一方、範囲の場合は、「一定の条件に当てはまる広がりや枠」を示しています。

なお、広義においては、範疇は範囲に含まれます。

範疇とは

範疇は、物事を何らかの基準に基づいて分類する時に使われる言葉であり、主に以下の2つの場合に使われます。

1)似た性質を持つものが属する範囲
2)分類上の一般的な概念
例えば、『この仕事は営業部の範疇に含まれない』、『そんなことは常識の範疇だ』などがあります。

つまり、ある物事や行為などが、特定の基準の枠や一般的な概念に関わる時に使われます。

範囲とは

範囲は特定の性質に限らず、単に限定された広がりや枠を意味しています。

使い方としては、「半径1キロメートルの範囲」や「できる限りの範囲」などといった表現があります。

その枠の中に含まれるものの性質は様々なものであったとしても、同じ範囲内と言えます。

また、範囲は範疇とは違い、物理的な広さなど、目に見えるものに対しても用いることができます。

範疇の由来

「範疇」の由来は、儒教の経典である「書経」にある政治道徳の九原則「洪範九疇」という言葉から来ています。

そこから「範」と「疇」の2文字を取って「範疇」ができます。

範は「模範」や「決まった区切り」を表し、疇は「同類」という意味を持つことから、「似た特徴を持つものが属する範囲」を意味するようになります。

なお、九原則とは「五行・五事・八政・五紀・皇極・三徳・稽疑・庶徴・五福」を表します。

広がりの幅の違い

範囲は他のものと区分けする意味で使用されるため、広さにはかなりの幅がもたれています。

一方、範疇は似たような特徴や性質を持ったものを分類するため、その枠はかなり絞られます。

例えば、『この研究は彼が専門とする分野の範囲だ』とは言えず、範疇を使って『この研究は彼が専門とする分野の範疇だ』とすることで、より特化している内容を表せます。

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