掃除をしていると、「雑巾を絞る」ということをします。
その「しぼる」には「牛の乳を搾る」という言葉もあります。
どちらも同じ読み方であり、物に含まれている水分を取り出す動作を意味することも共通しています。
ただ、絞ると搾るでは同じ水分を出すことは同じでも、出し方が異なっており、絞るはねじり、搾るは押したり、潰したりします。
絞るとは
「絞る」とは、ねじって水分を出すことを意味しており、例えば「雑巾をしぼる」時は右手と左手を逆にひねって雑巾をねじります。
また、広がっていたり緩んでいたりするものを縮める、小さくする、狭めるという意味もあります。
例えば、「範囲を絞る」や「争点を絞る」、「お腹周りを絞る」、「音を絞る」は緩んだものを縮めることを表します。
搾るとは
「搾る」とは、「押したりつぶしたりして出す」ことを意味しています。
例えば、「牛の乳を搾る」や「レモンを搾る」場合はねじるのではなく、強く握って押し出すようにします。
また、搾るには、厳しくしつける、鍛える、しごき上げるという意味があります。
例えば、「居残り練習で搾られた」、「1年目はマラソンで搾りあげる」などがあります。
内と外の違い
絞るの場合は、「知恵を絞る」や「声を絞る」のように、自分の内側にあるものに対してかかる力を表現する時に使われます。
一方、搾るは、外側から力をかけて強引に出させる時に使用されます。
例えば、「年貢を搾る」、「遊ぶ金を搾り出す」は外からの圧力があります。
搾取という言葉にあるように、搾るは物を取り上げることが含まれています。
ねじるのか、押しつぶすのか
絞るとは、ねじって出すことを意味しています。
濡れた布から水分を出すのはねじるため、絞るを使います。
また、絞るに含まれる縮めるという意味では、「候補者を絞る」や「訓練で体が絞られた」などと使われます。
搾るは圧搾のように、外から押しつぶすことです。
この外から力を加えて出すというニュアンスは、絞るという言葉にはありません。