「常用対数」と「自然対数」は、ともに「対数」である点が共通しますが、その「底(てい)」が異なります。
対数とは、logab(aは下付き文字)であらわされる数式で、aを何回かけあわせればbになるか、その指数を表しています。
ここで、aは「底(てい)」といいます。
常用対数では、底が10であり、自然対数では底がeなのです。
「常用対数」の意味
「常用対数」とは、log10b(10は下付き文字)であらわされる数式で、10を何回かけあわせればbになるか、その指数を表しています。
例えば、b=1000の場合、10×10×10=1000と、10を3回かけあわせれば1000になるので、log10b=3となります。
常用対数の場合は、底を省略して「log1000=3」と表記することも可能です。
「自然対数」の意味
「自然対数」とは、logeb(eは下付き文字)であらわされる数式で、eを何回かけあわせればbになるか、その指数を表しています。
eとは、「ネイピア数」とも呼ばれ、e=2.7182…と無限に数字が続く無理数の一つです。
例えば、logeb=3の場合、b=e×e×eと、eを3回かけ合わせた数字になります。
自然対数の場合は、底を省略して「log」を「ln」(エルエヌ)を表記し、「lnb=3」と表記することも可能です。
「常用対数」の使い方
常用対数は、底が10なので、桁の数が多い数字を扱うときに、その数字がイメージしやすいという利点があります。
例えばxの値が、0.001から10000に増加するようなグラフを書こうとすると、数が小さな領域が良く分からなくなります。
log10x(10は下付き文字)のグラフにすれば、-3から4への増加になるので、値が大きな領域も小さな領域も正確に把握できます。
「自然対数」の使いかた
自然対数は、logeb(eは下付き文字)を微分すると1/bになり、底がe以外の数字のときよりも微分が簡単になるという利点があります。
eは、e^x(eのx乗)を微分しても同じe^xになるという性質をもつ数字として発見されました。
指数を用いた微分や積分のときに計算が簡単になるため、微分解析などの分野で汎用されます。