「毒薬」と「劇薬」と「毒物」と「劇物」は、いずれも危険な物質というイメージがありますが、その用途や危険性が異なります。
毒薬と劇薬は「薬」であり、医薬品・医薬部外品です。
毒物と劇物は、医薬品・医薬部外品以外の物質を指します。
毒性(致死性)で比較すると、劇薬より毒薬のほうが約10倍高く、劇物より毒物のほうが約10倍高くなっています。
「毒薬」の意味
毒薬とは、厚生労働大臣が薬事法によって指定した医薬品・医薬部外品であり、経口投与の致死量が、体重1㎏あたり30 mg以下のものを指します。
あるいは、皮下投与と静脈投与の致死量が、体重1㎏あたりそれぞれ20 mg以下、10 mg以下のものとなっています。
保管については、他の薬品とは別に、専用の保管庫に保管し、施錠をすることが義務付けられています。
モルヒネなどが指定されています。
「劇薬」の意味
劇薬とは、厚生労働大臣が薬事法によって指定した医薬品・医薬部外品であり、経口投与の致死量が、体重1㎏あたり300 mg以下のものを指します。
あるいは、皮下投与と静脈投与の致死量が、体重1㎏あたりそれぞれ200 mg以下、100 mg以下のものとなり、毒薬の致死性の1/10になっています。
保管については、他の薬品とは別に保管することが義務付けられています。
インスリンなどが指定されています。
「毒物」の意味
毒物とは、毒物及び劇物取締法(毒劇法)によって規定される物質であり、通常は医薬品・医薬部外品を除きます。
大人が誤飲した場合、致死量が2 g程度以下のものとなっています。
経口投与の半数致死量(投与した動物が急性毒性によって半数が死亡する用量)が、体重1㎏あたり50 mg以下のものという判定基準です。
あるいは、経皮投与の半数致死量が、体重1㎏あたり200 mg以下のもの等となっています。
保管については、施錠できる設備に保管し、保管庫を固定することが義務付けられています。
ニコチンなどが指定されています。
「劇物」の意味
劇物とは、毒物及び劇物取締法(毒劇法)によって規定される物質であり、通常は医薬品・医薬部外品を除きます。
大人が誤飲した場合、致死量が2-20 g程度のものとなっています。
経口投与の半数致死量(投与した動物が急性毒性によって半数が死亡する用量)が、体重1㎏あたり50-300 mgのものという判定基準です。
あるいは、経皮投与の半数致死量が、体重1㎏あたり200-1000 mg以下のもの等となっています。
保管については、施錠できる設備に保管し、保管庫を固定することが義務付けられています。
トルエンなどが指定されています。