FX用語スリップ、スリッページについて。リスク回避の為に注意する点とは

FXは適切な取引をしていけば利益を出せるようになっていく投資です。

しかしその適切な取引を邪魔する厄介な要素があり、それがスリッページと呼ばれるものになります。

スリップするとも呼ばれますが、FXで取引をするのであれば必ず理解しておかなければいけないものです。

ではスリップ、スリッページとは何なのでしょうか。

取引が「ズレて」成立するスリッページ

スリッページは単純に言えば、自分が望むレートから少し値が離れて注文が成立する現象を指します。

スリッページではなく内容から「滑る」という言葉で表現されることもあるのです。

FXで取引する為替相場は休日等で市場が閉じない限り、常にリアルタイムで動く世界になっています。

FXにおける注文において高い頻度で使うことになるのが、成行注文でしょう。

成行注文はリアルタイム注文とも呼ばれる注文方法であり、取引量と買いか売りのどちらかを決めて注文するものです。

設定して決定すれば注文されるのですが、為替相場はリアルタイムで動いており注文の処理にもある程度タイムロスがあります。

注文の処理が完了する間に相場が動き、トレーダー側が考えていたレートから離れた数値で決まってしまうわけです。

スリッページは損失を招く現象

自分の希望するレートで注文が成立しない、というのはトレーダーにとって厄介なものとなります。

数値が離れるということは、それだけ自分の取引にズレが生じてしまうからです。

買いで入り数値がズレていくらか高いところで注文が成立してしまった場合、プラスに進んだとしても得られる利益は減ってしまうでしょう。

少しのズレならよいのですが大きくズレると利益が減るだけでなく、損失の出る可能性も出てきます。

特にスリッページで厄介なのは超短期取引、スキャルピングで取引している時です。

スキャルピングは短時間の間に少ない値動きで取引をし、利益を積み重ねていく取引スタイルになっています。

少しの動き、という内容から分かるようにスキャルピングにおいてスリッページは天敵そのものでしょう。

利益が減るだけであればまだよいですが、場合によってはかなりズレて損失になってしまう可能性も出てくるのです。

損失でも抑えようと手仕舞いする時、スリッページで滑ってしまい損失が予想以上に多くなってしまう場合もあります。

スリッページの度合いは業者により変わる

スリッページは注文してからの処理によるタイムロスで決まります。

FXでは業者によってもどのようなサーバーを使っているか違いがあり、質の差もあるでしょう。

スリッページの頻度、度合いはどこの業者を利用しているかにより変わってくるのです。

酷い業者となればスリッページは当たり前に起き、数値も1、2どころか10以上離れる恐れも出てくるてじょう。

FXの業者ではスリッページが起きない、注文が希望通りに通る確率を「約定力」という言葉で表示しています。

業者選びとなればスプレッドやツール、見易さと様々な要素から比較して選ぶのが基本です。

しかし比較の中でも約定力は重要な要素であり、特にスキャルピングで取引を考えている方は他の要素よりも優先して考えるべき項目となります。

業者の出している情報は信用できるのか

FXでは約定力が重要なため、国内業者で約定力の高さをアピールしているところは珍しくありません。

しかし約定力はスプレッドや手数料と違い目に見えないものです。

情報はいくらでも加工が可能でトレーダー側を騙せ、証拠を残すのも難しく情報の真偽を判断するのも難しくなっています。

「約定力が高い」と掲載しても、本当か不安になるトレーダーもいるでしょう。

約定力の真偽を見抜くには、約定力の高さをどのように証明しているかがポイントです。

サーバーの性能により約定力の強さも変わるため、どのようなサーバーを利用しているかも信用できるか判断する材料となります。

何かしらの形で調査を行い、その結果を出しているところも信用できる確率が上がるでしょう。

もう一つのポイントとしては、やはり実際取引して使っているトレーダーの声を聞くことです。

スリッページがFXにおいて厄介な存在なのはここまで説明しましたが、せずとも取引しているトレーダーは嫌という程体感しているでしょう。

体感していれば嫌な体験は記憶に残りやすいため、トレーダーは口コミや体験談という形で不満を掲載します。

残念な話ですが実際に業者が公式で掲載している情報は必ず信頼できる、本物とは限りません。

ネットという匿名性と嘘であるという証明の証拠を出すのが難しい関係で嘘を掲載しても完全に見抜けないのです。

またFXの口座を提供している業者からすれば、トレーダーが損をすればその分自分達は儲けられます。

そのため意図的にスリッページを発生させ、トレーダーを損させる理由も十分にあるのです。

現にこの仕様から業者に対して疑惑の目を向けているトレーダーもいます。

一方で口コミや体験談も匿名で掲載されるため簡単に信用してはいけません。

現在ネット上で自分のところを良く見せる、ライバルを悪く見せようと工作する存在が問題となっています。

FXも例外ではなく、単純な書き込みであれば分かりやすいですが完全に作られた情報か見抜くのは難しいでしょう。

そのため総合して考えるとどの情報も一定以上の量をまとめ、そこから判断してみるしかありません。

ちなみに比較をする際は「約定率」に気をつけましょう。

約定力と名前が似ているため見間違いしやすいですが、こちらは注文が成立する確率を表しています。

スリッページを完全に防ぐのは不可能

業者により約定力の高さは変わりますが、どの業者でもスリッページを完全に防ぐのは不可能です。

為替相場はリアルタイムで動くため、相場の動きによっては約定力の高いところでも処理しきれない場合があります。

スリッページが特に起こりやすいのは相場が激しく変動している時です。

激しくレートが動いていれば切り替わる時間も普段より早いため、注文が処理される前に動く可能性は高くなるのです。

特に有名なのは重要な経済指標が発表された時でしょう。

経済指標の時は普段スプレッドが狭いところでも広がることが多いため、スリッページもその分起こりやすくなっているのです。

経済指標の時に取引しない方がいいのは、スプレッドが広がるだけでなくスリッページによる危険もあるからでしょう。

激しい動きを例に出しましたが、残念ながら普段の相場でもスリッページが起こる可能性はあります。

FXの取引において為替相場の動きを完全に予想できないように、スリッページも完全に防げないのです。

スリッページが確実に起こらない、そのようなサーバーが出てくれば業界に革命を起こしたレベルといえる程になります。

スリッページとどう付き合っていくか

FXで利益を出していきたいと考えるなら、スリッページをどう対応するか考えなくてはいけません。

成行注文ではなく指値注文を使う

スリッページは成行、リアルタイム注文で起こる現象です。

決まったレートになったら自動で注文してくれる指値注文であれば、スリッページが起こる可能性を下げられます。

しかし指値注文をメインに取引する場合、取引スタイルも応じたものへとしなければいけないでしょう。

指値注文はわざわざ設定しなければいけないため、短時間で取引が終わるスキャルピングには向いていません。

スキャルピングで取引していく場合、指値注文で対処はできないです。

決まった値に到達しなければ注文されないため、相場の値動きを分析しどこで注文するか設定するのもポイントになります。

基本的に相場がトレンド、レンジのどちらであってもサポートラインが目安となりますが、あまりギリギリに設定すると今度は成立する可能性が下がるでしょう。

他の問題としてラインを突き破る、ブレイクすれば今の相場が転換か終了してもらうため、設定を間違えると損失を抱えてしまいます。

抵抗線で反発したところを狙いますが確実に反発を確認するまで取引画面を見ていなければならず、確認した後すぐに注文を設定しなければいけません。

そして指値注文も決して完璧ではなく、相場の動きによってはスリッページが起こり設定したレートから離れたところで注文されてしまう場合もあるのです。

対処法にはなりますが、欠点も多いためそこを理解した上でどう取引するか考える必要があるでしょう。

幅を設定して大きな滑りを防ぐ

FX業者の中には成行注文をする時、スリッページで許容できる幅を設定できる場合があります。

ストリーミング注文と呼ばれる注文方法であり、設定しておけばスリッページが起きた際に注文を自動で拒否してくれるのです。

どの程度の幅を設定できるかは業者によりますが、大抵は3か4程度まで設定できるのが多いでしょう。

幅を0にすればスリッページが起きた時は確実に注文がされず、スリップを恐れることなく取引できます。

しかしストリーミング注文はスリッページが起これば注文が成立することはありません。

逆に言えばスリッページが少しでも起きる相場が続く場合、いつまで経っても注文が成立しないのです。

スリッページで損失を防ぐどころか、取引ができずにチャンスを活かせないという意味が出てしまうでしょう。

更に問題としてはポジションを持つ時ではなく決済をする時です。

スリッページの幅を狭く設定してしまえば、いつまで経っても決済できなくなってしまいます。

決済できない状態が続けばレートの動きが変わり、損失へ動いてしまう場合もあるのです。

スリッページを完全に防ぐのは不可能なため、幅はある程度許容した方がいいでしょう。

スイングトレードで長期取引をしていく

スリッページが怖いのはスキャルピング、デイトレードといった短期取引の時です。

一方でスイングトレードといった長期的に取引をしていくスタイルの場合、1回の取引で多額の利益を狙うため少しのスリップでズレても許容できるでしょう。

スリッページに悩まされる場合はスイングトレードで長期取引をしていくのも一つの対処法です。

スイングトレードは長期的にポジションを保持するため、短期取引とはまた違った取引をしていかなければいけません。

見る時間足は短期取引の時とは違い1時間足以上の長い時間足が中心となります。

1回の取引で多くの利益を出さなければいけないため、長期的に相場がどう動くかを分析する必要があるでしょう。

またポジションを長期的に持たなければならず、利益が出るのは大分後になるためそこまで耐えなければいけません。

その代わりとして少しの値動きに悩まされる心配はなくなり、不安になって取引画面を頻繁に見る必要はなくなります。

しかし相場があまり動かない時期も出てくるため、普段スイングトレードの方でも短期取引を考える必要が出てくるでしょう。

その期間取引から手を引けるのであれば話は別ですが、そうでない場合はやはり短期取引を考えて業者選びをしなければいけません。

FXの業者は同じところを使い続けなればいけないルールはないです。

短期取引はこの業者、スイングトードはこの業者と取引スタイルに応じて業者を使い分けるのも一つの方法になります。

自分のネット環境にも気をつける

業者のサーバーばかりではなくトレーダー側も利用しているネット環境に気をつけましょう。

例え業者のサーバーが問題なくても自分が使っているネット環境に問題があればスリップの原因になるからです。

普段ネットをしていてページの読み込みが遅いと感じる方は注意しましょう。

ページ読み込みの遅さが注文の処理をする時に出て、結果的に処理されるまでのタイムロスになってしまいます。

読み込みが遅いと感じたら、ネット環境を改善した方がいいです。

すぐに変えるのが難しい場合はスイングトレードに取引スタイルを変えたり、ストリーミング注文で幅を狭くする等して対応するしかありません。

海外のNDD方式の業者を利用する

国内の業者でスリッページに遭う場合は海外業者の利用を考えてみましょう。

海外業者では国内と取引形式が違うところが多く、NDD形式というものを利用しています。

NDD形式はトレーダーと市場が直接取引するものであり、普段国内で使われているのは業者が仲介として入るDD形式です。

業者が間に入らないため、業者による意図的な操作を防げます。

国内業者はスリッページにおいて疑惑の噂があるため、どうしても信用できない場合は海外業者を使いましょう。

気をつけたいのは海外業者でも全てがNDDではなく、国内と同じDD形式になっているところもあるのです。

どのような形式で取引できるかは口座開設をする前に確認しておきましょう。

また仲介がいない分、基本的にスプレッドが広くなっています。

スプレッドの広さを許容できるか自分の取引スタイルと考えて判断しましょう。

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