FXでインサイダー取引はあり得るのか?過去の事例について解説。

今の社会、お金が絡んで起こる問題は珍しくありません。

投資は多額のお金が動く世界なため、様々な問題も起こりやすいのです。

お金で起こる問題の一つとしてインサイダー取引が考えられます。

ではFXの世界においてインサイダー取引はどうなっているのでしょうか。

インサイダー取引とは

まずインサイダー取引自体が何なのかおさらいしましょう。

インサイダー取引とは物の価値に影響を与える情報が社会へ出る前に知り、参考にして投資による取引を行うことです。

FXの取引対象は為替相場であり、為替相場は政治や経済の情報に影響を受けて動きます。

そのためFXでいえば大きな動きを起こす情報を発表される前に手に入れ、情報に応じた取引を行うことになるのです。

例えば為替相場が下落しそうな情報を経済指標で発表される前に手に入れ下がるので売りの注文をしたとします。

社会に出る前に知り取引に反映しているためインサイダー取引をしたことになるのです。

インサイダーのポイントは取引をしたかどうかであり、本人に自覚がなくても情報を得て取引した時点でみなされてしまいます。

また取引の結果が損をした、得をしたのどちらでも関係ありません。

普通に取引しているトレーダーでは公表前に重要な情報を手に入れることはまず不可能でしょう。

入手できるのは株式投資であれば該当する株の会社関係者やそれに近い人物が該当します。

インサイダーは違法取引

ごく一部の者だけが相場に影響する情報を知り取引するのは公平ではありません。

実際投資で取引するトレーダーは不特定多数であり、一部だけが情報を知って勝ち続ければそうでないトレーダーはいい顔をしないでしょう。

それどころか「不公平になっているた儲けられない」と判断し、取引から手を引いてしまう方が多くなる可能性が高いです。

取引が行われなくなれば投資どころか相場も衰退をしていってしまいます。

そのためインサイダー取引は不公平な取引として法的に禁止がされているのです。

もしインサイダー取引を行ってしまえば5年以下の懲役か500万以下の罰金が待っているでしょう。

もちろんインサイダー取引をしたことにより得た財産は没収されます。

それだけでなくインサイダー取引が行われるのは情報伝達の関係で個人よりも法人によるものが多くなるでしょう。

法人でインサイダー取引が行われた場合、取引した本人だけでなく法人自体にも罰則が下されるのです。

法人の場合はより罪が重くなり500万どころか5億以下の罰金という相当なペナルティが下されます。

関係者に関しては立場関係なく例えバイト、パートといった立場でも該当します。

ちなみに以前法人として企業に携わっており、現在は退職して所属していない場合でも無関係とは言い切れません。

退職していても1年経っていない場合は関係者とみなされるからです。

今でも行われるインサイダー取引

しかし罰則が設けられているにも関わらずインサイダー取引によるニュースは今も社会から出ています。

FXで取引していれば分かりますが普段の相場はそこまで大きく動きません。

大きな動きを見せるのは政治、経済における重要な情報が発表された時であり、普段では考えられない円単位の動きもあり得ます。

他の投資も同じであり情報がもたらす相場の変動はそれだけ大きな動きとなり、売買するトレーダーからすれば「美味しい」場面となるのです。

人間は欲がある生き物なため違法と知りつつも美味しい話に飛びつこうとするのは珍しくありません。

インサイダーによる取引も同じであり、大きな変動による多額の利益は違法を犯してでもやってしまう方が出てきてしまうのでしょう。

他にもインサイダー取引は該当するケースによる問題もあり得ます。

先ほども書いたようにインサイダーは取引を行った時点で「した」とみなされるのです。

例え本人がインサイダーと自覚をしていなくても、法の目から見てインサイダーと判断されれば罰則となってしまいます。

厄介な点が何を持って「公表」とみなすかです。

一般の社会に情報を公開すれば公表したと判断できますが、やり方によってはまだ「公表」していないとみなされる場合もあります。

公表したと思って取引をしても実は公表した基準を満たしておらず、されていない場合もあるのです。

無自覚によりインサイダー取引を「してしまう」のも、また未だにインサイダー取引が行われる原因にもなっているでしょう。

インサイダーに限った話ではありませんが刑罰による違法は「知らなかった」で済まされません。

これから投資に手を出そうと考えている方は無意識にしないよう気をつける必要があるでしょう。

FXでは基本的にインサイダー取引がない

これからFXで取引するトレーダーもインサイダー取引をしないように気をつけようと考えるでしょう。

しかし基本的にFXで取引をする場合はインサイダー取引に対して意識する必要はありません。

他の投資と比べFXでインサイダー取引が行われる可能性はかなり低いからです。

為替相場に与える影響の度合い

FXは為替相場で取引するものであり為替相場は政治、経済による情報で動く、とここまでは基本となります。

FXで取引する為替は通貨によるものであり、動かす情報も国内だけでなく海外の様々な国から出るものです。

基本的にインサイダー取引が起こるのは株式投資が多くなっています。

原因は株というものが会社への依存度が大きく、情報によって大きく動いてしまうからです。

先ほどインサイダー取引の説明で「為替相場が下落しそうな情報を経済情報で発表される前に手に入れ」とありました。

しかしFXで取引する為替相場は国内だけでなく多くの国による情報に左右されるため、情報が必ずしも本当に下落をもたらすとは限らないのです。

株とは違い不特定多数様々な国のトレーダーによる取引も多いため、意図的に為替相場を動かしてインサイダー取引をするのは難しくなっています。

確実に利益を得られる見込みがないにも関わらず違法な取引をするトレーダーはリターンとリスクの比率を考えればまずいないでしょう。

他にもFXの為替相場を動かす情報は経済指標という形で国から発表が行われます。

情報管理するのは国なため、インサイダー取引ができる人間も国を動かすレベルの地位にいることが多いです。

わざわざ違法取引を行えば地位を捨てるようなものであり、リスクを考えればやる理由はないでしょう。

更に国の管理なため、秘匿のレベルは高く情報が簡単に外へ出ることはありません。

そのため情報を知ってインサイダー取引をする機会自体がまずあり得ないケースなのです。

FXでもインサイダー取引はある

しかしインサイダー取引がされる可能性は「かなり低い」話であり「絶対ない」というわけではありません。

FXでもインサイダー取引が行われるケースはあり、事例として有名なのがスイス銀行によるものです。

スイスといえばスイスフランであり、FXにおける情報を集めていれば「スイスフランショック」を知っている方も多いでしょう。

スイスフランショックが起きたのはスイス銀行によるユーロレートの維持停止が原因となっており、大本の原因はレートを維持していたことでした。

元々スイスがユーロレートの維持をしようとしたのは2011年であり、インサイダーと考えられる取引はこの時に起きたのです。

スイス中銀総裁の妻がユーロへの規定を決める前に大量のドルを購入していました。

規定が決まる前の取引であったためインサイダー疑惑が浮上したのです。

結果としてはインサイダー取引とみなされませんでしたが、今でも疑惑の目は向けられています。

他にも為替相場を大きく動かす経済指標によるインサイダー疑惑も出ています。

中には本来経済指標で発表される情報が、何かの手違いで事前に公表されてしまったケースもあるのです。

こちらは公表されている状態なため、参考にしてのインサイダーにはなりません。

どれだけ気をつけていても管理するのが人間である以上、何かしらのミスで情報が表に出てくることはあり得ます。

FXで取引していくトレーダーであれば、いずれそのようなミスによる情報を目に入れるケースも出てくるでしょう。

情報で相場が動くのも事実

一方でインサイダー取引ではありませんが、為替相場において発表されていない情報を基に動くのも珍しくありません。

実際FXで取引をしていると経済指標が発表される前に為替相場がまるで結果を知っているかのように動く場面を見かけた方も多いでしょう。

FXでは「織り込み済み」と呼ばれる現象であり、経済指標の結果を事前予測してレートが既に動いてしまっているものです。

それまでの情報から事前に結果を予測して多くのトレーダーが動いているためインサイダーによる取引とはなりません。

しかし情報を参考にして相場が動いているのも事実です。

FXで取引をしていく方は経済指標だけでなくその前に相場が反映されて動く可能性もあると理解しておきましょう。

他にも国が為替相場へ介入してレートを動かす場合があるのも事実です。

こちらも国が売買して利益を得ているわけではないためインサイダー取引となりませんが、理解しておかないと突然の意味不明な動きに翻弄されてしまいます。

インサイダー取引にはならないが事前の情報や国によって相場が動かされるという事実は知っておいた方がいいでしょう。

インサイダーは考えず取引を続ける

必ず起きないとは言い切れませんが、FXにおいてインサイダー取引を意識する必要がないのは事実です。

これからFXで取引する方はインサイダーのことを考えずに取引を行っていけばいいでしょう。

しかし為替相場においてショックを始めとした異常な動きを見せる時があるのも事実といえます。

インサイダーではなく相場がどのような時におかしな動きをするかは理解しておきましょう。

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