日本語には似たような意味を持つ言葉がたくさんあり、混同して使われることが少なくありません。
前後の文章で意味は通じますが、正式には間違った使われ方のものがあります。
その代表的な例が「知識」や「知恵」、「見識」です。
知識は物事を認識していること、知恵は知識を基にして物事を的確に処理すること、見識は物事の本質を見極めることです。
知識とは
「知識」とは、単に物事を認識することです。
俗に「知っている」というのは知識を示しています。
物事を考える上での基本となり、学習や体験によって身に付きます。
学校や職場、家庭などで、見たり聞いたり感じたりしたものが全て知識になります。
ただし、物事そのままのものが知識になるため、事実ではない間違ったものが知識になることもあります。
知恵とは
「知恵」とは、得た知識を基にして、物事を的確に処理する能力ことです。
知恵があると、物事の道理を正しく判断し、適切な対応をとれます。
知恵のベースには知識があり、自分の持っている知識を有効に生かすことが知恵に繋がります。
知恵は知識を土台にして合理的、且つ効率的な判断をするものであるため、正しい知識が必要になります。
見識とは
「見識」とは、見聞きした物事の本質を見通す能力のことです。
本質を捉えることによって、物事に対して正しい見解を下せるようになります。
見識は一般的に自分自身で体験することで真実を見極められるようになります。
なお、見識は知識や知恵の多さを示すものではなく、本質を見抜く能力や、その人自身が持っている明確な考え方のことを指しています。
例文による違い
書く言葉の使われている例文を見ると、ニュアンスの違いが分かります。
・学校で覚えた知識は社会に出て役に立つよ。
・彼は絵画の知識が人一倍ある。
・この計画を成功させるにはどうしても君の知恵が必要だ。
・こんな使い方ができるのは生活の知恵というものだ。
・あれだけの見識を備えた人はなかなかいない。
・みんなが騙されたのに、見抜くとは大した見識だ。