【中華人民共和国】と【中華民国】の意味と使い方・由来や例文

「中華人民共和国」とは、中国共産党により建国された「中国」の正式名称です。

これに対して「中華民国」とは、第二次世界大戦後に中国共産党との内戦に敗れた中国国民党が樹立した現在の「台湾」の正式名称となります。

なお、中国最後の王朝「清」が倒れてから現在の「中華人民共和国」が建国されるまでの間は、中国の大陸部が中国国民党らによる共和制国家(共和国)となった時期があり、この共和制国家も「中華民国」と称していました。

「中華人民共和国」の意味

「中華人民共和国」とは、「中国」の正式名称です。

「中国」は、アジア大陸の東部(いわゆる中国大陸)に国土を有する中国共産党の一党体制による共和国です。

1949年10月1日、中国国民党との内戦(第二次国共内戦)に勝利した中国共産党が中心となり、毛沢東(もうたくとう)を中央政府主席(国家元首)として建国されました。

首都は北京(ぺきん)、全人口の90%を超える漢民族を中心に55もの少数民族からなる多民族国家です。

「中華民国」の意味

「中華民国」とは、一般的には現在の「台湾」の正式名称となります。

もともと「中華民国」は、清朝を打倒した辛亥革命(しんがいかくめい)を経て1912年に中国に樹立したアジア発の共和制国家です。

第二次世界大戦後に勃発した中国共産党との内戦(第二次国共内戦)に敗れた中国国民党の蒋介石(しょうかいせき)政権が台湾島へと退避し、そのまま台湾島とその周辺諸島を実行支配し続けた結果、「台湾」という地域が形成されます。

(その後の「台湾」は民主化が進み、国民党の一党支配ではなくなりました。)

首都は台北(たいほく)、全人口の96%程度を占める漢民族と台湾原住民からなる地域です。

なお、「台湾」は国家を自認していますが、日本を含めた多くの国々がそれを認めておらず、国際的に「地域」の扱いとなっています。

「中華人民共和国」と「中華民国」の用法や用例

「中華人民共和国」、すなわち現在の「中国」は中国共産党が一党支配する共産主義を掲げる国家です。

経済面では資本主義を取り入れていますが、中国共産党の思想や考え方に反するものは基本的には認められません。

例えば、「香港」は「中国」の一部ですが、「一国二制度」のもと、現状はある程度の思想の自由が与えられています。

しかしながら、中国政府、中国共産党の考え方に反する民主化運動のデモ活動等は大きく制限を受け、これまでも現地警察とデモ参加者が激しく衝突する事件が発生しています。

これに対して、「中華民国」、現在の「台湾」は民主主義、資本主義を掲げる地域です。

例えば、2000年3月の総統選挙では当時の野党である民主進歩党の陳水扁(ちんすいへん)氏が当選し、国民党から初めての政権交代が実現しました。

また、「台湾」は歴史的な経緯から親日家の多い地域としてもその名が知られています。

「中華人民共和国」と「中華民国」の違いは政治体制

これまでの解説でお分かりの方も多いと思いますが、「中華人民共和国(中国)」と「中華民国(台湾)」の違いを一言でいうと、政治体制が大きく異なるということです。

「中国」は共産主義であり、個人の言論や思想、考え方が中国政府、中国共産党の方針に反するものは基本的認められませんが、「台湾」は民主主義であり、個人の言論や思想、考え方の自由が認められています。

なお、「中国」は「台湾」を中国の一部であると主張していることから、多くの国々が「台湾」を正式国家として認められない状況となっています。

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