弓道の「妻手のひねり」を効かせるポイントと、3つの練習方法

弓道の動作の基本は、射法八節です。

射法八節が正しくとれているかどうかで、かなり的中率に影響しますよね。

そんな中、「妻手がひねれてない」と先輩に注意された方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、「妻手のひねり」について、豆知識的に説明します。

「妻手のひねり」の役割

矢を安定させる

妻手を適度に内側にひねることで矢を固定し、安定させます。

適度なひねりは暴発を防ぐこともできます。

ただし、ひねり過ぎると、逆に弦から外れて矢こぼれや暴発につながるので、注意が必要です。

指先の力を不要にする

妻手の指に力を入れずとも矢を固定できます。指に余計な力を入れると、手首で引いてしまうなど射形が崩れてしまいます。

「妻手」と「ひねり」と「射法八節」

さて、みなさんは普段、妻手を意識してひねっていますか?

「No」と答えた皆様、正解でございます。

実は・・・「妻手のひねり」は、あまり意識してほしくない動作の一つです。

なぜなら、妻手は力を入れる場所ではありません。意識をするとどうしても妻手に力が入ってしまいますからね。

「妻手のひねり」は、射法八節の中で自然に利いてくるものなのです。

ということで、次は、射法八節の中での妻手の動きを確認しましょう。

ひねりを自然に利かせるポイントは、

  • 肘から手の甲が水平になるようにすること
  • 腕ごと動かすこと

の2つです。

射法八節の妻手の動き

最初の方は省略させていただきまして、弓構えから離れまでを見ていきましょう。

弓構え

まず、取懸けです。

弦と弽が十文字になるようにします。差し指と中指は握りこまず、親指にのせるだけです。そして、少し内側、手前側にひねります。これで、矢が固定され安定します。手首は曲げず、腕と一直線になるようにしましょう。

弓構えの腕のかたちは、「的を一つ抱えていると思いなさい」とよく言われますね。弓構えの時も的を抱えた形を取りつつ、右の手首は曲げません。

肘から手の甲にかけては、一直線にします。調整はひじを曲げて行います。

打起し

弓構えの形のまま、静かに打起します。打起した時にも手首はあまり曲げない方が良いです。

かなり個人的な見解ですが、動かすのは肩と肘のみとし、手の甲から肘を一直線にする形を保持していた方が、右腕の形が崩れないのでオススメです。

大三~引き分け

正面打起しの場合、大三で妻手は額(おでこ)のあたりまで持ってきます。

人にもよるとは思いますが、目安として額と妻手の間に、こぶしが1つ入るくらい感覚を開けるのがよいと言われます。

この時の妻手は、手の甲が天井に向いていること、手首が曲がっておらず、手の甲から肘が一直線に保たれているのがポイントです。

引き分ける際は、右肘を右肩と同じ高さにするように、肩で肘を後ろに引くイメージでおろし、会に入ります。

この時、手の甲から肘にかけての形が保たれていることで、自然と妻手の内側に適度なひねりが加わります。

ここでNGなのは、手首に力を入れて手首が曲かり引き分けてしまうこと、打起し・大三から手の甲が天井以外の方向を向いたまま引き分けてしまうことです。

ひねりが利かなくなってしまいます。

引き分けている途中や、会に入ってから妻手に力を入れずに修正するのは、残念ながらかなり難しいです。

会でも相変わらず、妻手と右腕は一直線になるようにします。

内側に自然と適度にひねりが働き、矢を安定させてくれます。さらに、妻手に余計な力、意識を向けないことで、しっかりと伸び合うことができます。

離れ

会でしっかりと伸び合ったら、腕全体で離れます。ここでも手首で離すのではなく、肘から手首が一直線になるのがベストです。

その時、妻手は取懸けの形(グー)となります。

自然と離れるようにと言われますが、なかなか難しいですよね。

・・・・・・残心、弓倒しは省略させていただきますね。

射法八節における妻手のまとめ

いかがでしたか。

繰り返しになりますが、妻手のひねりを利かせるポイントは、前述のとおり、手の甲から肘を一直線、水平にすることと、肘からひねることです。

しかも、それを弓構え、打起しで整えておかないといけません。

「妻手を腕と水平に保ちながらひねること」は、引き分けている途中や会に入ってから修正することは、弓が軽かったり、よっぽど器用でないと難しいです。

射法八節の中で弓構え、打起し、大三で、右腕、妻手位置を修正して右腕全体の位置を整えることが、大切なのです。

おすすめの練習方法

1)弓も矢も持たず、形を腕に覚えさせる。

まず、弽をせずに、手の甲、腕の外側を水平に、手の甲から肘までを一直線にしてみます。

身についてしまっていれば簡単ですが、初めてやるとこれが中々難しいです。

何となく形が取れたら、前ならえのように手を伸ばします。この時、手の甲と腕の外側を水平一直線にします。

腕から手はその状態を保持したまま、肘を曲げてください。

曲げたら水平・直線になっているか確認してくださいね。

できたら、次は弽をして、取懸けの形で握ってみてください。握ると少し手首が曲がると思いますので、水平になるように調整します。

これが、弓構えからの右腕の形になります。

2)弽をし、徒手で右腕の動きを体に覚えさせる。

徒手で射法八節を練習してみてください。その際、右肘から手の甲が水平・直線になるよう、注意して練習してください。

3)素引き→巻き藁→的前と進めていく。

実際に弓を持ち、取懸けから注意して素引きをしてみてください。形が覚えられたと感じたら、いざ矢を持って巻き藁へ。矢をつがえ引き分けると、妻手が若干内側にひねられているように感じます。ぜひ的前に立って、試してみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

「妻手のひねり」を自然に利かせられていると矢が安定します。適度に利かせるには、射法八節を正しくとり右腕全体の動きを修正することが大切です。

とはいえ、自然にできている方もたくさんいらっしゃると思います。気になった方は、ぜひお試しください。

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