弓返り習得方法。弓返りは離れの勢いと弓の持ち方が大切なポイント。

こんにちは。今回は弓返り(ゆがえり)について紹介します。

残身(心)の時に弓が返っているとかっこいいですよね。

けれども、弓返りは意識しすぎてはいけない点の一つですので、気を付ける必要もあります。

そして、先生によってご指導の方針も分かれるところであると思います。あくまで参考程度にしてくださいね。

それではさっそく色々な点から紹介していきましょう。

弓返りとは

弓返り(ゆがえり)とは、離れの反動で弓の弦が自然に90~180°反対側にまわることです。手の内が上手とれていて、弓手にある程度の力が入った時に起こります。

残身(心)の時に弓返りしてると、伸び合いがよく弓手が押せてうまく使えたという証になります。

他の技術と違って、弓返りができなかったからといって射形が間違っているという訳でもなく、弓返りができたからと言って絶対正しい射形になっていると言い切れる訳でもありません。

後述しますが、無理に弓返りをするような変な癖をつけると後が大変です。弓返りを自然にできたらカッコいいくらいのレベルに捉えてくださいね。

弓返りのポイント

さて、弓返りのポイントを3点ご紹介します。

  • 弓の強さ
  • 手の内
  • 会での伸び合いと離れ

それでは、順に説明していきましょう。

弓の強さ

弓返りが起こる条件として、まず、「弓の強さ」が挙げられます。

先程説明しましたが、弓返りは離れのときの反動で生じます。つまり、離れで、ある程度の弦が戻る勢いが必要になるのです。

残念ながら7~9キロ未満の弓の場合ですと反動が弱く弓返りを自然に起すには難しいです。自然に生じるには、一般的に10キロ以上の強さが必要かと感じています。

弓が弱いことが原因で弓返りができないのは残念かもしれませんが、慣れてくれば弱い弓でも弓返りが起きることがありますし、初心者にとってさほど重要ではないので、自分に合った弓を使うことを最優先にしてくださいね。

手の内

2つめのポイントは、手の内です。

弓手はベタっと握らず、正しい手の内をとって弓を引くことが大切です。

特に弓返りをさせるには、弓手に、弓が離れの反動で回るだけの余裕というか「あそび」ともいえる空間が必要になります。

そのあそびを作るためには、手の内を整え、ベタっと握らないことが重要になるのです。

とはいえ、手の内だとしても握ってしまったら回らないのでは…と心配になるかと思いますが心配は無用です。

天紋筋、角見、小指の3箇所で弓を支えていれば、離れで自然と回ります。手の内を整えて、しっかり弓を安定させてください。

手の内については、別の記事で整え方やポイントを紹介していますので、ぜひ今一度、手の内を確認してみてくださいね。

会での伸び合いと離れ

3つめのポイントは、会で伸び合い、堂々とした勢いのある離れをする事です。

弓返りは、離れた瞬間の勢いが非常に重要になります。そのため、会でしっかり伸び合い、力をためて離すことが大切です。

伸び合いができていても離れが弱ければNGですし、離れの勢いがあっても伸び合いで弓手が押しきれなければ弓返りしません。

力が偏らないように注意しましょう。

練習の仕方

まずは、「手の内を整えて弓を押す練習」です。

左手の両端の感情線の始まりと知能線の始まりをつないだ天紋筋に沿って弓を掌に置きます。

その後、小指から順に弓を握り、小指の先に薬指と中指をそろえます。親指は中指の上に乗せ、人差し指は軽く曲げます。

手の内が整いましたか。中指、薬指のところに空間はできましたか。

その状態で、まず小指の先に力を入れ、弓を握ってみます。そして、親指の付け根で固定します。前後左右にグラつかないように気を付けてください。

それでは、弓を押す練習をしてきましょう。
先ほどの状態のまま、右手で弓の胴を抑えます。

弓手は親指の先を立てて下に押す力を加えながら、前へ、反時計周りにひねるように押していきます。

このときに、弓手の小指と天紋筋、角見で弓を抑えている感覚があればOKです。手の付け根は弓にはつかないので注意してください。

この弓をべったりと握らず、下押しをかけながら前へ反時計回りにひねっていく感覚を覚え、ゴム弓や巻藁、的前の練習の中で、打ち起しから会にかけて意識して利かせる練習を繰り返すとよいと思います。

次に「離れで勢いよく離す練習」です。

会の状態から肩と肘を動かさず、腕を開く練習をします。その位置を確認したら勢いをつけて腕を開く練習をし、最後に巻藁や的前練習で実践します。

離れは、「会で力がたまった時に自然に勢いよく離れるのがよい」とされていますが、初心者のうちはなかなか難しいので、勢いよく離すことを心掛けるとよいです。

あとは、実際に的前に立って、会の時に伸び合い力をためることと、離れで勢いよく馬手を離すタイミングを習得していけばよいでしょう。

注意!エセ弓返り

これまで弓返りについて紹介してきました。何度も「自然に…」といっているのに気づかれましたか?

実は、弓返りは、自分で作り出すことができます。

これを筆者は「エセ弓返り」と呼んでいます。別の人は「なんちゃって弓返り」と言っていました。

これは絶対に真似してほしくない弓返りです。その方法と理由を2つ紹介します。

1つめは「離れの瞬間に弓手をブラす」ことです。

離れの瞬間に弓手を上下や左右に振ることで弓返りを起こします。

初めのうちは、離れの瞬間にほんの少し弓手を動かすだけで弓が回り、弓返りが起こるのですが…だんだんと癖になっていき、気がついた時には離れ時の弓手の振れ幅が大きくなっています。

弓手が大きくぶれるようになると、ねらいに悪影響がでます。たとえ射形が完璧でも、矢は上下や左右に飛んでいってしまうのです。

さらに、弓手の親指の甲の部分の辺りを矢で擦りやすくなります。射る度に弓手にかさぶたを作ることになりかねません。

2つめは、「離れの瞬間、一瞬だけで弓手を離すこと」です。これは本当に恐ろしいです。

離れの瞬間、弓を握っていた弓手を開きじゃんけんのパーにします。ごく一瞬弓を離すんです。そして瞬時に再び弓を握ります。すると、弓返りがおきます。

おそらく弓をベッタリ握っている方に起こる現象なのではないかと思うのですが…

弓の離れの反動で、動こうとする弓の力に堪えられず手が離れ無意識のうちに一瞬だけパーに開いてしまうのではないかと考えられます。

この現象は射手には自覚がない場合が多いです。もし見かけたら、癖になる前に指摘してあげてください。

さて、このエセ弓返りに思い当たる方はいらっしゃいませんでしたか?

どちらのエセ弓返りにも言えることですが、怖いのは、一度癖になってしまったものはなかなか簡単には元に戻せないことです。また、大きな事故につながりかねません。

しかも、クセになってしまったものの矯正には時間がかかるので、結構苦しいです。

弓返りは弓を良く引けている証ではあるのですが、初心者、初級者にとって重要度はさほど高くありません。

エセ弓返りにはどうぞご注意ください。

まとめ

今回は弓返りについて紹介しましたが、いかがでしたか?

弓返りは、離れの勢いと弓の持ち方がすべてです。そのため、弓の強さ、手の内、会での伸び合いと離れの勢いに大きく左右されます。

したがって、残念ながら、弓を始めたばかりで弱い弓を引いていたり、弓に慣れていない初心者には難しい技の一つになります。

ですが、弓返りしないからと言って、射形が悪いとかは言えないです。弓返りせずとも中る方はたくさんいますし、弓返りは残身(心)で現れる結果でしかありません。

射形がおかしかったり、的中率が上がらない場合は、弓返りより他に直すべきところがあると考えてください。

そして何より、エセ弓返りは危険です。弓返りをしたい気持ちは志が高く立派ですが、事故やケガに繋がりますので、変な癖がつかないよう本当に注意してください、と心からお願いいたします。

最後までお読みくださりありがとうございました。それでは、引き続き、弓道を楽しんでくださいね。

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