高齢化が進む日本では、年老いた親の介護が深刻な問題になっています。
残念ながら介護施設の数やサービスは十分といえず、今までの仕事を続けながら介護をするには限界があります。
ですが、仕事を完全に辞めて介護に専念するのは危険かもしれません。
よほどの理由が無い限りは、仕事を辞めてしまうのではなく、介護しながらでも働きやすい職場への転職をおすすめします。
そこで今回は、年老いた親の介護が必要な人に、離職ではなく転職をすすめる理由と、具体的な転職活動について解説したいと思います。
目次
一時的な介護には介護休業を利用する
一時的に介護が必要な場合には、会社を辞める必要はないかもしれません。
一時的な介護とは、施設への入所まで自宅で面倒を見る必要がある場合や、回復の見込みがある場合などのことを言います。
そのようなケースでは、会社の介護休業制度を利用する方法があります。
介護休業制度を利用すれば、通算93日までは休職が可能です。
休職期間のお給料は定められていませんが、会社によっては一定のお給料がもらえる場合があります。
また、雇用保険から介護給付金をもらう方法もあります。
いずれにしても焦って会社を辞めてしまってはいけません。
まずは状況をしっかりと把握して、利用できる制度をきちんと調べてから判断するようにしましょう。
収入がなくなれば介護も困難になる
仕事を辞めるのは、収入が途絶えてしまうことを意味します。
介護保険が利用できれば、ある程度の費用は賄えるかもしれませんが、それだけでは十分とはいえません。
また介護費用だけでなく、自分の生活費も必要になりますので、収入が途絶えるのは深刻な問題です。
自分がある程度の年齢であれば、年金がもらえるまでの辛抱だと思うかもしれませんが、今後受給年齢が引き上げられる可能性もあるため、必ずしも安心とはいえません。
仕事を辞めてしまい、収入が途絶えることで生活が苦しくなり、結果的に介護がままならなくなってしまうケースはあとを絶ちません。
無職の期間があると再就職が困難になる
無職の期間があると、再就職に対してハンデとなります。
親の介護が必要ということは、本人もある程度の年齢になっている場合がほとんどでしょう。
40代や50代の転職はただでさえ厳しい状況です。
年齢が若いうちならともかく、年齢を重ねてから無職の期間を経ての転職では、ますます困難さが高まります
介護のためというのであれば、退職の理由としては正当なものですが、その正当性はあまり考慮されません。
雇用する会社側としては、理由よりも再就職後に結果が出せるかどうかが気になるのです。
ブランクが長ければ現役のように仕事ができるとは限らず、即戦力としての期待も下がるので、会社側が雇用をためらうのもいたしかたないかもしれません。
大変であってもすぐに仕事を辞めてしまうのではなく、今の職場に事情を話して余裕のある部署に異動させてもらうか、介護しながらでも働ける仕事に転職するのがよいのではないでしょうか。
まずはプロの力を借りることから検討しよう
仕事を辞める前に、まずはプロの力を借りることから検討しましょう。
デイサービスなどの力を借りて介護を行えば、働き続けるのも不可能ではないかもしれません。
費用は介護保険を利用する方法があります。
また自分ひとりで抱え込もうとせず、兄弟や親類がいる人は素直に相談してみましょう。
協力しあうことで、お互いの負担を軽減できるかもしれません。
他に頼る人がいない場合でも、自分だけで大きな責任を感じてはいけません。
高齢化による介護は、いまや社会全体で取り組まなければならない問題であり、よく調べれば利用できるサービスや自治体のサポートなどが見つけられます。
適切なサポートが利用できれば、介護と仕事を両立させることもできるでしょう。
可能性を広げるためにも、安定した収入が必要なのです。
働き続けられる職場へ転職を考える
今の職場で介護休業を利用しても追いつかず、どうしても働くのが困難であれば、働きやすい職場への転職を考えましょう。
介護をしつつ、在職しながらの転職活動は大変かもしれませんが、その状況を乗り切れれば生活は安定します。
転職先を選ぶには、気を付けなければならない条件がいくつかあります。
まずは収入より、介護に関わる時間的な余裕が得られる仕事を探しましょう。
生活を切り詰める必要があるかもしれませんが、安定した収入が得られれば精神的にもだいぶ楽になります。
残業がなく、体力的な負担の少ない職場であれば、無理をせずに介護も行えます。
工場での軽作業や一般事務など、残業ない仕事は多くあります。
また看護師などの専門職の場合は、夜勤のないシフトの病院に移る方法があります。
病院だけでなくクリニックや施設なども視野に入れて考えれば、働ける場所は増えるでしょう。
転職活動では介護をしていることを伝えるべきか
転職活動における面接などで、介護をしていることは伝えるべきでしょうか。
答えとしては、嘘をつくよりも介護が転職の理由であることを素直に伝えるべきだと思われます。
事情を伝えた上で採用されたのであれば、何かあった時にも理解してもらえますし、協力が得られるかもしれません。
ただし転職の理由が介護だけでは、プラスにはなりません。
介護は理由のひとつであり、相手先の会社に対する魅力や、仕事へのやる気をアピールするのも必要です。
仕方なく転職するのではなく、前向きな動機が伝えられれば、採用される可能性は高まります。
転職先を探すなら転職エージェントを利用する
転職先を探すなら転職エージェントを利用してみましょう。
在職しながら介護と転職活動を行うのは大変です。
転職エージェントを利用すれば、沢山の求人情報の中から希望に合う仕事を効率よく見つけることができます。
また経験豊富なキャリアコンサルタントから、転職活動におけるバックアップが得られますので、心強い味方となるでしょう。
転職エージェントは無料で利用できますので、積極的に活用することをおすすめします。
安定した収入があってこそ介護は続けられる
今回は、年老いた親の介護が必要な人に、離職ではなく転職をすすめる理由と、具体的な転職活動について解説したいと思います。
親の介護は深刻な問題であり、自分ひとりで乗り切れるものではありません。
仕事を完全に辞めてしまっては、精神的にも収入的にも追い詰められてしまう可能性があります。
安定した収入があってこそ、長く介護が続けられるのです。
仕事と介護が両立できる職場を見つけて、転職するのがよいでしょう。
