登校拒否と不登校の違いとは?不登校の定義から原因まで詳しく解説

登校拒否や不登校というように、学校に行けない子どもを表す言葉としてこの2つの言葉が使われます。

人によって使いやすかったり聞き慣れている方を使っている方もいらっしゃいますが、正式には2つの言葉にはきちんと違いがあります。

今回は登校拒否と不登校についての言葉の違いや原因などについて考えていきましょう。

登校拒否と不登校という言葉ができる前


登校拒否や不登校という事がでできる前、学校に行けない子どもを表す言葉として「学校恐怖症」という言葉を使っていました。

その次に「登校拒否」という言葉ができ、最後に「不登校」という言葉ができました。

これらの言葉の意味は微妙に違います。

その違いは学校に行けない原因と状態によると言われています。

では次に具体的にそれぞれの言葉についてみていきましょう。

学校恐怖症とは

1941年にアメリカの学者A・Mジョンソンが命名しました。

学校恐怖症とは、子どもが親の居ない学校に行くことに恐怖を覚える状態を指し、学校が必ずしも怖いというわけではなく、母子分離不安があるためと考えられていました。

ジョンソンは学校恐怖症には、登校時に身体的不調を訴える「心気的時期」、子どものストレスが限界に達し激しく藩校したり泣き叫んだり暴れたりする「登校時のパニック時期」、インターネットなどに没頭し、攻撃的態度が収まり穏やかになるが突発的に激怒したり暴れたりする「自閉期」の3つの時期に分類されるとしています。

その後学校恐怖症→登校拒否→不登校と呼び名や学校に行けない子どもの認識に対しても変化していったといわれています。

登校拒否とは

登校拒否とは、以前は不良等が学校をさぼり行かない状況を表していました。

このため現在でも自分の意思で学校に行かない状態のことを指す場合があります。

言葉の通り、登校を拒否している状態です。

一方で、学校に行こうとすると身体的に拒否反応がでる状態を登校拒否と呼ぶ場合もあります。

身体的拒否反応とは、頭痛や腹痛などから起きられない、パニック状態になるなどさまざまな状態があります。

不登校とは


不登校とは学校に登校していない状態のことを指します。

登校拒否(自分の意思で行かない)では説明がつかないケースが多く見られるようなった現代、不登校という言葉が使われるようになりました。

不登校とはすべての児童・生徒に起こりうるものとし、原因の根源が誰かにあるものばかりではないという考えが浸透してきたのです。

文部科学省では不登校の定義を

”不登校児童生徒とは何らかの心理的、情緒的要因、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの”

としています。

登校拒否ではなく不登校という言葉が広く使われるようになった背景には、学校に行けないのは本人の意思ではなく、本人は登校したいと思っていても登校できない状態の生徒がいるということが分かってきたからです。

引きこもりとは

登校拒否や不登校が続くとひきこもりと呼ばれる状態になってしまいます。

ひきこもりとはこの状態が6ヶ月以上続くことと定義されています。

長期にわたり自宅にこもり、社会的な活動に参加できない状態が続きます。

ひきこもりの時間が長ければ長いほど回復に時間がかかると言われています。

登校拒否や不登校になる原因とは

ここまで登校拒否や不登校という言葉の違いについてみてきました。

では、どのような原因で登校拒否や不登校になってしまうのでしょうか。

環境の変化などが原因

小学生になると学校のルールに従わなければならないことや親と長時間離れるなど、環境がガラッと変わってしまいます。

この環境の変化が大きなストレスとなり、情緒が安定せず学校に行けなくなる場合があります。

また、親の過干渉やネグレスト、貧困なども情緒不安定の要因になると言われており、子どもを取り巻くさまざまな環境が不登校の要因になるとしています。

対人関係が原因

いじめや教師とのトラブルなど人間関係が原因で学校に行けなくなることは多いです。

この場合は原因が明確なので比較的解決策を見つけやすく、対処しやすいといえるでしょう。

学校に相談するなどし、早期解決のために働きかけましょう。

またどうしても問題が解決しない場合は、転校や編入なども視野に入れて行動しましょう。

子どもがどうすればストレスなく学校に行くことができるのかが一番の課題です。

発達障害などが原因

ADHDやLDなどの発達障害を持つお子さんの場合、じっと座っていられず怒られてしまう、勉強についていけない、対人関係でトラブルが頻繁に起こってしまうなどが原因で学校に行けなくなる場合があります。

発達障害は本人や周囲の大人が気づいていないことも多く、「わがまま」「性格が悪い」など誤解されてしまい辛い思いをすることがあります。

本当は発達障害のために脳に偏りがあり、発達の凸凹の差が大きいだけなのですが、周囲が性格な知識を持っているかで対応の仕方には大きな差が出てしまいます。

周囲の環境によっては理解されず、本人も自信ややる気を失ってしまい、学校に行けなくなるケースがあります。

原因がわからない場合も

何が原因かわからず学校に行けない不登校生も増えています。

この場合、日常の小さなストレスが積み重なっていると言われていますが、はっきりとした要因はわかっていません。

そして不登校は原因を追及することで解決する問題ばかりではありません。

原因がわからない場合、無理に追求したり子どもから聞き出したりすることは逆効果なのでやめましょう。

はじめは子どもの苦しんでいる状況に耳を傾けてあげましょう。

あたたかく見守り支えることで子どもの心が落ち着くこともあります。

焦らずにゆっくりと進んでいけばいいのです。

不登校は増えているという現状

子どもの数、児童の数は年々減ってきているのに、不登校児童の数は増え続けています。

子どもたちがどんな理由で学校に行けなくなるのかは様々ですが、登校拒否や不登校と一括りにするのではなく、子どもの一つの生き方として認め、安らげる家庭環境の中で過ごせるようにしてあげましょう。

登校拒否から不登校という呼び方に変わった背景には原因が分からない、本人も苦しんでいるという現状があります。

その部分をしっかりと理解して子ども一人一人に共感し寄り添って問題に取り組んでいきたいですね。

そうすれば、子どもはまたエネルギーを蓄え、社会に出て行けるようになるでしょう。

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