客室清掃の仕事ひとことで表すと、「ホテルなどのベッドメイキング」です。しかし、言葉でいうほどベッドメイキングは簡単なものではありません。
どれだけ客室が汚れていても、次のお客様が入る前までに、すべて完璧な状態に戻しておかなければいけないのです。もちろん、担当する客室数は1つや2つではありません。
時間内に決められた清掃項目をすべてクリアし、誰もが気持ち良く使える客室に整えることは、想像以上に気力と体力を必要とする仕事です。
ですから、「軽い気持ちで客室清掃を始めたら大失敗だった」「すぐにでも辞めたい...」というケースがあとを絶たないのです。
そこで今回は、客室清掃の仕事を続けられない・辞めたいと感じる瞬間や客室清掃の仕事に向いている人のタイプ、そして客室清掃の仕事を辞めたいと思った時の気持ちの切り替え方を紹介していきます。
目次
かなりハード!客室清掃の仕事を続けられない・辞めたいと感じる瞬間
客室清掃の仕事というと、「たかが掃除でしょう?それほど難しいものとは思えない」という人はたくさんいます。しかし、客室清掃とは考えている以上にハードな仕事なのです。
年齢が若くて体力があれば続けられる仕事かというと、実際はそうでもありません。手際が悪ければ時間内に清掃が終わらず、大変な思いをすることもあります。
では、客室清掃の仕事を「もうこれ以上続けられない・辞めたい」と感じるのはどんな瞬間なのか、くわしく見ていくことにしましょう。
時間内に終わらなければサービス残業
ホテル側が客室清掃に充てられる時間は限られています。次の予約が入っている場合には当然、お客様がチェックインするまでに清掃を終わらせておく必要があります。
しかし、どうしても時間内に客室清掃を終えられない場合もあるでしょう。そうした時は途中で清掃を切り上げるのでしょうか?いいえ、違います。きちんと客室清掃が完了するまで残業するのです。
決められた時間で作業を終えることができなかったのですから、それは働く人の要領が悪かったということになり、残業代が出ないこともよくあります。
客室清掃の流れを覚えるまで、初心者のうちはどうしてもスムーズに清掃や片づけをすることができず、サービス残業ばかりで「辞めたい」と考えるスタッフも多いようです。
過酷な仕事内容なのに給与が安い
次から次へと息つく暇もなくベッドメイキングをしたり掃除機をかけたりする客室清掃という仕事ですが、過酷な仕事内容にもかかわらず、給与が安いという点も、辞めたい人が減らない要因のひとつです。
お客様と直接かかわることのない仕事であり、めったにクレームを受ける機会もありませんから、はたから見ると「楽な仕事」に見えるかもしれません。
しかし、いちど体験してみれば分かりますが、客室清掃の仕事ほど気力・体力を消耗する仕事はほかにないでしょう。どの場所にどれだけの時間をかけられるか、常に計算しながら動かなければいけないからです。
不備があればもちろん注意されますし、あまりにも仕事の内容が不十分な場合にはシフトを減らされてしまうこともあるでしょう。給与が安くて重労働、辞めたいと感じてしまうのも無理はありません。
ノルマを達成しなければいけないというプレッシャー
ホテル側も客室清掃員に大量の人件費をかけることが難しいのか、清掃員ひとりに対して10数部屋の客室清掃をまかせることがほとんどのようです。
客室清掃員に与えられるのは4~5時間、その間に12~13部屋すべてのベッドメイキングを完了させなければいけません。1部屋にかけられる時間は多くて15分~20程度というところでしょう。
ノルマを達成しなければいけないというプレッシャーに常にさらされながら手早く仕事をこなすのは至難の業と言わざるを得ません。
客室の広さ・汚れ具合にもよりますが、限られた時間でお客様に満足してもらえる状態に室内に磨き上げるためには、熟練したスキルも必要になってきます。
客室清掃の仕事に向いているのはこんな人
さまざまな困難が待ち受けている客室清掃という仕事ですが、辞めたいと感じている人ばかりではないようです。実は客室清掃に「向いている」人というのも存在します。
では、客室清掃の仕事に向いている・客室清掃の仕事を続けていける人というのは、どのような特徴を持っているのか、探っていくことにしましょう。
体力に自信がある・体を動かすのが好き
客室清掃の仕事には、室内の細かい部分にまで神経を行き渡らせる事ができる繊細さも必要ですが、それ以上に「どれだけ体力があるか」という点がポイントになってきます。
ひとりで多くの客室を清掃していかなければいけないのですから、人並み以上の体力がなければ務まりません。ですから、人とコミュニケーションを取るよりも力仕事の方が好きという人にはピッタリです。
また、日頃から体を動かすのが好きでよくトレーニングをしている、運動が趣味という人も、客室清掃向きの人であると言えます。客室清掃の仕事をすることで、さらなる体力アップを目指すこともできるでしょう。
自分なりに工夫して業務に取り組める
客室清掃の仕事を上手にこなしていくためには、体力のほかに「要領の良さ」も必要不可欠です。教えられた通りに仕事をしていればすべての作業が時間内に終わるとは限らないからです。
どうすれば時間内にすべての作業を終えることができるか、自分なりに工夫・試行錯誤しながら業務に取り組む姿勢が大切になってきます。
ですから、人に指示された通りにしか動けない人、自分で考えて動くのが苦手な人は、客室清掃の仕事を早々に「辞めたい」と感じる傾向にあるようです。
ひとり作業が苦にならない・モクモク仕事が好き
ひとりで作業することが苦にならない、モクモクとこなしていくタイプの仕事が好きという人も、客室清掃員としての適性を持っていると言えます。
客室清掃の仕事をうまくこなすコツは、どれだけ効率よく手と足を動かせるかという点を意識することです。作業の準備から作業の順番、すべてを流れ作業のような感覚でこなしていく必要があります。
ですから、誰にも邪魔されず自分の好きなように仕事をする方が気がラク、近くに人がいると気が散って仕事がはかどらないという人に向いていると言えるでしょう。
逆を言えば、みんなで一緒に協力して仕事をしていきたい、ワイワイ楽しく仕事をしたいという人には、客室清掃の仕事は向いていないかもしれません。
客室清掃なんてもう辞めたい!と思った時の気持ちを切り替え方
何とか自分なりに工夫をして、頑張って客室清掃の仕事に慣れるように努力をしてきたけれど、どうしても仕事に対するやる気が出ない、もう辞めたい...と思ってしまうこともあります。
そんな時はすぐに「辞める」という選択をするのではなく、いったん気持ちを落ち着かせることが大事です。
それでは、「客室清掃なんてもう辞めたい!」と思った時の、上手な気持ちの切り替え方を探っていくことにしましょう。
ダブルワークをして気分転換をする
ホテルの場合はチェックインとチェックアウトの時間が決まっています。ですから、客室清掃員が客室に入ってあれこれ作業ができる時間は限られています。
そのため、フルタイムで働くというよりは短時間のパート勤務になることが多いのが客室清掃という仕事の特徴ですから、ダブルワークという働き方を選択することができます。
客室清掃の仕事が体力勝負であるのならば、もうひとつの仕事は座り仕事を選ぶなど、メリハリをつけてみると良いかもしれません。
まったく正反対の職種を選ぶことで良い気分転換になり、それぞれの仕事に対するモチベーションも高いまま維持することができるのではないでしょうか。
客室清掃は実生活に役立つスキルだと考える
客室清掃の仕事は「辞めたい」という人が続出するほどハードですが、視点を変えてみると実は、実生活に役立つスキルが満載の職業であるとも言えます。
どうしたら効率よく部屋を綺麗にできるか、どのようにすれば短時間で綺麗に汚れを落とすことができるのか、ふつうに生活しているだけでは身につかないスキルを学ぶことができるからです。
「お金をもらいながら、効率の良い清掃方法を学ばせてもらっている」という考え方ができれば、「辞めたい」という気持ちも少しは薄らぐ可能性もあります。
ただ、「そこまでして客室清掃の仕事を続けたくない」という気持ちも、もちろん理解できます。しかし、いちど身につけたスキルは一生ものです。この機会に客室清掃の仕事を極めてみるのも良いのではないでしょうか。
時間内にクリアできたら自分にご褒美!ゲーム感覚で仕事をしてみる
制限時間内にクリアできなければサービス残業というペナルティが待っている客室清掃の仕事を少しでも楽しむことができれば、「辞めたい」という気持ちに傾いた思考を消し去ることも不可能ではないでしょう。
客室清掃の仕事を制限時間つきのゲームに見立て、目標(その日の客室清掃ノルマ)を達成するごとにご褒美を用意するのです。
ゲーム感覚で仕事をするということを続けているうちに不思議なやる気がわいてきて、少し前までは考えられなかったような早さで仕事を終えられるようになることもあるかもしれません。
「向いていない」と分かったら無理しない!客室清掃の仕事を辞めてもいい
客室清掃の仕事を続けられない・辞めたいと感じる瞬間や客室清掃の仕事に向いている人のタイプ、そして客室清掃の仕事を辞めたいと思った時の気ちの切り替え方について、くわしく紹介してきました。
とはいえ、どれだけ頑張って客室清掃の仕事に向き合ってみても、「どうしても体力がついていかない」「やっぱり辞めたい」という思いが強くなることもあります。
そんな時、「客室清掃の仕事は向いていない」と分かったら、無理をしないで客室清掃の仕事を辞めて別の仕事を探してみましょう。
「思い立ったが吉日」という言葉があります。すぐに行動を起こすことで、客室清掃の仕事をするなかで養った能力が活かせる新しい仕事が見つかるかもしれませんよ。