刑務官を辞めたい人が減らない理由とは?体力的にも精神的にもきつい仕事。

皆さんは「刑務官」と聞いてどのような職業を思い浮かべますか?なんとなく「刑務所にかかわる仕事なのかな...」と思うかもしれません。

刑務官とは、犯罪にたずさわった受刑者が生活する刑務所や拘置所、鑑別所といった刑事施設に勤める人のことで、受刑者が無事に社会復帰できるように監督・指導する人のことです。

そんな刑務官は国家公務員という位置づけで、社会的には安定した立場と言えるでしょう。そのため刑務官を志望する人は少なくありませんが、同時に「刑務官を辞めたい...」という人も増えているのが現状です。

そこで今回は、刑務官を辞めたい人が続出している理由や刑務官に向いている人のタイプ、そして刑務官を辞めたいと思う前に知っておきたいことなどについて解説していきます。

刑務官を辞めたい人が続出しているのはなぜ?理由が知りたい!

刑務官というと、外界とは違う閉鎖された「刑務所」という空間でおこなう仕事であり、とても息苦しいイメージを持つ人も少なくないでしょう。

実際に刑務官は刑務所に勤務しますから、その想像は大きく外れていません。そして、刑務官の仕事は考えている以上にハードなものだということを知らずに刑務官になったという人も中にはいるようです。

そのため、刑務官として実際に勤務してみて早々に「辞めたい...」と感じる人が続出しているのです。ではさっそく、刑務官の苦労や仕事の大変さについて見ていくことにしましょう。

受刑者を「管理する」ことはとても難しい

何がしかの犯罪にかかわり、刑に服している受刑者を管理するのが刑務官としての大きな仕事のひとつですが、これは想像するよりもはるかに難しい業務です。

受刑者が収容されている各部屋の見回りや管理はもちろん、受刑者同士のトラブル解消も刑務官の仕事です。体力的にも精神的にも大きく消耗することは言うまでもありません。

また、受刑者の管理以外に事務的な仕事もたくさんありますから、刑務官として勤めあげるのは容易なことではないのです。刑務官を辞めたいと漏らす人が続出しているのもうなずけます。

刑務官同士の人間関係がわずらわしい

受刑者を管理するだけでも大変な苦労を強いられるというのに、さらに刑務官同士の人間関係にも悩まされるのが刑務官のつらいところです。

刑務官は国家公務員であり、年功序列型の組織です。勤続年数が長くなればなるほど刑務所内で持つ力は大きくなっていきます。

ですから、刑務官になって間もない新人刑務官はまず「上長の指示・命令に従う」といった刑務所内のルールを学ぶところから始まるのです。

そして上長以外にも、刑務所という閉鎖的な職場にはたくさんの刑務官が在籍しています。中には気が合わない・付き合いづらいと感じる刑務官もいるでしょう。

しかし、刑務官として働くと決めたからには、それらのわずらわしい人間関係も含めて対処していく必要があります。刑務官を辞めたいという人が増えている背景には、こうした人間関係も大きく関係しているようです。

夜勤など長時間労働を強いられることも多い

一般的な企業のように、刑務所には「営業時間」というものは存在しません。24時間365日、刑務所で暮らしている受刑者たちを見守り続ける義務があります。

そのため、夜勤はもちろんのこと、刑務所内で何かトラブルが起きた際には既定の業務時間を超えた長時間勤務をしなければいけなくなることも頻繁にあります。

刑務官として働くことを決めたのであれば、自分の時間が削られてしまう可能性があるということをあらかじめ覚悟しておく必要があるということです。

しかし、家族や親しい人たちと過ごす時間が満足に取れないことを理由に「刑務官を辞めたい」と考えるようになる人も多いようです。

「刑務官を辞めたい」なんて言わない!刑務官に向いている人とは?

刑務官になってまだ数ヶ月という短い期間で「もう刑務官という仕事を続けるのがつらくなった」と言って退職してしまう人は少なくありません。

また、刑務所という閉鎖的な空間で働くということ自体に耐えられなくなって刑務官を辞めたいと考えるようになる人もいます。

その一方で、「せっかく国家公務員になったのに!刑務官を辞めるなんてもったいない」「刑務官を辞めたいなんて信じられない!」という人も中にはいるのです。

では、「刑務官を辞めたい」という気持ちになりにくい、刑務官に向いているタイプについて迫っていくことにしましょう。

武術や護身術が必須!体力的・精神的にタフな人

刑務官の業務の中には、規則違反をしたりトラブルを起こしたりした受刑者への取り締まりや、さまざまな騒ぎを鎮圧するという仕事があります。

対話をして解決できる場合もありますが、中には体を張って受刑者とやり合うことになるケースもあります。そのため、刑務官になったら武術や護身術を身につけることが必須とされています。

ですから、日々自分の体を鍛錬していくことが苦にならない、精神的にもタフな人というのは、刑務官に向いているタイプと言えるでしょう。

逆に体を鍛えるなんて面倒なことはしたくない、できれば事務仕事だけを淡々とこなしていたいという人には、刑務官という仕事は務まらないかもしれません。

責任感があり物事を途中で投げ出さない堅実な人

刑務官という仕事ほど、責任感・正義感を求められる職種は他にないかもしれません。刑務官が日々接するのは犯罪に手を染めて収容されている受刑者たちです。

「罪を憎んで人を憎まず」といった気持ちを常に持ち続けられる人であれば、順調に刑務官としてのキャリアを積んでいくことができるでしょう。

受刑者たちが刑期を終えて無事に社会復帰ができるように後押しするのも刑務官の仕事ですから、それぞれの受刑者がきちんと更生できるようにサポートしていく根気強さを持っていることも大切です。

このように、物事を途中で投げ出さない・堅実な性格であれば、刑務官としての職務をまっとうできるのではないでしょうか。

仕事とプライベートをしっかり分けられる人

刑務所という空間で1日の大半を過ごす刑務官ですから、勤務時間が終わったあとも、閉ざされた空間にいるような感覚が消えないという人がいます。

このように「仕事が終わったら、この先は自分の自由時間だ!」というふうにうまく切り替えることができず、精神的に参ってしまう人は刑務官として勤めていくのは難しいかもしれません。

ですから、「仕事は仕事、プライベートはプライベート」と、自分の中でしっかりメリハリをつけられるタイプであれば、刑務官を「辞めたい」という気持ちにはなりにくいでしょう。

また、仕事で遭遇した嫌なことをいつまでも引きずらない・仕事が終わったらすぐに忘れることができるという性質も、刑務官として必要な素質のひとつです。

「刑務官を辞めたい」と思う前に!刑務官が恵まれている点を考える

刑務官という仕事は、一般的な企業でおこなう仕事と違ってオンとオフの切り替えが難しく、「辞めたい」と感じる人の割合も多い職業のひとつです。

使命感をもって刑務官という仕事を選んだ場合でも、その過酷な業務に耐えかねて職場を去る人は少なくありません。

しかし、刑務官は国家公務員であり、他の職業よりも恵まれている点もたくさんあります。では、刑務官という仕事を続ける利点について、探っていくことにしましょう。

各種手当や福利厚生が充実している

一般的な企業に比べて各種手当や福利厚生が充実しているという点は、刑務官という仕事を続けるうえで見逃せないポイントのひとつです。

例えば、刑務官になると以下のような手当や福利厚生を受けることができます。

  • 敷地内にある官舎に住める(家賃がいらない)
  • 家族がいる場合は扶養手当・住居手当がもらえる
  • 通勤に公共交通機関を使う場合には通勤手当がもらえる
  • 年数回のボーナスがある
  • 他の国家公務員に比べて給与水準が高い(刑務官の平均年収は約600万円)

刑務官という仕事を辞めてしまうのは簡単ですが、こうした大きなメリットがあるというところにもぜひ目を向けてみてください。

学歴は関係ない!管理職を目指せば給料が大幅にアップする

刑務官になるためには、必ずしも高学歴である必要はありません。そのため、国家公務員試験の中でも特にチャレンジしやすいのが特徴です。

勤続年数が長くなれば昇給もありますし、管理職を目指して勉強を続けていけば給料が大幅にアップする可能性もあります。

もちろん刑務官という仕事は決してラクなものではありませんが、自分なりに「このポジションに到達するまで頑張る」という目標を定めて職務に励むというのも悪くないのではないでしょうか。

刑務所はなくならない=仕事がなくなる心配がない

刑務官は国家公務員であること、そして刑務所がなくなるということは考えにくいことから、仕事がなくなる心配がないという点も、「刑務官を辞めたい」という気持ちを抑える力になるかもしれません。

営利目的で運営されている一般企業は、業績の悪化とともに将来的には給与カットやリストラも考えられ、現時点で終身雇用制度も崩壊しています。

その一方で、刑務官はこの先も安定した地位と収入をキープすることができますから、特に扶養すべき家族がいる場合には、魅力的な職業と言うことができるかもしれません。

「辞めたい」と感じた時は転職すべき!刑務官は決してラクな仕事ではない

刑務官を辞めたい人が続出している理由や刑務官に向いている人のタイプ、そして刑務官を辞めたいと思う前に知っておきたいことなどについて解説してきました。

刑務官は1日を刑務所の中で過ごし、受刑者とのやり取りや複雑な人間関係をくぐり抜けていかなければならないという想像以上に大変な仕事です。

ですから着任して間もなく、「苦痛と苦悩の毎日を過ごすのは耐えられない」「辞めたい」と感じてしまう人が多いのもうなずけます。

だからこそ、刑務官という仕事を体験し、その職務の厳しさを知ったうえで「無理だ」と感じるのであれば、心と体の健康のためにも、迷わず転職することを考えましょう。

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