私たちが毎日目にしている新聞やチラシ、本や雑誌などの印刷物を、実際の印刷機を操作して印刷するのが印刷オペレーターの仕事です。
印刷オペレーターは機械を操作するだけでなく、機械がスムーズに使えるようにするための準備や機械を使用したあとの清掃や保守点検など、印刷機にまつわるほぼすべての業務を担当していきます。
とはいえ、印刷オペレーターの仕事は機械を動かすことだけではありません。印刷するための紙やできあがった印刷物を運んだりするのも仕事のうちです。
「何となく簡単そうだから」と思っていたら大間違い、印刷オペレーターは想像するよりはるかに重労働であり、「きつい」仕事なのです。そのため、早期に退職していく人も少なくありません。
そこで今回は、きついと言われる「印刷オペレーター」という仕事の実態や仕事を長く続けられる人の特徴、印刷オペレーターの仕事をしていくうえで大切なモチベーションアップの方法などについて紹介していきます。
目次
離職者が減らない?印刷オペレーターという仕事の実態
印刷業界にはなくてはならない人材であり、専門職である印刷オペレーターですが、その仕事内容が「思った以上にきつい」という点から、離職者が減らないのが現状です。
印刷オペレーターはハードな仕事内容だからこその「やりがい」もありますが、心と体の健康を崩してまで仕事を続けようという人は少ないのかもしれません。
それでは、印刷オペレーターという仕事の何がそれほどまでに「きつい」のか、その実態に迫っていくことにしましょう。
長時間労働なのに給与はそれほど高くない
専門職であり印刷のプロとも呼ばれる印刷オペレーターですが、納期などの関係でやむなく時間外労働を強いられることがよくあります。
それなのに給与はそれほど高いとは言えないため、「あんなに頑張ったのに見返りが少なすぎる...きつい」と、思い始めて印刷業界を去っていく人もいるようです。
生活のために印刷オペレーターとして働いているだけであり、それほど印刷業界に魅力を感じているわけではないという人にとっては、きついと感じるのも無理はないでしょう。
しかし、印刷オペレーターとして仕事ができることに誇りを持っている、たとえ給与アップが望めなくても、これからも印刷オペレーターとして活躍していきたいと考えている人にとっては良い仕事かもしれません。
体力に自信がないと続けられない
実際に業務を始めてみると分かりますが、印刷オペレーターの仕事は基本的に立ち仕事です。「オペレーター」という名前がついていますが、パソコンの前に座っておこなう作業ではありません。
そして印刷機器の調整をしたり印刷するための紙をセットしたり、前かがみの姿勢で作業をすることが多いため、印刷オペレーターとして長く仕事を続けるほど腰痛などのリスクも高まっていきます。
ですから、印刷オペレーターは体力的にも消耗しやすい職業であると言えるのです。経験を重ねていくことで技術に磨きはかかりますが、同時に「体がきつい...」と感じることも増えていくでしょう。
印刷オペレーターとして定年まで勤めあげたいと考えていても、「体力が続かない・どうしてもきつい」と、退職せざるを得ない状況になることもあるようです。
印刷オペレーターの仕事は将来性が薄いと言われている
印刷業界の専門職として注目を浴びる印刷オペレーターという仕事ですが、その未来は明るいかどうかと聞かれたら、「長い目で見ると、将来的に存続が厳しい・きつい業種になっていく」と答えるでしょう。
というのも、省エネの時代に突入して本や雑誌・新聞といった紙媒体の発行部数が年々減少しており、購入者数もどんどん少なくなっている現状があるからです。
つまり、この先いくら印刷技術が進歩しても、肝心の「印刷物」の発行部数が少なくなってしまえば、印刷オペレーターの仕事も減ってしまうことになります。
紙媒体から電子データへの移行は今後ますます活発になるでしょう。そういった意味でも、印刷オペレーターという仕事の将来性はそれほど明るいとは言えないのです。
「きつい」と評判の印刷オペレーターを長く続けられる人の特徴
時間外労働が多いのに給与はそれほど高くないことや、今後の印刷業界が行き先不透明なことなどから、印刷オペレーターという仕事はきついと感じる人は少なくありません。
しかしそれでも、印刷オペレーターという仕事にこだわりをもって業務に励んでいる人も大勢います。誰もが「きつい」と感じる要素をプラスに変えることができる素質を持っていると言えます。
では、印刷オペレーターという仕事を長く続けられる人の特徴について考えていくことにしましょう。
大型機械を正確に扱うための集中力がある
印刷機器は人の背を大きく超えるような大型の機械です。そのため、回転ローラーに服の袖がはさまれる、指が機械にはさまってしまうなど、不慮の事故が多発する現場でもあります。
そのため、印刷オペレーターとして長く続けられる人というのは、大型機械を正確に扱うための集中力に優れているということが言えます。
注意力が散漫であったり、すぐに緊張の糸が切れてしまうような人では、大きな印刷機器を長時間ミスなく動かし続けることは困難でしょう。
完璧を求めすぎない!テキパキ作業ができる
作業効率を第一に考えたうえでテキパキ作業できる人も、印刷オペレーターに向いているタイプであると考えられます。
というのも、依頼された印刷物には納期が定められており、期日までに納品することが絶対に必要だからです。そのため、完璧なクオリティを求めすぎてしまうと仕事が遅くなり、納期に間に合わない可能性が出てきます。
もちろん、印刷物に最高の仕上がりを求めることは必要ですが、印刷オペレーターとして長く続けていくためには、作業効率と印刷物の完成度のバランスを取ることがどうしても必要になってくるのです。
個人の趣味ではなく仕事として印刷オペレーターという職に就いている以上、理想と現実をある程度きり分けて考えられる強さがないと、仕事がきついと感じられるようになってしまうでしょう。
自分の手で出版物を作り出しているという誇りを持っている
印刷オペレーターは店頭に並ぶ予定の印刷物を、自らの手で作り出すという作業をしています。何か物を作る仕事にたずさわりたいと考えている人にとっては、大きなポイントになります。
「自分の手で出版物を作り出しているのだ」という仕事に対する誇りが、時にきつい・苦しいと感じる印刷オペレーターとしての自信を育ててくれるでしょう。
ものづくりの現場で働きたい、ゼロから腕を磨いていきたいという人にとって、印刷オペレーターの仕事はとてもやりがいを感じられる仕事になるはずです。
「印刷オペレーターはきついけど...」上手にモチベーションをアップさせる方法
印刷オペレーターとして必要になる技術力は、すぐに身につくものではありません。何年も経験を重ねて、ようやく一人前の印刷オペレーターとして信用されるようになります。
しかし、時には「これ以上は無理」「きついからもう仕事を辞めたい...」と、誰かに愚痴を言いたくなることもあるでしょう。
ということで、ここからは、きつい・つらいことも多い印刷オペレーターとして、モチベーションをアップさせる方法について見ていくことにしましょう。
クリエイティブな仕事をしているという実感を持つ
完成イメージ図通りに印刷物を仕上げることが求められるのが、印刷オペレーターとしての仕事です。微調整を繰り返しながら、自分なりに最高だと思うものを作り上げる楽しさがあります。
「クリエイティブ」という言葉には、何かをゼロから作り出すというイメージがあります。そして印刷オペレーターの仕事も、まっ白な紙に印刷をして形にしていくという意味ではクリエイティブな仕事です。
「クリエイティブな仕事をしているんだ」という実感を持つことができれば、どれだけ仕事がきつい時でも、自らのモチベーションを高く保つことができるのではないでしょうか。
「印刷機器のプロフェッショナル」としての自覚を持つ
クリエイティブな仕事をしているのだという気持ちとともに、印刷機器のプロフェッショナルとしての自覚を持つことも、印刷オペレーターとしての士気を高めることにつながるでしょう。
印刷機器をひとりで最初から最後まで扱えるようになるまでに最低でも3年は必要になるといいますから、仕事のきつさや専門性の高さは言うまでもありません。
また、経験を積み知識を深めていくことによって、次第にいろいろな工夫ができるようになるのも、印刷オペレーターとしての仕事の面白さでしょう。
資格を取得してスキルアップを目指す
クリエイティブな仕事をしている・印刷機器のプロフェッショナルとしての自覚を持つことに加え、資格を取得してさらなるスキルアップを目指せるところも、印刷オペレーターの醍醐味でしょう。
厚生労働省が定める国家資格である「印刷技能士」という資格は2年以上の実務経験を積むことで2級の受験資格が得られ、7年以上の実務経験または2級合格後・2年以上の実務経験があれば1級の受験が可能です。
このように、実際に業務で培ってきた技術を資格として証明できることは、モチベーションアップに大きく貢献してくれるでしょう。
印刷オペレーターはクリエイティブでも重労働!きついと感じ始めたら転職も考えよう
きついと言われる「印刷オペレーター」という仕事の実態や仕事を長く続けられる人の特徴、印刷オペレーターの仕事をしていくうえで大切なモチベーションアップの方法などについて紹介してきました。
印刷オペレーターという仕事はクリエイティブな仕事ではありますが、同時に重労働であるという側面も備えています。そのため、きつい・つらいと感じることは一度や二度ではないでしょう。
ですから、「この先も印刷オペレーターのひとりとして業務を続けていく自信が持てない」と思うようになった時には、転職も視野に入れて動き出すようにすると良いかもしれません。