子供の頃はあんなに泣いたり笑ったり、コロコロ表情を変えていたのに、いつの間にか「無感動」で「表情にとぼしい」自分になっていた...という人はいませんか?
人は年齢を重ねるごとに、他者とのかかわりの中で自分を律する方法を身につけていきます。
その過程で、「自分の気持ちを素直に言ったらダメかもしれない」という状況に遭遇することも多く、感情表現に苦手意識を持つようになる場合があります。
そこで今回は、感情表現が苦手だという人の特徴や、感情表現の苦手意識を克服する方法やメリットについて、くわしく解説していきます。
目次
感情表現がうまくなるとラクに生きられるって本当?
感情表現が苦手、どうも自分の感情を表に出すのが得意ではないという人は、「なんだか生きづらい」と感じやすいと言います。
では、感情表現がうまくなると少しずつ生きることがラクになる理由について、考えていきましょう。
自分のことをもっと好きになれる
「自分は感情表現が苦手なんだ」と思っていると、時には人前で本来の自分ではない自分を演じてしまうことがあります。
嫌われて仲間はずれにされるくらいなら、周囲の温度に適当に合わせていればいいという、自己防衛の意識が働くのかもしれません。
しかし、「感情表現が苦手」な自分から「感情表現ができる」自分に変わることで、人はもっと自分自身のことを好きになることができます。
なぜなら、素直に感情表現をすることで、「ありのままの自分」を受け入れられるようになるからです。
気の合う友達ができる
「感情表現が苦手」という自分の特性を知り、少しずつ感情表現のバリエーションを増やしていくことで、気の合う友達ができることもあります。
これまで「感情表現」といえば「愛想笑い」くらいしかなかったのに、ストレートに感情表現ができるようになったのです。
あなたの変化に敏感な人は気がつくはずです。そして、あなたと同じように「感情表現が苦手」だと思っている人も親近感を持つようになるでしょう。
このように、感情表現のバリエーションを増やしていくことによって交友関係が広がることもあります。
自分の気持ちを隠そうとしなくなる
人は本音と建て前を使い分けながら日々を生きています。しかし、あまりにも感情表現が苦手な場合、本音よりも建て前ばかりの生き方になってしまう場合があります。
建て前とは、相手に不快感を与えない、当たり障りのない表現のことを指します。ですから、本当に自分が考えていることは相手に伝わりません。
建て前ではない、本物の自分を相手にわかってほしいと思うのであれば、「感情表現は苦手」という自分の殻を破る必要があります。
感情表現がうまくできるようになれば、もう建て前は必要ありません。自分の気持ちをそのまま表に出せば良いのです。
感情表現が苦手な人によくある特徴
人から「喜怒哀楽の変化がない」「楽しいのか楽しくないのか、ぜんぜんわからない」と言われる人は、感情表現が苦手な人かもしれません。
それでは、感情表現が苦手な人によく見られる特徴について見ていきましょう。
ひとりで過ごすのが好き
感情表現が苦手な人は、どちらかというと大勢の仲間とワイワイ騒ぐよりも、ひとりで静かに過ごす方を選ぶことが多いようです。
感情表現をすることが得意ではないのですから、たくさんの人に囲まれている状況では、自分らしく過ごすことができず、息苦しさを感じてしまうのでしょう。
ひとりで過ごしていれば、会話の中で苦手な感情表現を強要されることもありません。ひとりで過ごすことは、感情表現が苦手な人にとって「穏やかでリラックスしたひととき」なのだと言えるかもしれません。
人に甘えるのが苦手
「人に甘えるのが苦手」というのも、感情表現が苦手な人によくある特徴のひとつです。
甘えるという行為は、自分の気持ちを相手にわかってもらいたいという気持ちから発生します。楽しい、悲しい、嬉しい、さまざまな感情をストレートに見せて、相手に気持ちを伝えていきます。
しかし、感情表現が苦手な人は、自分の気持ちを表に出すことが不得意ですから、相手のほうから「どうしたの?」と、声をかけられない限り、なかなか人に甘えることができません。
無意識にイライラしていることが多い
自分が感じていること、考えていることを素直に表に出せないということは、「誰かに自分の気持ちを伝える、わかってもらうのがむずかしい」ということです。
そのため、感情表現が苦手な人は、「わかってもらえない」という気持ちから、無意識にイライラしてしまうことが多いのです。
イライラをなくすためには「わかってもらえない」状況を変えていく必要があるのですが、感情を上手に表現できるようになるためには、自分自身の意識改革が必要になってきます。
なかなか変われない自分に憤り、さらにイライラがつのってしまうこともあるでしょう。
苦手意識をなくそう!感情表現を豊かにする方法
嬉しい、楽しい、悲しい、といった感情を人前で見せることがなかなかできない、感情表現が豊かな人に憧れるという人は少なくないでしょう。
大丈夫です。苦手意識をなくせば、あなたも少しずつ感情を表に出せるようになっていきます。ではさっそく、感情表現を豊かにする方法を紹介していきましょう。
ノートに自分の気持ちを書き出してみる
つらいとき、怒っているとき、面白いと感じたとき、とっさにどんな表情をしたらいいかわからないという場合があります。
そんなときは、まずノートに自分がこれから感じると思われるさまざまな「気持ち」を書き出してみましょう。そのうえで、気持ちに合った表情を作る練習をするのです。
最初はうまくいかないかもしれません。しかし誰も見ていないのですから、自分の感じるままに、さまざまな表情を作ってみましょう。
鏡の前でいろいろな感情表現をしてみる
自分は「どんなときに」「どんな表情をする」ということがわかってきたら、今度は鏡の前でにっこり笑う練習です。
表情筋が硬くなっていて、最初はひきつった笑顔になってしまうかもしれませんが、何度も練習しているうちに筋肉もほぐれてきます。
笑顔、怒った顔、悲しんでいる顔、好きな人のことを考えている顔など、自分自身も知らなかったような表情が出てきて驚くかもしれません。
感情表現をするのが苦手という意識を克服できれば、もっとたくさんの表情に出会えるでしょう。
相づちのバリエーションを増やす
誰かと話をしている時のバリエーションを増やす工夫をするのも、感情表現の苦手意識を克服するのに有効な方法です。
「へ~」「ふ~ん」「そうなんだ~」というありきたりな相づちだけでは、それほど会話は盛り上がりませんし、相手は「自分の話に興味がないのかな?」と、感じてしまいます。
そこで、質問系の相づちを上手に活用してみましょう。
- 「それからどうしたの?」
- 「もっとくわしく聞かせてくれる?」
- 「それ、すごく楽しそうだけど、どうやってやるの?」
または、相手のことばをそのままオウム返しにするという方法もあります。相づちのバリエーションを増やし、相づちに感情表現をプラスしていくことで、少しずつ苦手意識も薄れていくのではないでしょうか。
「感情表現は苦手」を克服するメリット
「自分は自分、努力してまで感情表現できるようにならなくてもいい」と、考える人もたくさんいるかもしれません。
ただ知っておいてほしいのは、感情表現が苦手な自分を乗り越えることによって、たくさんのメリットが得られるということです。
感情を表に出すことで自分の気持ちがわかる
感情表現を豊かにするということは、自分の気持ちをきちんと理解することにつながります。
感情表現が苦手という人は、もしかすると「感情」そのものを抑制して生きてきた可能性が考えられます。
感情を表に出すことによって、これまで感情を抑制していた目に見えないくさりが外れ、自分の気持ちと真正面から向き合えるようになるでしょう。
「感情表現は苦手」という気持ちも、次第になくなっていくのではないでしょうか。
ストレスを解消できる
感情表現が苦手、感情が表に出ないということによって、自分でも気がつかないうちにストレスを溜めこんでしまっている場合があります。
感情のおもむくまま思いきり笑う、声をあげてわんわん泣くといった行動は、想像以上にストレスを軽減させる作用があります。
しかし感情表現が苦手で、気持ちを爆発させることがむずかしい人の場合、思いきりストレスを発散させることがとても困難です。ストレスを溜め込むことは当然、心とからだに良くありません。
ですから、感情表現が苦手な自分を乗り越え、感情を表に出すことができるようになると、心もからだもより健康な状態に導かれていくのです。
他者とのコミュニケーションがスムーズになる
感情表現の苦手意識をなくし、感情を上手に表に出せるようになると、他者とのコミュニケーションがスムーズになるというメリットもあります。
相手にとってもあなたにとっても、お互いに表情を見ればどんな感情を抱いているのかわかるので、会話をすることがより楽しくなるでしょう。
さらに身振り手振りなどのリアクションをプラスしてみると、感情表現に幅が生まれます。会話中に使えるリアクションに特化した書籍なども参考にしてみてはいかがでしょうか。
「感情表現が苦手な自分」から卒業しよう!
感情表現が苦手だという人の特徴や、感情表現の苦手意識を克服する方法やメリットについて、くわしく解説してきました。
感情表現が苦手というと、どうしてもマイナスのイメージを持ってしまいがちです。確かに、感情表現がうまくないことで他人に誤解を与えてしまうことがあります。
「もっと素直に感情を表したいのに…」と、悩んでしまうこともあるでしょう。でも、自分を責めてばかりいてはいけません。
感情表現が苦手な自分と向き合い、自分にできることからスタートして、「感情表現が上手にできる自分」に変わっていきましょう。