投資で取引する上でリスクを考えるのは当たり前であり、できないトレーダーは市場から退場する確率が高いです。
これから投資を始める方は、自分の始める投資にはどのようなリスクがあるか理解しておく必要があります。
投資の種類は様々ですがメジャーどころの株式投資とネットで簡単にできて有名なFXのどちらかを考えている方もいるでしょう。
投資の種類が変わればリスクの内容も変わりますが、比較してどちらがリスクの高いのか疑問に思う方もいませんか。
株とFXにはどのようなリスクがあり、リスクという観点で考えればどちらが高いのでしょうか。
目次
株式投資のリスク
株式投資は株式会社が提供している株の取引をする投資です。
そのためリスクの内容も会社に関連したものが多くなっています。
株価の下がるリスク
最も分かりやすいリスクは自分が注文して取引した株価の価値が下がることでしょう。
株価が自分の注文した時より下がってしまえば、当然差額としては損失になってしまいます。
株価が上下する理由は該当する株式会社の業績を始め、株価の需要があり多く売買される、会社の経営に変化が起きる、といったものが上げられます。
一言で単純に表すと「その株が価値のあるものと多くの人に見なされているか」で価値が変わってくると考えていいでしょう。
株価は信頼の数値とも考えられ、実際に何かしら不祥事が起これば信用と共に株価も下がりやすいです。
FXと比べ株価は1年の間に大きく動きやすく、取引する時も多額の資金が必要になるため損失も大きくなりやすいでしょう。
会社が倒産してなくなるリスク
株は株式会社が自分の経営する資金を集めるために提供している投資対象です。
株式会社が何かしらの原因で倒産してしまった場合、その瞬間に持っている株は何の価値もない存在となってしまいます。
例え株価が高くなっていても、倒産すればその瞬間に0となるのです。
会社が倒産する原因は様々であり、単に業績が振るわず下がり続けて経営できなくなった場合は株価も目に見える形で分かるでしょう。
しかし一番怖いのはそのような素振りが見られずいきなり倒産が発表されるケースです。
いきなり倒産してしまう原因は多くが不祥事やトラブルになるでしょう。
いきなり倒産の場合はまずは株式市場での取引が廃止される段階になります。
近年では会社による不祥事も珍しくなく、今はバレていないが将来的に問題を起こしていたことが発覚するケースも驚くものではありません
取引している株式会社が安心だと考えても、いきなり廃止されて倒産に向かう可能性も十分にあり得るのです。
流動性によるリスク
流動性は投資における用語で、簡単に言えば取引される頻度のことを指します。
当たり前のように株が売買されていますが、これは株を買う人間と売る人間が存在するため成立している仕組みです。
買いたいと思う人間がいても、売りたい人間がいなければ取引は成立されず売れません。
取引が成立しない状態を「流動性が低い」といいます。
流動性の低さで問題なのは、自分が好きな時に売買できないことです。
リスクを回避して損失が少ない時に売ろうとしてもできず、損失が膨れ上がってしまうでしょう。
基本的に流動性が低い株はそれだけ多くの人間から売買されていない、ようするに人気の低い株です。
別のケースとして普段は流動性に問題がなくとも、何かしらの理由で一時的に低くなることもあります。
起きる時は大抵会社が不祥事を起こし、株を所持していた多くの人間が一斉に手放す時です。
逆に言えば何かしら異常な事態が起こらなければ、基本的には起こらないと考えていいでしょう。
最も「異常な事態」の予想自体、難しいのが恐ろしいところになりますが。
FXのリスク
FXは為替相場の為替で取引していく投資です。
株式投資と違い会社ではなく国が関わるため倒産の心配はありませんが、その仕組みから株式投資とは別のリスクがあります。
相場変動のリスク
株式投資と同じく相場が動いて損失によるリスクはFXにもあります。
株式投資と違いFXは売りからも入れるため相場が上昇の時にもリスクが生じるケースがあるのです。
取引しているのが為替なため相場の変動する要因は国の政治や経済による情報となります。
経済指標による発表、要人の発言等が考えられるでしょう。
基本的には通貨が用いられている国の情報が重要ですが、種類によっては別の国で出た情報に影響を受けることもあります。
例としては豪ドルがあり、オーストラリアだけでなく貿易先である中国の情報で影響も受けるのです。
為替相場の動きは株価と比べそこまで活発ではありません。
通貨ペアによりますが1日にほとんど動かないことも多く、為替相場の差額だけであればリスクはそこまで大きくないのです。
レバレッジによるリスク
FXのリスクを大きくしてしまうのがレバレッジです。
レバレッジは今ある資金に倍率をかけ、資金以上の金額を用いて取引できるシステムとなります。
10万の資金を倍率をかけ、20万や30万に見立てて取引できるのです。
取引できる資金が増えれば利益も増やせますが、当然損失も増えます。
基本的にFXの取引ではロスカットというシステムがあるため、必要以上の損失は出ません。
しかしレバレッジを高く設定している場合、ロスカットを突き抜けて普段以上の損失を出してしまう可能性が出るのです。
現在国内のFX業者ではレバレッジに上限が定められており、最高25倍までしか使えません。
昔は50倍や100倍といった高倍率で取引も可能であり、無闇に高倍率で取引した結果借金をする羽目になったトレーダーもいました。
25倍までなら借金にまで陥る可能性は低いですが、資金を少なくして取引していると起きやすいです。
業者が倒産するリスク
FXは業者で口座開設をして取引する投資です。
業者が取引場所を提供してくれているため、利用している業者が倒産すれば取引できなくなってしまいます。
取引できなくなるだけなら問題ありませんが、倒産による問題は自分が資金を預け入れていた時です。
倒産してしまえば出金できなくなるため自分の資金が引き出せない、資金がなくなったも同然になってしまいます。
株式投資はまだ株の価値がなくなるだけで済みますが、こちらは資金そのものがなくなるのが恐ろしいのです。
しかし幸いなことに国内のFX業者は信託保全という制度を利用しており、入金した資金は銀行に預けています。
例え業者が倒産したとしても銀行を経由して資金は戻ってくるのです。
国内を使っている場合は資金がなくなる心配をする必要はありませんが、問題は海外業者を使っていた時でしょう。
海外は信託保全をしていない業者もあるため、倒産してしまえばそのままお金は戻ってこなくなります。
リスクを考えれば海外業者を利用する場合、信託保全を採用しているところを選んだ方がいいのです。
資金の問題もありますが、倒産してしまえば当然取引もできなくなってしまいます。
一つの口座に頼っていた場合は新しいところで口座開設をしなければいけないため、取引できない期間が出るのもリスクといえましょう。
スワップポイントによるリスク
FXにはスワップポイントというものがあり、取引して決済せずポジションを保持しておけば日を跨ぐごとにお金がもらえます。
もらえる金額は通貨ペア間の金利差であり、取引量も関わってくるため多ければ多い程金額も増えるのです。
しかしスワップポイントはもらえるだけでなく逆にマイナス、支払わなければいけない場合もあります。
基本的にマイナスになるのは売りで入った時ですが、スワップポイントは相場の状態によっても変わるのです。
それまでプラスだった通貨ペアがいきなりマイナスに変わるのもおかしくありません。
予想外の事態による急変のリスク
政治や経済の情報により相場が変動するのはおかしくありませんが、時にはかなりの変動を見せる情報が入ってくることもあります。
ショックといった経済に関わる情報の他、テロや災害といった被害が出る事件も含まれるのです。
どのように動くか情報の内容と相場次第ですが、大抵は一方の方向に普段では考えられない動きを見せます。
10、20円と数十円の動きをするのも珍しくありません。
持っているポジションがマイナスへ向かえば、大損失は免れないでしょう。
相場が急変している時は取引が成立しないことも多く、損失を抑えるのが難しいのです。
実際に急変による動きで借金を背負うことになったトレーダーも多くいます。
流動性によるリスク
FXで取引する通貨ペアにも流動性の違いは存在します。
基本的にメジャーな通貨程高く、マイナーな通貨程低いです。
メジャーに通貨の代表はドル、円、ユーロといった基軸通貨と呼ばれる通貨が入ったペアでしょう。
逆にマイナーな通貨はトルコリラやメキシコペソといった業者によっては取引できない通貨となります。
流動性が低ければ株式投資と同じように取引が成立しない確率も多くなるのです。
特に流動性が低いとされる通貨は金利が高いため、スワップポイントで他よりも高い利益が得られます。
取引したい時にできないためリスク回避を考えて決済しようとした時、できなくなるリスクもあるのです。
ネット利用によるリスク
FXの取引はネット環境を利用して行います。
ネットに繋がっていない場合、取引ができないのです。
問題なのは取引をしている最中に突然ネットが切断され、できなくなる状態になることでしょう。
注文をしてポジションを持っていた場合、損失が大きくなるリスクがあります。
ネット環境によるリスクは取引する側と運営している業者側のどちらにも起こりえます。
取引する側の場合は不安定なネット環境を利用していれば、突然切れてしまう可能性はあるでしょう。
業者側の場合は何かしらのトラブルでサーバーがダウンしてしまい、メンテナンスが必要となりしばらく取引できなくなる状態になります。
株とFX、リスクが高いのは
ここまで株式投資、FXのリスクを紹介してきましたがリスクが高いのはどちらと考えられるでしょうか。
相場の値動きという意味では株式の方がリスクは高い
投資なためどちらにも相場の変動によるリスクはありますが、FXに比べ株式投資は度合いが大きいです。
変動によるリスクは株式投資の方が大きいでしょう。
FXの方はレバレッジがあるため資金以上の運用をすれば同等の損失を出す危険はあります。
しかしレバレッジは強制的ではなく利用しない選択もあるため、自分の意思でリスク回避はできるのです。
予期せぬニュースによる急変もありますが、基本的に起こる頻度は多くありません。
いつ起きるか予想できないのは怖いところですが、普通に取引している時はあまり気にしなくてもいいでしょう。
取引対象で考えると株式投資の方がリスクが大きい
株式投資は株を提供している会社の倒産、FXは口座開設して取引環境を提供している業者の倒産とどちらにも倒産によるリスクはあります。
しかし株式の方は倒産により株の価値がなくなるのに対し、FXは取引環境がなくなるだけでリスクは大きくありません。
資金の紛失も国内業者の利用や海外も信託保全している業者を選べば問題ないのです。
取引対象もFXは為替相場ですが、基本的に通貨は国がなくならない限り価値がなくなることはあり得ません。
価値の低下による損失は気をつけなければいけませんが、価値がなくなる心配をする必要はないでしょう。
自分を抑えられない場合はFXの方がリスクは大きい
FXによるリスクは取引する本人が気をつければ回避できるものばかりです。
逆に言えば取引できる本人が自重できない場合、リスクは極めて高くなるでしょう。
レバレッジ、24時間取引できるとFXには多額の利益を出させる欲求を誘惑する仕組みが多いです。
誘惑に負けて大きな負けを体験したトレーダーも珍しくありません。
一方で株式投資は取引時間が制限されており、レバレッジも使えず現物取引なため必要以上のリスクは出ません。
投資をする上でリスクの高い取引を抑えられない場合は株式投資の方がリスクを抑えられるのです。
リスクの高さは取引する本人により変わる
株式投資とFX、リスクの内容は投資の種類により変わります。
リスクは自分のやり方で回避できるものも多いです。
やり方が違えば他のトレーダーとは別の方面でリスクが高くなる可能性もあるでしょう。
投資はリスク管理が重要であり、どうリスクを抑えるかは取引する本人次第です。
リスクを高くしてしまう原因も本人次第なためリスクを抑える取引をしましょう。