天皇陛下だとか、昔の貴族だとか、多くの国民にとって有益な仕事などをした人に対して、「トウトイ人」と呼ぶことがあります。
その「トウトイ」を漢字にする時に、「尊い」や「貴い」と書く人がいます。
どちらも、相手を敬う言い方に変わりはありませんが、尊いは相手を尊敬する時に言う言葉で、貴いは普遍的な価値の高さを表しています。
尊いとは
「尊い」とは、主観的に敬意を示す言葉であり、対象を尊敬する気持ちが込められています。
物事における価値というのは、人によって感じ方が異なります。
一般的には価値が無いと思われることであっても、自分の心の中で「尊敬に値する」大切なことであれば、「尊い」を使うことができます。
尊いを最も端的に表した言葉が、「尊重」です。
貴いとは
「貴い」とは、変わらぬ価値に対して敬意を表す言葉です。
誰が見ても高い価値があり、その価値が永遠に変わらない場合に使われます。
人でなくても、金銭的価値が高かったり、重要なものであったりすれば、貴いという漢字が充てられます。
例えば、貴重な金属であれば「貴金属」、高価な所持品のことであれば「貴重品」と呼ばれます。
尊と貴という文字
「尊」という文字は、神様に捧げる酒を両手で掲げるという意味を持っています。
そこから転じて、尊敬を表したり、物事を重んじて敬ったりする意味が持たれます。
「貴」という文字は、下の部分が「貝」という文字になっています。
古代、貝が貨幣に利用されており、価値のあるもの、価格の高いものを意味します。
そこから、優れた価値に対して「貴い」という言葉が使われます。
主観的か普遍的か
尊いという言葉は自発的、また主観的に価値があると感じたものに対して使われます。
一方、貴いという言葉は誰が見ても変わらない普遍的な価値のものに対して使われる言葉です。
例えば、尊いは「信者にとって、仏教の経文は尊いものとされている」などと使われます。
貴いの使い方には、「人の命より貴いものは無い」などがあります。