卓球
トップ選手の試合でスマッシュを打たれた相手が、台の後方から高い球を上げて返すのを見たことがあると思います。
速い球をあんなに後からきちんと返すってほんとうにすごいですよね。
このような高いゆっくりとした球で返すことをロビング(ショット)といいます。
ゆっくりとした球を返すだけだから、メリットがないのではと思う人もいるかもしれませんが、ロビングショットは有効なショットです。
ちなみに、水谷選手はロビングショットの名手ですよ。
ここでは、ロビングショットとはどんなものか、またどうして有効かを説明し、練習方法とコツを話します。
加えて、ロビングショットを上げられた場合にきちんと返すコツも話します。
ロビングを打てない人だけでなく、ロビングショットをうまく返すことができない人も読んでくださいね。
目次
ロビングとは？ 効果があるの？
ロビングとは山なりの高く上げたボールで返すことをいいます。
ロビングは、相手に押され気味になり、スマッシュを打たれた時に台の近くの前の方では返すことができなく、後方から山なりのボールで返すしか出来ない時に使います。
ですので、ロビングをする理由は、後ろからゆっくりの球でもいいので、とにかく返そうとするために打つのです。
後から打つのですから速い球を入れようとしても難しくなりますね。
また、山なりのゆっくりの球を返すので、次のショットの準備ができます。
粘り強く返すことによって相手のミスを誘ったり、形成を立て直しカウンター攻撃をすることも可能です。
ロビングは基本は守りのショットですが、ポイントにつながることもあるのですよ。
上級者の試合を見てもわかるように、レベルが上がると試合でロビングは使う機会が増えてきます。
ロビングができることによって、卓球の幅(特に守備の幅)が広がります。
ただし、ゆっくりの球で返すとは言え、ロビングはなかなか難しいですよ。
とにかく練習して慣れるしかないショットなのですね。
ロビングの打ち方とコツ
ロビングショットは、台から下がったところで、ラケットの面をやや上にむけて下から振り出し、球を山なりに返すように打ちます。
フォームはいたってシンプルで、それほど意識する事は無いです。
後は、練習して慣れるだけです。
とは言え、いくつかコツがありますので書きます。
慌てずリラックスする
まず、慌てたり、力を入れすぎて打ってはいけません。
相手がスマッシュショットを打っても、台の後ろから打つのですから打つまでの時間はあります。
慌てる必要はありませんね。
リラックスして、力を抜いて打ちましょう。
後方から、ゆっくりの球を相手の台目指して打つのですから、柔らかく打たないと入らないですよ。
そもそも、速い球を打つわけではないので、力は入らないのです。
気持ちの面を最初に書いてしまいましたが、大事なことです、忘れないでください。
体の近い所で打つ
ロビングショットはラケットを体の近い位置で打ちましょう。
体に近い所で打つと、体全体を使って優しく打つことができるので、球をコントロールしやすくなります。
一方で、体から離れると余計な力が入り、ショットが安定しません。
距離は人によって多少異なりますし、相手の球の位置に合わせて打つ必要がありますが、基本的に体の近くで打つことを意識して下さい。
腕だけでなく膝も使って打つ
ロビングショットを打つ時は、腕だけでなく膝も使って打ちましょう。
腕だけで打つと、ショットが安定しません。
膝を使って打つと、優しくゆっくり打つことができます。
そのために、打つ前に膝を曲げておき、膝を伸ばしながら打ちます。
もちろん腕も使いますが、体全体でボールを運ぶようなイメージで打ちましょう。
こうすると、余分な力も入りなくなりますよ。
ただし、膝を使うのは初心者には難しいかもしれませんので、意識し過ぎないようにして下さい。
できるだけ低い位置でボールを打つ
ロビングは低い位置でボールを打つようにしましょう。
メリットは多くありますよ。
低い位置で球を打つといことは、それだけ球を長く見ることができ、余裕もできますので慌てずに打つことができます。
打つまでの時間もできるので、慌てる必要がなくなります。
さらに、下で打つということは、膝を曲げて打つことになりますので、安定したショットが打てるようになります。
ゆっくりと返すことになるので、相手にとっては逆にプレッシャーになります。
なお、初心者にとっては、低すぎると逆にコントロールしづらくなるかもしれないので、自分の適切な位置を練習で見つけてください。
慌てず、ゆっくりと打つためにも、ロビングは下の位置から打つことを覚えておいてください。
あきらめない粘りの気持ちで打つ
ロビングショットは守りのショットですから、粘ることが重要です。
あきらめず、何度も何度も返してください。
そのうちに、相手がミスをしてくたり、甘い球を返してきてカウンターでポイントを取ることもできるかも。
そうなれば、相手にとっては、チャンスボールのポイントを失うのですから、ショックが大きくなりますね。
ロビングは、気持ちが大切です。
ロビングの練習方法
ロビングの練習方法は、とにかく慣れて感じとコツを掴むまで何度も行うしかありません。
ロビングは繊細なショットです。
ですので、1人でも練習できるのですが、それでは前方から来た球と感じが違うのであまりオススメしません。
球を出してもらって、それを打つ練習が基本ですね。
最初は台から少し後ろの位置で打てるゆっくりの球を出してもらい、ゆっくり打ち返すことから始めましょう。
それから少しずつ下がって、少しずつスピードも速くしてもらった球を打ち返すようにしてていきましょう。
また、重要度が低いですがコースも狙って打てるようにしましょう。
スピンをかけてロビングを打つことができればなお良いでしょうが、そこまでは初心者では難しいし必要ないと思います。
慣れてくれば、1人はスマッシュを打ち、相手はロビングで返すラリー形式が良い練習になります。
ただし、初心者同士でこのロビングとスマッシュのラリーは難易度が高すぎるかも。
ラリーが続かない時はスマッシュのスピードをゆっくりにするなど工夫して下さい。
ロビングを打つのは単調な練習になりますので、ロビングをあげる人、スマッシュを打つ人(球を出す人)を比較的早めに交代させた方が、集中できて良いでしょう。
ロビングはスイングはシンプルですが、初心者にとってはなかなか難易度が高いのです。
感じをつかむまで、少しずつ、何回も練習するのがオススメです。
ロビングの戦術
ロビングの戦術を考える前に、ロビングの意味を考えてみましょう。
ロビングショットを打つと、相手にチャンスボールを与えることになります。
ですので、ロビングはできるだけ打たないほうが良いことになりますね。
ではなぜロビングを打つかと言うと、ロビングでしか返せないのでロビングを打つ、これが基本的な理由です。
相手に攻められて、徐々に後方に下がり、そして、ロビングショットでしか返球できなくなる。
これが通常ロビングを使うときの状況ですよね。
後方からドライブショットで返せば良いのでしょうが、それが難しい時が試合ではあるのです。
ロビングは究極の守りのショットなのです。
ロビングができないと、守りの幅が少なくなり、卓球での戦術が狭くなってしまうのですね。
ロビングはピンチの時にゆっくりの球を返すために、打ってから十分に準備する時間ができます。
相手がロビングに対してスマッシュを打っても、後方にいるので球を打つのに十分な時間があります。
繰り返しロビングで返球か可能となります。
そして、繰り返し返すことによって、相手にプレッシャーを与え、力みを生じさせミスを起こさせる可能性が増えます。
ですので、ロビングは「粘り」が重要。
あきらめずに返していきましょう。これが、ロビングの戦術というか目指すところでしょう。
ロビングで何度も返すと、相手が粘り負けしてチャンスボールを返すことがあるでしょう。
また、後方にいるので、少しぐらい速い球でも負けずに速い球を返すことができる時があります。
そのため、ロビングができるようになれば、後方から反撃できるようなショットも必要です。
台から少し離れた距離からでも、簡単な球はドライブなどで返せるようにしておきましょう。
粘りながらも、チャンスを伺っておきましょう。
ロビングは必要ではありますが、重要度は高くありません。
特に初心者は試合で使うことも少ないでしょう。
ドライブやスマッシュ、サーブカットの練習をしてそれらが十分にできるようになった後に、ロビングの練習をしても充分です。
中級者でも、スマッシュの練習の際にロビングで返す位の練習で充分かもしれません。
ロビングができれば、卓球の幅が増えるのは事実。
しかし、特に初心者にとって優先順位は高いとは言えないことを覚えていてください。
ロビングの返し方
次はロビングできた球の返し方について書きます。
ロビングは高く上がったゆっくりとした球ですので、絶対的にチャンスボールです。
したがって、ロビングに対してはスマッシュで攻めることが基本。
その際、注意点があります。
高い球を打つことになるので、体を使って打ち込みます。
時間もありますので、球に合わせて、しっかりと振り抜き、強い球を打ちましょう。
しかし、早い球を打っても相手は後ろで守っているので、返球される可能性が高くなりますね。
したがって、スマッシュが入っても、返球に対して準備をしておく必要があります。
慌てたり、力み過ぎないようにしましょう。
高い位置で打つことは良いのですが、自分が得意な高さで打つ方が大事。
スマッシュが返されてもこちらが有利なことは変わりません。
ミスショットをして入らないことが最もだめなことです。
慌てず、何球かで決めるつもりで打つ意識が大事です。
ロビングのまとめ
ロビングは守りのショットですが、打てるようになれば、間違いなく卓球の幅が広がります。
レベルが上がれば、試合で使う機会は増えるでしょう。
そのためには練習が必要。
ロビングはスイングはシンプルですが、難易度が高いので、慣れやコツが必要です。
優先度は低いですが、練習しておきましょう。
注意点は、腕だけでなく膝を使う、低い位置で打つなどがありますが、慌てず優しく打つ意識が大事です。
そして、とにかく返し続けるぞという粘りの気持ちが大事ですよ。
ロビングショットを打ち返すのはスマッシュです。
チャンスボールですから攻めの気持ちは必要ですが、返球の可能性が高いですので、打った後、準備をしておきましょう。
ロビングショットは守りのショットではありますが、返していけばチャンスにつながることがあります。
それほど多く練習する必要はありませんが、ロビングができるようにはしましょう。
なにより、ロビングショットは意外に楽しいですよ。
